
「やった~~~!!!」
学校内に響きわたるほどの子ども達の歓声が上がりました。
クラスのみんなで力を合わせて目標を達成できた瞬間の歓喜の雄叫びです。
何ごとかと隣のクラスの子が見に来たほど。その楽しい雰囲気、そして喜びは普通じゃなかったようです。
何をやったのかというと、「学び合い学習」の導入をしてみたわけです。
「ジャンケンで3回勝ったら座れます。全員が座るまでやります。みんなが早く座れることが目標です。自分一人が座れることではありません。ヨーイ、ドン!」
大騒ぎしながら必死にジャンケンをする子ども達。
1回目、70秒。
「けっこう時間がかかったよね。じゃ、どうしたらタイムを縮められるか考えてみようか。」
たくさんの意見が出ました。みんなが納得できる素晴らしい意見の数々。
「では意見で出てきたことに気をつけながら、もう1回チャレンジしよう。ヨーイ、ドン!」
教室内を動きまわる子が激増する。
2回目、48秒。
「もっと縮められそうだね。実はこのクラスには弱点があります。『団結』のマインドマップには出てこなかったことです。分かる人?」
「はい、男女の協力です。」
「そうそう、まだまだやっぱり男女の分け隔てがあるよね。それを乗り越えたらもっと早くなるんじゃない。では、今度は自分達で目標を設定しよう。」
子ども達が決めた目標、45秒。
「では、ヨーイ、ドン!」
近くにいる人なら、男子も女子も関係なくジャンケンし出しました。
「タイムは・・・・・・・44.18秒!」
「イエーッ!!!」「わーっっっっ!」
みんな大喜びのニッコニコ!
次の目標、38秒。この微妙な数字。子ども達がいかに頭を使っているかが表れていますよ、ここに!
「ジャンケンなんて言ってたら遅くなるから、“ポンッ”でやろうよ!」
「よーし!やろう!やろう!」
「じゃ、いくよ、ヨーイ、ドン!」
大騒ぎも極めつけ。楽しくて楽しくてならない状態。
「早く席につけ!」「座っている人、どんどんジャンケンしろ~!」
全員が3回勝って席につく。
そしてタイム。
「3・・・・・(子ども達、机をたたいてドラムロールの真似、ダダダダダダ・・・・)・・・・・5秒! 35秒です!」
「うわ~~~~~~っっっっっ!!!!!!」
何とも言えない達成感。たかがジャンケンをして遊んでいただけなのに、なんだか感動に包まれている教室。
「すごいよね! みんなで同じ目標を目指してさ、ジャンケンしただけなのに、なになに、この達成感は! これを勉強でもやったらさ、すごいことになるんじゃない! 自分だけが勝つんじゃなくって、みんなが勝てるように、みんなができるようにしていけば楽しいよね!」
学び合いの導入でいきなりドラマが起こってしまった井上学級です。
これを学年で取り組んでいくようにしようと思います。
導入だけでなく、国語と総合の時間でも学習に学び合いを試してみましたよ。
国語での設定目標
「教科書の『ガイドブックをつくろう』を読んで、クラス全員が大事なところをノートにまとめ、誰もが説明することができる。それを12:05までにやること」
総合での設定目標
「20分間で、インターネットを使って、全員が日光に関する資料を手にすること」
子ども達、ちゃ~んと教え合いながら学習を進めていました。
もともと、マインドマップという思考ツールを持っている集団ですから、ここに学び合いの心が加わればかなりすごいことになる予感がします。
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じつは昨日、横浜市にある「神奈川近代文学館」で開催された「学び合いセミナー」に参加し、学び合いとはなんたるかを勉強させていただきました。これまで見た学び合いの授業が「どうしてこれが学び合いなんだろう???」と、どうもしっくり来ていなかった私は、その本家に行って話を聞かないと分からないだろうと教えてもらいに行ったわけです。
学んだ内容に関してくわしく書くと、とんでもないほど長い文章になる(小冊子を1冊作れるくらい)ので、マインドマップを載せておきました。
まずは、上越教育大学「西川 純」先生の講演『できない子なんていない』マップです。

次は、信州大学「三崎 隆」先生の『出前(模擬)授業』の様子マップです。

三人目は、上越教育大学「水落芳明」先生の『学び合い 安全な入門講座』マップです。

セミナーの内容を要約すると、
(1)従来の授業ではどうしても「傍観者」的な学習者が生まれてしまう。学習とは本来、全員が主体者となった状態のことを言う。
(2)子ども同士が学び合うことによって、深いコミュニケーションが生まれ、「WE(みんなで)」という意識になり、教室の空気が温かくなる。
(3)学び合いは授業方法論ではなく、子ども観、学校観、授業観をしっかり持って、学びの環境に整えるという教育哲学である。(と私は感じた)
(4)教師の役割は授業の中心にいる授業者ではなく、「授業コーディネーター」と捉えていく。
(5)達成目標を学習者全員が共有し、一人が「できる」のではなく、「みんなができる」ことを目指す。
(6)これによって学習効果は必ず上がる。
(7)さらに子ども達の人間関係、道徳的実践力なども向上していく。
ということですが、じつはこの内容は、私が所属している某研究会では、「問題解決学習」として研究し、すでに当たり前のように授業実践されていたことでした。
長くなりましたので、あとはぜひ本をお読み下さい。
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