第16話:モンスター社員への対応 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
自分の職場の意識が以前より低下していて危機感を感じていた本田は、
モンスター社員三浦と個別面談を行っていました。


第16話:モンスター社員への対応
本田承太郎は、
これまで数々の公にはなっていない問題のある
三浦との個別面談を終えてある決意をしていました。

会社にとってのモンスター社員とは
不利益どころか利益損失の恐れがある社悪なので
排除しなければなりません。

しかし、法律上仕事をしている社員に対して
いきなりクビにしたり、怒鳴りつけて叱ることは出来ません。

対応策の例としては

上司に叱ってもらう
皆で話し合う
重要な仕事は与えない
ほうっておく


このような措置を取っているのでしょうか。


しかしどれも大した効果はありませんよね。

では、どのように対応すれば良いのでしょうか。


例えば労働組合に相談する
という方法もありますがこのような
モンスター社員がいる会社では労働組合自体が無い場合もあります。

そうなれば外部の弁護士などに相談してみるのも
一つの方法かもしれません。

しかし、実際にはそこに踏み切れない企業も多いのでは無いでしょうか。

そういう意味ではどちらも現実的ではありませんね。


結局は自分たちの職場で解決していかないと
また更に新しいモンスター社員が出てくるかもしれません。



今回本田承太郎は自分の部下で三浦の上司にあたる、平嶋に
解決の措置を取らせることにしたのでした。

平嶋はこれまで部下の移動もあり、
業務に追われながら仕事を進めていた事もあり
部下の女性社員どうしのいざこざや、

三浦の問題行動にはたいした対応を取らず
「見て見ぬふり」「聞いても先延ばし」という対応をしていたのです。

本田は三浦の件を解決するため平嶋と話しました。
「平嶋係長、なぜあなたは部下に目をやらないのか?」
「私には無理です、お願いしたじゃないですか、なぜ私に対応させるんです?」

「平嶋、難しい事・問題から目を背けてもそれは問題解決じゃない。
困難な事や自分のチームに問題があるのは恥ずかしいことかもしれないが
隠蔽したり放置すればどうなるか想像できるだろう?」

「じゃあどうすればいいんです?」

「それはフェアじゃないな。
問題がここまで大きくなった事を
反省して貰うために平嶋係長に任せるんです。
一度考えてみてはどうだろう?」


本田がそう言うと平嶋係長も初めてこの問題と向き合ったのでした。

この部署の係長平嶋という男は
本来このような丸投げ上司ではありませんでした。

しかし、元部長の中田の移動や本田の不在、
部署内の人事異動などで手が回らなくなり
半ば軽うつ状態で仕事をしていたのです。


本田も平嶋が真面目で部下思いの人間である事は知っていましたが
困難な事に対する逃げの姿勢にはいつか改善しなければと
思っていました。


普段の事務職で改善する機会の無い状況で
今回の件は平嶋係長にとって絶好の自信を付ける機会だと
本田は考えていたのです。

「私、なんとかやってみます。」


そう言って平嶋係長はいろいろと案を出しました。

そして、ここで初めて本田もアドバイスを始めます。
「監査役員に相談してみよう」

本田の働く会社藤堂物産は、労働組合は無いが
CSOというポジションがあった。

要は総務のようなものだ。

2名いるうちの外部からの監査役員兼任の
工藤CSOに本田は接触していた。


本田は社内で何かと確認事を行うちに親交を深めていたので
容易に接触することができる状態だった。

そして、本田が行った対応措置は
社則の作成・罰則を含む誓約書の作成であった。


今回、三浦の行動には一貫して相手の不利になる条件を突いて
弱みに付け込むような行動が見られていた。

本田承太郎が見抜く、
モンスター社員の最大の弱点とは共通して

「心が弱い」事であった。

自分が大した仕事も出来ないのに権利ばかり求める。
上手くいかない事を外的要因に理由付けする事もこれが原因だった。

つまり、他人に対し虚勢を張るために必要以上に
他人を攻撃したり自分を大きく見せる行動が目立つのも特徴なのだ。

さらに自分の利益や上昇志向・尊厳を高く見積りすぎて
過信している状態なので簡単には人の意見には目もくれないのである。


この弱点に対抗出来るのが明確な誓約書なのだった。

本来入社時に社則に則って就業することを誓っているはずだが
個人で明確に理解している人も少ない。

それに伴い権利をかさにきる人間に対し不利な条件を
誓約させるというものだ。


しかし、その誓約書にさえ不満を漏らすのがモンスター。


本田承太郎はこの時の為に
改心した女性社員の青木を見方に付けて既に
弱みを握る情報を得ていたのである。


「三浦の社内恋愛」

社交的な三浦は社内の女性社員に対しても口説いたり、
デートを重ねて付き合ったりもしていたのです。

もともとは就業規則で社内恋愛は禁止の会社であったが
各上司の現場判断で許されているケースもあり、
この件はずっと流されていたのでした。


「ルールを盾にする者にルールで倍返し。」

冗談交じりで平嶋係長は本気の目をしてこう言い放ったのでした。


結局三浦に対しては
社内に残らせる代わりに誓約書にサインさせ、
平嶋がこの件を収めた功績が藤森部長に評価される事となったのでした。


その後、三浦は不満などをネットに書き込んでいましたが。
かなり厳しい条件の誓約書を突きつけてマークしていたことにより
現場の仲間からすぐに発覚し退職させる運びとなりました。


そして、本田は後始末のために自宅に連絡し
損害賠償も視野に入れて検討すると伝えこの件は終了しました。


最後に本田は平嶋に対して、

「俺たちは確かに本田の権利も守らなければならないが、
同じ働く仲間で弱い立場にいる人間にこそ目を向けないと
本当の問題解決にならない。
今回見事に解決してくれてありがとう。」

とお礼を言ったのでした。

平嶋には本田が藤森部長と対立していた事は
雰囲気で知っていましたし
今回本田が評価されなかったことも関係している事だと理解しました。

こうして今回の件で平嶋の信頼を得たことにより
本田はまた一つ社内で仲間を得たのでした。


それから数日後、本田のもとに平嶋からある相談が持ちかけられます。


「うちのチームの社員で、問題というわけではないんですが、
ちょっとおかしいのがいるんです」

そう言って相談に乗った時に紹介されたのが
「前田」という平嶋係長の部下でした。

前田という社員が後に大きな変化を見せるとはこの時は
本田も知る由もありませんでした。


つづく

【新品】【書籍・コミック ビジネス・経済・就職】ブラック会社で出会ったモンスター社員たち ブラ...
¥1,260
楽天
【送料無料】 社長は労働法をこう使え! プロ弁護士が教えるモンスター社員・ぶら下がり社員へのリ...
¥1,680
楽天