先週のことです。一人の男子が書いた文章を私が紹介する機会が偶然に生まれました。その文章は、現在上映中の「スペースバトルシップ・ヤマト」について書いたものでした。
「今日、スペースバトルシップ宇宙せんかんヤマトを見にいった。内容は、こわれた地球を守るため、ヤマトがイスカンダルに行きます。そこにはとてつもないものが。つづきはげきじょうで。」
ほとんど内容を教えてくれず、「つづきはげきじょうで。」と言った内容に、クラスの仲間は大爆笑したのです。「何にも分からないじゃん!」と。
ここで私は、この子が活かされるチャンスを見ました。つかまえました。
「つづきはげきじょうで、なんて言われたらさ、先生はげきじょうに行くしかないじゃん。じゃあ、今晩行ってみようかなぁ。」
自分が書いた文章がクラスの仲間の爆笑をさそい、さらに担任の先生が実際に「ヤマト」を見に行ってしまう。このような状況に、この子は心を震わせるような喜びを感じたようです。2日後の日記にこのような文章を書いています。
「今週、ぼくは調子のりのりです。いつもは芸でしらけていたぼくが、今週はしらけない。まず、月曜日は、日曜日に書いたマイ新聞、宇宙せんかんヤマトの映画を見たことを書き、内容を少し書いたところで、『つづきはげきじょうで』と書き、井上先生が発表したら、クラスのみんなは笑ってくれた。その日、井上先生が『今夜映画を見に行くよ』と言ってくれた。
そして水曜日の2時間目の算数の面積の勉強中、みんなの前で問題解くことになり、ぼくの前に発表していた子とバトンタッチをするときに、『イッテミヨーカドー』と言ったら、みんなが大笑いした。
ぼくはこのように、調子にのりのりだ。これからも調子のりのりにしていきたい!」
人間は、自分の存在を認められた瞬間に、これ以上ない喜びを感じます。
学級担任に限らず、“教師”の仕事の最大のポイントは、勉強を教えることだけでなく、こうして子どもの心に火をつけることが大事だと思うのです。
アメリカの教育者であるウイリアム・ウォード氏の有名な言葉にこのようなものがあります。
凡庸な教師は指示をする。
良い教師は説明をする。
優れた教師は範となる。
偉大な教師は内なる心に火をつける。
内なる心に火がついた子どもたちは、教師が何の指示をしなくても、自ら高みに昇っていくことができるようになります。
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