~これは、みんなが知っているあのお話のずっとずっと前のこと~
むかしむかしある所に、
パン工場で働くとても心優しい青年がいました。
その青年の作るパンは村のみんなから大好評!
中でも自家製のイチゴジャムで作ったジャムパンは、
みんなから天下一品!と言われて一番人気でした。
いつしかその青年は、ジャムパンのお兄さん、ジャムパンのお兄さんと呼ばれる様になり、
そして気づいたら『ジャムにいさん』と呼ばれるようになっていました。
そんなある日、
ジャムにいさんはいつもの様に一番人気のジャムパンを作っていました。
ジャムにいさん「美味しくな~れ、はひふへほ~!美味しくな~れ、はひふへほ~!」
この『はひふへほ~』とは、
ジャムにいさんにとってのパンを美味しくするおまじないの様な物でした。
ジャムにいさん「いつもこうして一人でパンを作っているが、やはり話し相手が欲しいなぁ。
そうだ!
このジャムパンで人形を作ってみるとするか。」
そうすると、
ジャムにいさんはとても大きなジャムパン人形を愛情をたっぷり込めて作りました。
ジャムにいさん「おぉ、可愛くできたぞ。
よしよし、僕の話し相手になってくれるかな?」
ジャムにいさんはその愛情をたっぷり受けたジャムパン人形に話し掛けました。
・・・するとどうでしょう。
そのジャムパン人形が突然喋りだしたのです。
ジャムパン人形「は~~ひふへほ~~!!」
ジャムにいさん「ひぇ!こりゃたまげた!
僕の作ったパンが動きだしたぞ!
しかもなんだか強そうだ!
よし!今日から君はジャムパンマンだ!
最近村で悪さをする奴が増えて来たから、そいつらをやっつけるヒーローになってくれ!」
ジャムパンマン「はい!分かりました!!
僕が村の平和を守ります!
では、さっそくパトロールに行ってきます!」
ジャムにいさん「気をつけるんだよ~!
はぁ、結局また一人になってしまった・・・。
仕事も終わったし、鬼ヶ島に最近できたパンケーキ屋にでも行ってみるかぁ・・・。」
その後ジャムパンマンは、
村で悪さをする顔がどんぶり型のチンピラや、カバのヤ○ザ、
子分達から『バタ姉』と呼ばれるレディースのトップなどの不良たちを片っ端から倒し改心させるのですが、
ある戦いの時に、
相手の攻撃がジャムパンマンの胸の辺りをザックリ切りつけ大怪我をしてしまった事もありました。
しかしジャムパンマンはくじけず立ち向かい
その強敵も倒し改心させたのです。
そんなこんなで村には平和が戻りました。
~そして数ヶ月後~
ジャムにいさん「ジャムパンマンのお陰でここ最近はめっきり悪いやつも現れなくなったね~。
いい事だよ~。」
ジャムパンマン「はぁひふへほぉ・・・
悪いやつがここ何ヶ月もいない・・・はぁ、つまらん。
これでは何が幸せで何が喜びなのか分からないまま終わってしまう・・・
まぁ、そんなんでもいっか・・・。」
この日から
目標を失ったジャムパンマンの堕落した生活がはじまりました。
そうなると、
ジャムパンマンは何日もパン工場に帰らず外をフラフラし、
もちろん風呂に入らず、顔にはカビが生えてあっという間に腐敗が進み、
息子の様に可愛がっていたジャムにいさんにも誰だか分からなくなる程みすぼらしい姿になってしまいました。
すると、ジャムパンマンのそのヒドイ姿を見た村の人たちの態度は急変しました。
変わり果てたジャムパンマンが一歩外に出ると、
みんな口々に
「こっちにくんな!汚いのが来るぞ~!逃げろ~!」
「あっち行けバイ菌!!バイ菌!!」
「最近ジャムパンマン見ないね~。あのバイ菌野郎をやっつけて欲しいのになぁ!」
と言うのでした。
ジャムパンマン「・・・はぁひふへほぉ。
もうこの村にはいられない・・・
このままだと僕をここまで育ててくれたジャムにいさんにも迷惑が掛かる。
・・・ここを出よう。」
ジャムパンマンは村を出て一人山奥へ行きました。
ジャムパンマン「・・・こんな毎日がつまらないクソみたいな人生、
一体俺は何の為に生まれたんだ?
そしてこれから何をして生きていけばいいんだ?
それがこのままだと答えられないまま終わってしまう・・・
そんなのは嫌だ!
へ、バイ菌か・・・。
バイ菌ね・・・。
上等じゃねぇか!
俺はもうパンでもヒーローでもなんでもねぇ!
今日から俺の名はバイキンマン様だー!!
今まで散々助けてやったのに何の恩返しもしない上に
俺様をないがしろにしやがった村人達に
俺様の恐ろしさを思い知らせてやるわぁ!!」
心優しきジャムパンマンは、
村人達に裏切られ、すっかり心が歪んでしまいました。
ジャムにいさん「・・・最近ジャムパンマンが帰って来ないなぁ・・・心配だなぁ。
そうだ!
この余ってるアンコを使った人型のパンをまた作って・・・」
~そして~
村人「きゃー!バイキンマンよ~!
だれか助けて~!」
バイキンマン「はーひふへほーーー!逃げろ逃げろ~!踏み潰すぞ~!
がーははは!楽しいな~!」
村人に悪さをする様になると、
ジャムパンマンは毎日が楽しく思えました。
しかし、そこへジャムにいさんが作った彼が登場するのです。
アンパンマン「ジャムパンマンって人は一体どこへ行ったのだろう・・・探せって言われても顔知らないしなぁ。
それにしてもジャムにいさんはずっとジャムパンマンの事心配しているなぁ・・・
あー!なんかあそこで村人にが悪さをしているヤツがいるぞ!
おーい!やめるんだー!!」
バイキンマン「おーのれー誰だ貴様はっ!!
俺様の楽しみのジャマしおってー!」
・・・こうして、
悪さをする事で生きる喜びを見出してしまう『バイキンマン』とその敵『アンパンマン』のストーリーが誕生したのでした。
毎日毎日懲りずに悪さをするバイキンマン。
そうしないと、またどんどん目標を失った自分が腐っていく事のが怖かったのです。
だからどんなに強い敵『アンパンマン』が相手でも、恐れないで生きる喜びを求め続けるのでした。
ただその生きる喜びを求める為に村人に悪をすると、
昔ヒーローだったときに負った胸の傷が痛むのでした。
ジャムにいさん「さぁ今日もジャムパンマンが帰って来た時に恥ずかしくないように昔みたいな美味しいジャムパンを作って待ってよう!
♪美味しくな~れ、はひふへほ~!♪
♪ジャムパンマン早く帰っておいで~、はひふへほ~!♪
は~ひふへほ~!
は~ひふ~へほ~!」
バイキンマン「は~ひふ~へほ~~~!」
みんなが知っているあのお話の
ずっとずっと前のお話でした。
【完】
・・・そうそう、
悪さをしまくるバイキンマンが今まで絶対にしなかった事があるんです。
それは・・・
決して
パン工場を攻撃しない。
バイキンマン「うぉ~い!そこのお前~!余計な事言うんじゃねぇ~!
次にぶっ壊そうと思ってたのだ~!」
お~と、失礼!失礼!
じゃあこの辺で!
バイバイキ~ン!
【完】
ぽ~にょぽにょぽにょ肥満の子~
食べたいものだけを食べて来た~
ぽ~にょぽにょぽにょた~るんだ
ブヨブヨお腹の哀れな子~
食べたいものだけを食べて来た~
ぽ~にょぽにょぽにょた~るんだ
ブヨブヨお腹の哀れな子~