小学生バレーボールだけでなく、他のスポーツも含めて、いろいろな指導者が書いているブログを読ませてもらうと、子どもたちが今までと違うと悩んでいるケースがよく見受けられる。これを学校教育の立場から考えてみようと思った。
子供の教育とはその年によって全然違うのである。最近よくベテランの教師が行き詰まることが多いが、それは過去の自分の実績にとらわれているからである。過去は過去である。その時代には通用した指導方法があったであろう。しかし時代は日々動いている。新しい時代を、その時代自身が生み出している。過去の業績は改変していかないと通用しない。
私の持論に「授業はライブだ!」という考え方がある。1回1回の授業は“生もの”であり、その教室にいる教師を含めた全員が、まるでライブ会場にいるかのように主体的に授業を展開してこそ効果的なものになるという考え方である。スポーツ指導もまた同じである。時代もメンバーも毎年ちがう。過去と比べるような思考を指導者がした瞬間にチームの停滞が始まる。新しい時代には新しい指導方法が必要なのである。指導方法の更新に次ぐ更新を繰り返せるエネルギーを持っているかどうかが指導者の必要条件なのではないだろうか。
今回の記事の題名を「時を感じ機に応じる」と書いた。
「時を感じる」とは、今現在の時代風潮を感じることである。政治・経済・教育・医療・芸能・芸術等々、今はどんな時代なのかを感じることが指導者に求められる。また、時とはチームの状況を表す時でもある。チームとして今は鍛錬期なのか、試合期なのかで指導が変わる。長い目で見て、今はどんな時なのかをいつも模索している必要がある。さらに「機に応じる」ということが非常に大事である。
その昔、釈迦が仏教を開いた時代、スタート時に民衆相手に重要な悟りを語ったところ、難しすぎて誰も理解できなかった。民衆の機が熟していなかったのである。そこで非常に易しい方便(ウソやたとえ話)から指導を始め、民衆の機が徐々に高まるように指導をし続けた。そして、40年間以上も本当のことを教えず、ねばり強く弟子や民衆の知識(機)を育み続けた。最後の最後に民衆の機が熟したことに応じて、「今ならば本当のことを理解できるだろう」と、心に秘めていた本質を指導した。これが機に応じる指導です。
目の前の子どもたちのレベルに合わせて、最も適切な指導を入れていくことしか、私たち指導者にはできないのだと思います。もちろん「最高レベルの目標=ゴールイメージ」を決してあきらめないことが大事だとも思います。
時代は日々動いています。私たち指導者は過去の栄光を喜んで捨て(喜捨)、常に自己革命をしていくことで、その時代に合ったチーム運営をしていくことができるのではないでしょうか。