
私はモノマネが得意である。
何のモノマネかというと、「授業のモノマネ」が得意なのである。
「今見た授業を再現してやってみろ」と言われれば、その授業にかなり近づけて再現する自信がある。
この習慣は少年時代からスポーツで培ってきた。
つまり強い選手のマネをすればある程度の実力はつくという発想を、今考えれば小学生時代から持っていた。
小学生時代の野球(なんともうれしいことに東京都大会で優勝したチームにいた・・・品川ドジャース)では、プロ野球選手のピッチングフォームをマネして遊んでいた。ジャイアンツの堀内、倉田、大洋ホエールズの平松、中日の星野等々。ついには左投手の江夏や高橋一三のマネもしたくなって練習し、スイッチピッチャー&スイッチバッターにまでなった。
中学高校でやった卓球では、当時世界チャンピオンだった中国の郭躍華選手のプレーを、卓球専門店に毎日のように通いつめてビデオを見せてもらい完璧にコピーした。20年以上たった今でもその当時に身につけた「投げ上げサーブ」は健在で、教職員卓球大会では誰にも取らせない。ここ数年間、無敗である。
授業でコピーをした(最近の言葉ではパクったというらしい)のが「林竹二先生(元 宮城教育大学学長)」の授業である。
「人間とは何だろうか?」
このテーマの下、覚える授業ではなく、考える授業、追求する授業を林先生に代わって続けてきたつもりである。これまで勤務した学校ではこの授業を数多くやりたくて、他クラス他学年の先生に頼んで、授業時間を2時間借りて、出前授業をしたほど惚れこんでいる授業である。
林先生は残念ながらすでに故人であるが、そのお人柄を忍んで今でも夏休みになると、先生の授業実践ビデオを見ながら語り合う研修会が開かれている。私も2回参加させていただいた。
先生は、学長という立場にもかかわらず、教育現場を大事にした。多くの小中学校で次々と授業実践を行なった方だ。
授業が大事である!
多くいる現職校長(東京の小学校だけで1200人以上)の中で、「私にも授業をやらせてほしい」と担任に頼みに来る人がどれほどいるだろうか? 私の教員生活の中では、大田区立徳持小時代にお世話になった高山正之校長先生ただ一人である。
林先生の著作には、子ども達のたくさんの授業写真が載せられている。授業を通して子ども達の表情がみるみる変わっていくことがよく分かる。
「授業を通しての変容」
こうしたことをもっともっとたくさんできるような力量ある教員を目指して勉強をしていこう。林先生の本を手に取ると、不思議とそういう気持ちになる。


