
「校長先生、私は昨日、家で、校長先生からいただいた原稿用紙15枚(6000字)を全部書いて、本にしてきました。今、腕が筋肉痛ですし、指にタコまでできています。」
「校長先生、ぼくはノートに23ページ(5000字)も書けました。」
「ぼくは19ページ(4000字)です。」
「私は、マインドマップで、もっともっと考えたい。冬休みにノート1冊の物語文を書いてきます。」
これはすべて、私に語りかけた小学校3年生の言葉です。
2007年から2010年にかけて、私が他校の担任として実践研究をした「マインドマップで物語作文の設計図をかいてから、本文を書こう」という授業を、3年生の学級でさせてもらいました。文章を書くということは、とても大きなエネルギーが必要です。いきなり原稿用紙を渡されて、「書きなさい」と言われても、大人でも書くことに苦労してしまうことが多いでしょう。ですから、「作文の設計図」が必要だと私は感じています。この学習では、子どもたちに考えを拡げるためのマインドマップという「道具」を与え、それを足場にして思考を拡げられるだけ、どこまでも拡げていく。その過程で次々とひらめきを起こした子は、脳内でドーパミンが放出されて、とても楽しい状態になりますので、考えること=学ぶことをやめられなくなる。その結果、紹介したようなプラス思考の言葉が聞こえてくるというしくみになります。
令和2年度から完全実施になる新学習指導要領の柱のひとつとして、「主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力」があげられています。「私は、マインドマップで、もっともっと考えたい。冬休みにノート1冊の物語文を書いてきます。」という3年生が自ら発した言葉こそ、非常に高いモチベーションをもち、主体的に自分自身の課題を作り出し、学びに挑もうとする力の証明であり、そのモデルとなる子供の姿なのではないかと感じました。