ん~、やっぱり臨床は難しいっすわ( ゚Д゚) | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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掌蹠膿庖症で相談に訪れていた女性のお話

 

以前、掌蹠膿庖症で悩んでおり、漢方専門の病院で治療していたものの、あまり芳しくなかったために当方に相談しに来られた彼女。

 

皮膚の状況や問診、舌診、脈診などから総合的に判断し、「虚寒証からの水滞」とし複数方剤を使って症状はほとんど出なくなりました。

 

その後、妊娠されたため、安胎作用のある生薬配合のものに切り替えて様子を見ていましたが、妊娠中も症状は出ず、漢方を服用しなくても大丈夫なレベルにまで落ち着いていました。

 

しかし、最近になって風邪を引いた途端、一気に症状が再発したということで再び相談に来られたのです!

 

今回は手足のみならず全身に湿疹ができており、赤み・熱感・痒みの炎症3点セットがあり、ジュクジュクした部分もあったため、まずは「消風散」を使って対応しました。

 

消風散にて体の湿疹は落ち着きましたが、掌蹠膿庖症様の症状はなくなることはありませんでした。

 

この時点で本人は「熱感があり、冷やすと楽になる。」「入浴や運動で痒みが強くなる」という風に言っており、手の赤み、熱感ともに強かったために清熱剤が必要だろうと考え、石膏製剤を選択。

 

これで清熱利水すれば、熱証は落ち着き、症状は軽くなるだろうと思いました。

 

・・・・・ところがどっこい!

 

服用数日で症状が劇的に悪化し始めているという連絡が( ゚Д゚)

 

なんでや!?

 

熱証ちゃうんかい!!

 

僕の中では、熱証であれば、間違いなくこの方剤だというものを選んだつもりだったので、悪化したことが「青天の霹靂」でした。

 

「痒みを感じる時間が増えていること」、「赤み・ジュクジュク感が強くなっていること」を確認し、「手足ともに悪化しているのか?」、「日常生活で、かゆみを抑えるために何かしていないか?」を確認しました。

 

そうすると「足は悪化しているが、手の方が悪化している。手は痒みが強いので、常に冷やしている」という情報を得ました。

 

この瞬間、「あかんやん。。。それ熱証ちゃうやん。。冷やすことで気血津液が巡らなくなって鬱結起こして、気滞・水滞・血滞が助長されてるやん。。。真寒仮熱やん。。。」と思ったのです。

 

あわてて、石膏製剤を中止し、代わりに火神派理論を用いて附子製剤に竜骨牡蛎をかまし、活血剤を使用して、処方構成を「温剤」中心に切り替えました。

 

それを続けること2週間弱、症状は改善し、ジュクジュク感・赤み・痒みともに軽減。まだ水疱はできているもののその数は明らかに減っています。

 

現在の処方構成は「脾腎と三焦」を中心に水道を温煦して調節する漢方のため、ここに肺の通暢水道を調節する薬方を1つ加えて様子を見ています。

 

問診でも体表観察でも明らかに「熱証」を示していることを確信したのに、清熱剤で悪化するとは夢にも思いませんでした。また逆に温剤で改善するとは・・・。

 

どれだけ勉強して、頭の中では、こういうケースがあることを知っていても、実際の臨床では、やっぱり間違うことがあるんです。

 

臨床はやっぱり難しいな~。。。。

 

漢方の世界、難しすぎます。もう泣きそうです。毎日めちゃくちゃ勉強してるんやけどな~。。。

 

まぁ、すぐに「真寒仮熱や」と気づいて、ビビらんと、すぐに対処できただけでもヨシとせなあかんかな(苦笑)