私の手元に下の小冊子があります。
これは私が在籍していた㈱オートバックスセブン(オートバックスの運営本部企業)が1号店の隣にあった男子寮を改造し、西式健康法の学習のため設立した「オートバックス大阪健康センター」(1992年開設、下写真)が編集発行しました。
今日紹介する最初の講話の日付は平成15年11月21日となっていますので、20年以上前に発行されたものです。
オートバックスの創業者である住野敏郎さんと西式健康法の関係については過去もこのブログで紹介してきました。
下の写真は住野さんと甲田先生のスナップですが、私がシャッターを押したもので、大阪、万博公園内のホテルで開催されたオートバックス経営者会議でのものです。住野さんは甲田先生に会議などで健康講話をお願いし、甲田先生も住野さんの熱意にこたえ出講されていました。
住野さんは、「話だけでは分からない、やって見ることが大事」と西式健康法の基本原理と実行法を学ぶ「月~土曜」約一週間の健康増進コースを開講しました。その2日目に受講者一同が八尾の甲田医院に伺って、甲田先生に直接の診察を受けることができました。
当時甲田医院は難病患者が殺到し、予約を取るのも大変でしたが、甲田先生は住野さんの熱意に応じられて、優先的に診察をしてくださるだけでなく、診察終了後、受講者に短いミニ講話も行ってくださいました。それをまとめたのがこの小冊子です。
その最初のテーマはタイトルにある「慢性疲労症候群」です。後述しますが、慢性疲労症候群は私にも因縁がある病気で、この病気に罹患したおかげで甲田療法の神髄を体験することができました。また甲田先生の慈愛を知ることもできました。
この小冊子はいずれこのブログで紹介しようと思っていたのですが、このところわりに時間に余裕ができて、六大法則、特に背腹運動の記事を続けて投稿してきましたので、いよいよこのミニ講話の掲載を行うことにした次第です。
慢性疲労症候群に関する私の体験や私が工夫した甲田療法のアレンジ(基本は甲田先生のお話に基づいています)は後述することにして、まずミニ講話を以下に掲載します。
一、【慢性疲労症候群】 平成十五年十一月二十一日
現代人は、疲れやすいという方が非常に多いです。すぐに疲れる。 何かをしようと思っても、途中で嫌になってしまうような方の中には、慢性疲労症候群という病気の場合がありますし、同じような症状の方でも鈍重肝臓という病気の場合もあります。
慢性疲労症候群の場合は、同じ疲れ方でも、鈍重肝臓の疲れ方とは少し違います。慢性疲労症候群の原因の根本は腎臓からきていますが、腎臓が悪くなるまでには段階があります。
足首の故障から始まって、次にノドへ、そして腎臓が悪くなります。(図1) 足首が悪くなると、アルバート氏病、ソーレル氏病、ケーラー氏病、モルトン氏病と呼ばれる脚の故障につながります。(図2)
足首に故障がある方は非常に疲れやすくなります。 特に午後になると、横になりたくなるくらい疲れてきます。 足首に故障があると、直ぐノドに影響します。
風邪が流行る ⇒ 扁桃腺がはれる ⇒ 溶連菌という菌がノドにつく ⇒ (その菌の影響で)腎臓が悪くなる、
その結果、下記のような症状が現れる。
・脚がだるくなってくる
・背中がだるくなってくる
・風邪をひくとなかなか治らない
・腰がいつもだるい
・ノドがいつも痛い
慢性疲労症候群は、まず足首から治さなければいけません。
足首が悪くなった原因は、次の4つが考えられます。
①甘いものが多い
②アルコールの飲み過ぎ
③過食
④塩の不足
塩の不足
汗をかくと、汗と一緒に塩が抜けます。 その時足を痛めます。その時塩の補給をしないと、足を痛めます。
ですから、減塩は怖いのです。汗をかいたら必ず塩の補給をするべきです。寝ている間にかいた汗と一緒に抜けた塩の補給もしなければいけません。
例)夜寝る前に体重を量ります。朝起きてすぐまた体重を量ります。体重が減った分だけ、夜中に汗をかいたことになります。500g体重が減った場合は、塩が2.5g減っていますから、2.5gの食塩を補給します。
一般的には、減塩、減塩と言われていますが、塩はおろそかにできません。摂り過ぎてもいけませんし、少なくてもいけません。
女性は妊娠するとお腹が前に出っ張ります。出っ張ると重心が前に傾きますから、それを支えるために足首が悪くなります。ですから、妊娠するとむくみが出るわけです。そういう場合も、足首を治さなければいけません。治すためには、朝食を抜かなくてはいけません。朝食を食べると足首は治りません。といいますのも、朝食を食べると、尿の出が悪くなるのです。
上の例のように、朝食を抜いている方はむくみがありません。朝食を食べている人はむくみがあります。腎臓がそれだけ違うということです。足がだるいなどと言う方は、むくんだ足で歩くから体がだるくなるのです。
東京で開催された日本綜合医学会の講演でこの話をしました。そのとき韓国のテレビ局が取材に来ていました。
テレビ局・「朝食抜きはカラダにいいですか?、悪いですか? 」
甲田先生:「朝食を抜くと、よく尿が出ますが、朝食を食べると尿の出が悪くなります。」
テレビ局…「本当ですか?」
というやりとりの後、テレビ局で試してみるということになりました。そして、後日電話があり、私の言った通りの結果だったと驚いていました。
皆さんも腎臓を丈夫にするために、朝食を食べた方がいいのか、朝食を抜いた方がいいのか、これで解りましたね?
現代医学では、それがまだ解っていません。ですから、「朝食を食べましょう」ということになるのです。そして、足がむくんでしまって、疲れやすくなるのです。ですから、慢性疲労症候群を治す条件のひとつとして朝食は絶対に抜かなければいけません。
鈍重肝臓の方は食べ過ぎですから、食事の量を控えないと治りません。夜寝る前にお腹が減るくらいにしておかないといけないのです。鈍重肝臓の方は、夜にたくさん食べます。食事の後でも饅頭や煎餅を食べます。すると肝臓を悪くします。同じ疲れやすさでも、慢性疲労症候群と鈍重肝臓は分けて考えなければいけません。
慢性疲労症候群の場合は、まず足首を治すことです。 うさぎ飛びをするのは危険です。 足首を悪くします。バレーボールも足首を悪くします。健康のために、ジョギングをするのもいいですが、ジョギングしたためにかえって体を悪くする方がおられます。それは、足首に故障があるのに走ったからです。足首の故障を治すということが、いかに大事かということをよく知っておかなければ、本当の健康にはなれません。
【慢性疲労症候群とは】
慢性疲労症候群(CFS)とは、これまで健康に生活していた人に原因不明の強い全身倦怠感、微熱、頭痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが起こり、この状態が長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという病態である。関連図書・・・『 慢性疲労症候群克服への道』甲田光雄監修 東方出版
【鈍重肝臓】
大食で肝臓に負担をかけ過ぎ、それを長期にわたって続けた結果、肝臓の機能が低下しておこる。検査をしても数値に異常が現れない。大食以外にも、胃腸が弱かったり、運動不足、ストレスの多い生活、飲酒も原因として考えられる。症状としては、疲れやすくて根気が全然ない。肩や首がこる。記憶力が低下する。人の名前や電話番号などもパッと出てこない。いつもイライラして時々癇癪玉を爆発させるが、その後、後悔する。悲観的になる。暑さ寒さに弱いなど。関連図書・・・『奇跡が起こる半日断食 』甲田光雄著 マキノ出版
以上、オートバックス健康センター発行の小冊子の最初に掲載されているミニ講話でした。
折角ですので、前述の様に、私の体験も交えた補足解説を簡単に行って本稿を閉じます。
私が数ヶ月苦しんでいた原因不明の極度の疲労に腎臓が壊れてる、との診断を受けたのはオートバックスの健康増進コースでの甲田先生の診察でした。
その頃、既に甲田先生の知己を得ていたのですが、朝食抜きや青汁飲用を行っていた私は「どの面下げて、甲田先生にお会いできるのか」という恥ずかしさ、面目なさが先に立ち甲田医院に伺えずにいました。
しかし病院に行っても一向に原因がわからず、悪化の一途を遂げていた疲労感がついに限界を超え、健康増進コース参加という「赤信号皆で渡れば‥」方式で甲田先生の診察を受けたのです。
その時の体験とその後の経過は以下のブログに書きましたので、興味がある方は是非ご覧いただきたいと思います。
上の記事には甲田先生が処方してくださった養生法を掲載しています。
そのポイントは以下です。
①朝食抜き
②青汁の飲用360㏄を二回(午前中と夕食前)に分けて
③1日3リットルの水の飲用
④玄米1合、豆腐1丁を昼、夜2回に分けて食べる
⑤1日、毛管運動✕6回(2分)、金魚運動✕3回(同)、合掌がっせき100回の実行(六大法則の3つ)
この5項目以外にも指示は頂きましたが、やってみて私が特に重要だと思ったのはこの5つです。
指示いただいた食事や運動の量、回数、時間は自分に合わせて多少の多い、少ないがあっても良いと思います。
運動については、それぞれYoutubeに動画が上がっていますのでそれをご覧になるのが良いでしょう。
甲田先生は前回紹介したご講話の中で「やらんよりはやったほうがよいやろ」くらいの「ちゃらんぽらんでよい」とお話でした。
これは甲田先生の慈愛からのお言葉ですが、よほど深刻な病態でない限り、自分に生活にあった変更はあってよいと思います。
青汁はスロージューサー(以下参考)で作ったものがお勧めですが、胃が丈夫な人ならミキサーで全部摂取する青泥(スムージー)でも良いでしょう。
青汁の基本は出来れば5種類以上の葉野菜、2種類程度の根菜、リンゴなど果物ですが、これも厳密に考えず少なくとも2種類以上、冷蔵庫にあまり野菜が無ければ小松菜+人参などでも良い、と考えたらよいでしょう。ただし、「ちゃらんぽらん」でよいといっても、良く宣伝されている粉末のものや缶入りのものは旅行等での代用程度にはなりますが、日常ではおススメできないことも付記します。
なお、缶入りのものでおススメできるのは下のサンスター製の健康道場シリーズです。このシリーズの第1弾は、甲田先生の監修を受けられていました。
また、甲田先生の処方の中で私が特に効果を感じたのは上④の玄米とお豆腐だけの食事です。
甲田先生はこれに白身魚を一切れつけることも薦められていました。
またその後、いろいろやってみて私が一番薦めたいのは炊いた玄米を玄米クリームにすることです。これは胃病に卓効がありますが、もちろん胃が丈夫な人にもおススメです。
おススメする理由は非常に短時間(5分以内)で簡単にでき、炊いた玄米は消化に悪いという欠点も克服できることにあります。
クリーム食には生の玄米を粉にする必要がありますが、それには以下がお勧めです
つくり方は上の粉ひき器で適量(1人分0.5合~1合)を粉にし(30秒ほど)、それを小型の鍋に入れ水を適量加え、かき混ぜながら弱~中火にかけ(2分程度)、練り上がれば出来上がりです。これに塩を適量入れますが、それだけでは美味しくないので私は次のような食材を入れて味付けし、おいしく頂いています。
①練りごま(黒)、②カレー粉(下)、③塩こぶ、④梅干し(つぶれ梅)。
クリーム食以外のアレンジ例や六大法則については以下を参照ください。
余談ですが、甲田先生はこのご講話では慢性疲労症候群(CFS)と鈍重肝臓と病名を分けてお話です。しかしこの2つはよく似た症状であることから、腎臓由来のもの、肝臓由来のもの、双方まとめて慢性疲労症候群としてお話されることもよくありました。
ちなみに肝臓由来の鈍重肝臓には上記事の中で紹介している生菜食に卓効があることも付記します。
なお、この小冊子は二冊あり、全部で40講話近い甲田先生のお話が掲載されています。いずれも診察の合間の短時間のお話ですから、近いうちに続きを紹介します。
以上、本日の記事が慢性疲労症候群の克服やその他の難病治病、また皆さんの健康増進のお役に立てば幸いです。








