30代の女性
AMHが1未満で卵胞が育たないため、体外受精を続けていた彼女。
いろんな方法を試すものの、FSHが高くて採卵すらできない状態が続いていた。
廣田漢方堂で体外受精のサポートを行いFSHが高い原因を東洋医学的な立場から分析するも、正直なかなかうまくいかなかった。。。
過去の経験からFSHが高い傾向にある女性に用いる漢方を使ったりして、良いときも出てくるものの途中でE2の値が下がってきたりして、結局キャンセルになったり・・・
そこで中医学的な視点から日本漢方的な視点へと診方を大きく変えてみた。
とくに腹診を重視するようにしたところ・・・
腹力はあまりなく、腹直筋の拘攣が顕著で臍下不仁があった。脈は浮濇沈眩で舌質は淡暗。
脈証は『傷寒論』の100条
「傷寒、陽脈渋、陰脈弦、法腹中急痛に当たるに、まず小建中湯を与う、癒えざる者は小柴胡湯之を主る。」
を思い起こさせる。
また腹診でも腹力がなく、腹直筋の拘攣が顕著なことから小建中湯が想像できた。
舌質淡暗で腹力がないことから、小建中湯の加味方であり、「虚労諸不足」に用いる黄耆建中湯がフィットする可能性が高いと考えた。
また臍下不仁=腎虚が顕著なことから人参・鹿茸などが必要と考え、体外受精のサポートにはかなり成績を残してくれているライセイジュ海の一雫・大地の恵みとともに黄耆建中湯を使用。
服用直後の採卵ではFSHが35にまで達し、採卵がキャンセルになってしまったが、服用すること1か月でFSHは顕著に低下し、D11でFSH7.5にまで改善。ホルモン剤による低刺激によって卵胞がD11で13mmまで成長し、E2の値も260とまずまず。
医師からもこれなら自然周期でも採卵できていたでしょうと言われたとのこと。
ここまでFSHが下がったのは久しぶりとのことで、やっと念願の採卵ができる状況に彼女は非常に喜んでおられた。
黄耆建中湯、恐るべしである。