「あの…」
私の問いかけにも応じない彼。
「仕事中は…本当に困るんです…!」
「嫌だね!まどかは普通じゃん!」
本当に駄々っ子!
「俺がいいって言ってるんだから、素直に従えばいいじゃん!」
「でも…ですね…」
「敬語も禁止!あと所々韓国語、間違えてるから!」
こいつ…
「わかったよ!
……ジヨンって呼べばいいんでしょ?」
彼はそれを聞くとにぃと笑いながら
「初めっからそーゆってるだろ。」
と満足そうだった。
なにを言い争ってたかと言うと、わたしから「さん」付けされるのが嫌だったらしい。
あたしは立場上仕事だし、そこら辺は明確にしたかったんだけど。
「それに小物合わせ変!俺はこうしたいの!」
………もうお手上げです。
「くっくっく…弄られてるねっ愛梨ちゃん」
「タプ!」
目の前には王子様が立っていた。
髪の毛をふんわりさせて、丸めがね。
トレンチコートがタプにぴったりだった。
「タプ!超かっこいい!やっぱり背が高い人はトレンチ似合うね。」
それを聞いたジヨンは自分の身長とタプの身長を見比べた。
ジヨン「愛梨!俺もトレンチがいいか。」
「えっ?!←げんなり
ちなみに聞くけど…なんで?」
「俺もトレンチ似合うから!!」
似合うかもしれないよ??!
でも明らかにタプに対抗意識持ったからでしょ??
「…私ね!自分に合った服装を自分なりの着方で着てる人いいなぁって思うんだ~!」
「……………。」
「我が道を行くって感じてすごくかっこいいと思う。」
チラッとジヨンを見る!
それを聞いたジヨンは自分の姿を鏡で凝視した。
ジヨン「…よし!今日もばっちし!早く撮影いこ~♪」
よし!!
タプ「愛梨ちゃんすげー。ジヨンの扱い方良く知ってるね!」
「ジヨンって女の人に褒められて伸びるタイプなんですよ~」
「女の人ねぇ……それって愛梨ちゃん限定だったりして?」
「えっ?」
「い~やなんでもない♪」
「????」
半年前までは、まさかジヨンとこうして再会して普通に話出来ると思ってなかった。
撮影が始まる。
さっきまでふざけあっていたメンバーも、撮影となると表情がキリッとなる。
さすがBIG BANGだ!!
特に上目遣いで挑発したり
眉を下げて少しセクシーに
歯茎がくっきり見える可愛い笑顔
下唇を噛んで甘えた顔
そんな色々な変形をみせるジヨンにスタッフ含め、私も釘付けだった。
「やっぱり、リーダーはかっこいい!」
「顔はタプのがハンサムなんだけど、あのリーダーの七変化の表情にやられちゃうのよね!」
近くにいたスタッフが会話しているのが聞こえた。
(やっぱりジヨンってモテるんだ~)
まどか「気になる?」
ジヨンに見惚れていて、まどかさんがそばまで来てるのが気づかなかった。
「なっなにがですか??」
「さっきのスタッフ達の話~そろそろ韓国語は完璧でしょ?」
「はっはい…」
「男は30歳からっていうけど、あの子達本当に大人っぽくなったわ」
まどかさんが切ない表情になった。
まどかさん…やっぱりジヨンの事…。
「でっ?本命はどっちなの?」
「ほっ本命?」
「そっ!大人の雰囲気あるけど実は話しやすいタプと、危なっかしいけど純粋に誰かを想い続けるジヨン。」
「誰…かを…ですか…」
「あれっ気づいてないって事ないでしょ?」
「正直…ジヨンがわからないです。」
それが本音だった。
「まぁ一度は…突き放されたわけだし…信じられないって気持ちのが強いだろうけど…」
「ジヨンにとっては…私は…丁度いいヒマ潰しなんです。」
まどか(…絶対そんな事ないと思うんだけどなぁ…)
夢にまでみたBIG BANGとの仕事もあっという間に終わった。
楽屋で私とまどかさんが後片付けしていると、撮影の終わったジヨンとタプとテソンとスンリが入ってきた。
タプ「どうする?愛梨この後家来る?」
愛梨「そぉだ!携帯!タプはこの後はもうオフ?」
「半日くらいは大丈夫。じゃ下で待ってるから」
楽屋でその会話が響きわたっていた。
ふとジヨンと目が合った……気がする?
ジヨン「…じゃお先に。お疲れ様。」
「お疲れ様です!」
まどか(珍し!「俺も行くっ」って言うのかと思った。)
スンリ「僕この後日本だぁ~ハードスケジュールだよ!」
タプに続きジヨン、スンリと楽屋を出ていった。
テソンは携帯をチェックしながらお茶を飲んでいた。
本当、テソンの存在だけで癒される。
「誰か僕のiPod知らない??」
そう言って入ってきたのはヨンべだった。
まどか「あっこれかな?」
ヨンべ「あっありがとう…」
まどかが手にしたiPodをヨンべに直接渡そうとする。
カシャン
まどか「ごっ…めん。ボーとしてて落としちゃった。」
ヨンべ「いやっ…僕の方こそ」
あ……れ?……
なんだ??
なんか部屋の中の空気おかしい。
……もしかして…2人って…
2人はすぐに別の方を向いたけど、明らかにまどかさんの様子がおかしい。
ヨンべもなんかぎこちない…
2人の様子を凝視していると、テソンと目が合った。
目が合ったテソンはすぐに別の方を見たけど…
…テソンもなんかおかしい。
詳しく状況聞きたいけど、今聞けるわけないし。
タプは知らなそうだし。
ジヨンはもう帰っちゃったし。
1番喋ってくれそうなおしゃべりのスンリも日本に向かっちゃったし。
気になる…
まどか「ちょっ…と!愛梨終わったなら早くタプのとこ行きなさいよ!待たせてるんでしょ?」
「あっ…はい!じゃお先に失礼します!」
私考える隙も与えられずに、まどかさんに部屋を追い出された。
急いで下に降りて、駐車場に着く。
その瞬間、すごいエンジン音と共に私を横切って行った車。
ランボルギーニ……ジヨンだ。
タプの声で現実に戻された。
マネージャーさんに挨拶をして、タプと隣に座った。
「気にして欲しかった?」
「えっ??」
「ジヨン。…俺も行くって言われると思った。」
「べっ別に…思いません!」
「だってさっきジヨンの車、切なそ~に見つめてたから」
「きっ…気のせいだよ!」
「まっジヨンにも一応カマ掛けといたから…期待通りにもなるかもよ??」
「よくわからない事言わないで…!」
みんなして、ジヨンが私の事好きみたいな言い方してるけど…
だったら半年前に私にあんな事言わないよね?
『お前はただのヒマ潰し』
…しばらくトラウマになりそう…
それに、私のこの気持ちは忘れなきゃいけない。
タプの家に着いて、一緒に入る。
「まぁゆっくりしていって」
そう言って、ココアを出された。
疲れた体には丁度いい甘さだった。
「はい。携帯。」
「あっありがとう。」
しーんと静まる部屋。
なんだか、緊張する。
「ブッ…愛梨ちゃん…緊張してるの?」
「えっ?なっなんで?」
「いや…顔固まってるし」
タプにそう言われて自分の顔が赤くなるのがわかった。
「愛梨ちゃんってさ…すぐ顔赤くなるよね」
タプが優しい顔で笑ったから余計赤くなった気がする。
「でもさっ…大人の男の人部屋に入るなんて…愛梨ちゃんって無防備なんだね」
「えっ??」
タプがジリジリと寄ってきた。
「あの…近い。」
その瞬間にタプに押し倒された。
「ジヨンが夢中になっちゃうのわかるなぁ…愛梨見てると食べたくなっちゃう…」
「えっ…!……あ…の…タプ??」
「ガマン…出来ないかも…」
私このまま…タプと…???


