その大切な会とは「TSA20周年記念祝賀会」といいます。
TSAとは「徳持スポーツ協力者会議」という団体です。大田区立徳持小学校の施設を使って活動している小学生スポーツチームの組織です。この団体には、野球、ソフトボール、サッカー、バレーボール、バドミントン、卓球、空手といったチームが所属しており、普段は各チームの練習に励みつつお互いの情報交換や施設利用時間などを調整し合いっています。さらに年に1回は全団体一緒に「TSA昔の大運動会」を開催して、子どもたちを育てています。
「昔の大運動会」と名付けている理由は、「パン食い競争」や小麦粉に顔をつっこんでの「あめ玉探し」、「バットマンレース」「障害物競争」「借り物競争」といった笑いを誘うような競技種目がたくさんあるからです。
チームの枠を超えたこのような団体が20年も前に誕生していたのです。
私を呼んでくださったのは、私が徳持ジュニアバレーボールクラブの初代監督だったからです。
祝賀会ではお世話になった懐かしい方々との再会をすることができ、楽しい2時間を過ごすことができました。みんな「もう20年もたったんだね」と言って苦笑しつつ、「次は30周年だ!」「40周年もやるぞ!」と意気揚々。こうしたお元気な方々が子どもたちを育んで、学校を支えている模範的な団体がTSAです。
このTSAを立ち上げた人が、当時、校長だった高山先生です。高山先生は私の恩師でもあります。
今日もじっくりお話をすることができ、いろいろなことを教わってきました。
(1)学校の周りのお墓参りを必ずしなさい。地域の歴史を大切にする教師になりなさい。先生はそこまで地元のことを大切に考えてくれるのかと慕われる教師になりなさい。
(2)井上君が作文指導に力を入れているとは嬉しい。書くことは大事なことだ。書くことで自分の考えがまとまる。読み返すことができる。これが大事なんだ。文字にしたものは終わりではない。ずっと後で読み返すことで、また新しい自分に気づくことができる。
(3)TSAという組織を作ったが、みんなの同意を得てできたものではないんだ。私と○○さん、○○さんの3人で話して決めたんだ。そして「こういう組織を作るよ」と半ば強引に立ち上げたんだ。それでも各チームのみんなは「やりましょう」と共感してくれた。校長とは時にはそういう強さも必要なんだと思うよ。
(4)校長や副校長というものは99%を学校に捧げないと学校は良くならないものだ。だから自分の家族を犠牲にしなくてはならないことが多い。それでも自分の学校に通ってくる子どもたちや地域のために頑張るのが管理職なんだ。
(5)この頃は学校の教員同士のつながりも薄くなっているし、地域や保護者と学校とのつながりも薄くなっている。でもそれでは子どもは良くならない。良い教育も生まれにくい。
この他、プライベートな話題もお話くださり、久々に「指導」を受けることができた喜びを感じることができました。
私が20代の頃に高山先生から学べたことは本当にたくさんありました。その中でふたつ例をあげたいと思います。
ひとつは「授業で勝負をしなさい」ということです。
私の教員経験の中で、校長先生として「授業をさせてもらえないか」と言って、私に授業を見せてくれたのは高山先生しかいません。この経験があるからこそ、私は若手教員に「いつでも授業を見せるからね」と言うわけです。良い授業を、楽しい授業を、子どもたちが伸びる授業をするのだという高山先生に教えられた信念。生涯忘れることなく進みたいと感じています。
もうひとつは「教師は“こんちくしょう”を忘れるな」という言葉です。徳持小学校には障害児学校から異動して、初めて学級という集団指導をした私なので、学級経営がうまくいかずに高山先生の指導を受けました。その時に励ましていただいたのが「こんちくしょうを忘れるな」でした。
「こんちくしょう」は意味的にはあまり良い言葉ではありませんが、うまくいかなくてくじけそうになった時に自分を叱咤する意味ではとても気合の入る言葉でもあると思います。「こんちくしょう!負けないぞ!」「こんちくしょう!次はもっと良い授業をしてやる!」など、自分がへこたれそうになってもグッと踏ん張るための言葉として使ってきました。
今日、このことを話題にした際に、高山先生からはこうも言われました。
「こんちくしょうの“ちくしょう”は“畜生”なんだよな。獣だよ。人間には畜生みたいな面もある。時には獣のような強さを持つことが必要だということだ。反対に、自分の中の畜生をおさえて、仏のような面を出そうする必要もあるよな。夫婦の間でも“こんちくしょう”と思う時がある。相手の畜生を感じちゃうんだよな。でもそういうことを分かっているのか分かっていないのかで全然違ってしまうんだよ。」
こうした対話をしていると、自分自身が20代の若手教師に戻ったみたいで、心に赤い火が灯りました。
ウイリアム・ウォードの言葉に、「凡庸な教師は指示をする。良い教師は説明をする。優れた教師は範となる。偉大な教師は内なる心に火をつける。」とありますが、私の心に火をつける高山先生は、やはり偉大なる教師なのです。
高山先生に「作文ワーク」を贈呈することもできました。
さすがに「マインドマップ」は分からなかったようですが(笑)
![]() | マインドマップで作文すらすらワーク (ドラゼミ・ドラネットブックス) |
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