西洋医学と東洋医学の根本的な違い | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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漢方相談をしていると、必ずと言っていいほど西洋医学的な診断名が話題に上る。

 

相談者は口々に自身の病名をこちらに伝えてくる。確かにその病名通りの症状を呈していたり、検査的異常が出ていたりするが、東洋医学的に分類すると全く異なる病機だったりするのが面白い。

 

たとえばリウマチでは、末端的症状は関節痛・熱感・関節腫脹・RF定量高値、CRP高値、MMP-3高値、赤沈高値などが起こる。

 

西洋医学では、なぜその状態になったのか??

 

という根本原因を探ることはなく、目に見える世界での治療を主とし、その末端症状に対してアプローチをかけ、免疫を調節したり、直接痛みを取ったり、関節変形を起こした場合には関節の形成手術をしたりする。

 

一方、東洋医学では、それらの末端症状を確認しつつも、なぜそれらの症状が起こったのか??

 

この根本原因を改善することが治療となるという考え方に基づき、目に見えない世界も視野に入れ、体質的寒熱・虚実・気血津液の盈虚通滞を分析して治療を行っていく。

 

したがって西洋医学の場合には、原因はさておき、とにかく同じような治療を行おうとする。ここには患者1人1人の体質などはあまり考慮されない。

 

東洋医学の場合には、たとえばリウマチ症状が「冷えと身体の弱り」から来ていると判断すれば、たとえ関節に炎症があろうとも温めて身体を強くする漢方を使うし、逆にその症状が「熱と潤い不足」から来ていると判断すれば、冷やして身体を潤す漢方を使う。

 

西洋医学的には同様の病名なのに、患者の体質によって、まったく真逆の方剤を使ったりするのである。

 

また他の例では、コリン性蕁麻疹という共通した病名では、西洋医学的には抗ヒスタミン製剤や抗アレルギー製剤、時には自律神経を調節する製剤を患者の体質を考慮することなく使用する。

 

一方、東洋医学では同じ病名でも、自律神経の乱れから生じているパターン、身体の中の熱的エネルギーの過剰によって生じているパターン、身体の中が冷えているために生じているパターンなど、患者の体質をきちんと分類して、その分類に応じた方剤を使用する。=これを本治という。

 

このように西洋医学の場合は、個々の体質はさておき、その症状と検査結果から同類の症候群に大まかに分類し、その分類に基づいて標準的な治療を行うという特徴があり、東洋医学の場合には、同類の症候群はさておき、個々の体質を最重要視して、その症状と検査の結果を踏まえたうえで、それが生じた根本原因を解決する治療を行うという特徴を持つ。

 

これが西洋医学と東洋医学の根本的な違いになる。

 

東洋医学の場合には、患者の体質を踏まえて考えるため、西洋医学的な統計学では図ることが難しい。同じ病気でも体質によって用いる漢方が全く異なるため、統計的にこの病気にこの漢方が効きましたといえないのである。そのためどうしても論文では1例報告が多くなってしまうのである。

 

現在、日本の医療は西洋医学が中心であり、西洋医学的な治療は目覚ましい進歩を遂げ、今まで解明されなかった人体の機能構造が次々に明らかにされているが、それでもまだ東洋医学が存在しているということは、人間の身体の治し方は1つではなく、いろいろな方法があり、またその複数の治療法が必要だということを教えてくれている。

 

自分が病気になったとき、どの治療法を選択するかは、自分自身が決めればよいが、このような違いがあることを知っておくと、もし西洋医学で治らなかったとき、東洋医学が効くかもしれないと思えるようになるのではないだろうか?