5月18日、千葉大学附属病院 和漢診療科見学! | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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普段は、廣田漢方堂の漢方薬剤師として漢方相談にのる毎日。自分が行っている漢方相談のスタイル(問診⇒体表観察⇒分析⇒処方提案)が他の同業者と比較して、どんなもんなのかを知るすべはありません。。。

 

とくに漢方薬局と比較しようとしても、店舗ごとに先生の考え方や処置の仕方は千差万別のため、あまり参考にならないことも多いのが現状です。

 

でも自費の漢方薬局で、毎月30人近くの新規相談予約があるのは、自分のやっていることが間違っていないという1つの証明材料にはなっていると思います。

 

そんな中、今回、昔北辰会で一緒に学んだ東京の新宿で開業している清明院の竹下有先生のつながりで千葉大学附属病院の和漢診療科の見学ができることに!!

 

竹下先生は現在も北辰会でバリバリの臨床家。

 

いやそれのみならず、鍼灸の地位向上のために学会に積極的に参加したり、後進育成にも力を入れたりしている素晴らしい先生です。

 

 

ということで、5月17日の夕方に仕事を切り上げ、千葉県に行ってまいりました!!

 

大学病院での診療なんて、滅多に見学できる機会はないので、滅茶苦茶緊張しましたよ( ;∀;)

 

特に千葉大学和漢診療科は、奥田謙三先生⇒小倉重成先生⇒藤平健先生と、日本の漢方界の重鎮の先生方が活躍されたことで有名です。

 

そんな伝統ある大学で実際の診療を見学できるなんて、ものすごく幸せ!!!

 

薬系漢方とは違う、医系漢方の神髄を肌で感じるべく、見学させてもらいました。

 

当日は朝早くから、早朝の漢方の勉強会に参加させていただき、そこから鍼灸治療の見学と漢方診療の見学、午後からはカンファレンスと千葉大学医学部和漢診療科の並木教授の回診の見学、千葉大学医学生に対しての鍼灸講座の見学、鍼灸師の勉強会と1日を通して、これでもか!というほどの内容でした。

 

特に漢方診療では、3分診療と揶揄される診察とは程遠く、じっくりと時間をかけて1つ1つ丁寧に問診し、方剤決定のヒントを探っており、僕の医系漢方のイメージとはかけ離れていました。

 

鍼灸治療も1人1人の患者さんに対して様々な側面から考察し、丁寧に治療を行っている印象がありました。

 

また並木教授の回診では、事前にカンファレンスにて東洋医学的な所見と西洋医学的な所見を拾い上げて、患者さんの状態を考察した上で、実際に回診し、詳細な問診と体表観察で方剤を決定しており、きめ細かなケアをされている印象を受けました。

 

この見学を通じて、僕が普段行っている漢方相談と何が違うのか?

 

薬系漢方として何を特徴にすべきかを考えさせられる1日でした。

 

これを解くヒントは、薬系漢方にしかない方剤やサプリメントを含む商品を組み合わせて、相談者の問題点をよりきめ細かく改善していくケアをすること、さらに薬局系漢方にしかない特徴的な機器を上手に組み込み、数値で可視化できるようにすること、さらに西洋医学、とくに薬学をバックボーンに持っていることを活かし、様々な疾患における病態把握と使用薬剤からの病証の推測することにあると思います。

 

よくある「ゆっくりと相談できます」といううたい文句での集客は、通用しなくなっていく可能性が高いのではないかと思います。

 

医系漢方は当然健康保険を利用できるので、費用が安価で済むという特徴を持っています。それに対し薬系漢方は自費となり、費用が相対的に高くになるため、この差を埋めるための何か特徴を持っておかないと、これから先、漢方薬局として生き残っていくことが一層難しくなるのではないでしょうか。

 

また医系漢方、鍼灸にはそれぞれ日本東洋医学会、日本伝統鍼灸学会、全日本鍼灸学会などの学会が存在していますが、残念ながら薬系漢方の学会は1つもなく、医系漢方、鍼灸の学会に所属しているのが現状です。

 

もしこれから先、薬系漢方が自分たちの立場をしっかりと主張し、自分たちの漢方を守っていこうとするのであれば、薬系漢方に特化した学会を創設したり、政治的に活動したりする必要があると感じました。

 

しかしながらこの実現は難しいでしょう。だとすると薬系漢方はこのまま消えていく運命なのかもしれません。(あるいは個人個人が自分の好きなようにやり続けるだけかも・・・)

 

僕自身は今回の見学といろいろな先生との意見交換の中で、自分の臨床だけを重んじるのではなく、後輩の教育、それから藥系漢方の存在意義を主張するために症例報告などの論文を投稿していく必要があると感じました。

 

そのためにはまだまだ自分自身のスタイルを改善する必要がありますが、その思いが現実化できるように着実に前に進んでいきたいと思います。

 

今回、千葉大学附属病院 和漢診療科を見学できたことで、とても多くの学びがありました。

 

この学びが普段の漢方相談に活かすことができるよう、いろんな工夫をしていきたいと思います!