【前編はこちら】
その大仕事とは、
俺に横須賀のココイチ限定で販売している4つのメニューのお店に張る用のポスターを作ってもらいたいというものだった。
おいおい・・・
俺は小学生のときの図工はABCの【C】、
中学校のときの美術は5段階で【2】だったんだぞ。
動画作製とポスターは全く別物。
ポスターなんて作った事ないし、しょうも無いものしか作れない事は目に見えている。
それでマスクドCoCo壱さんのお仕事に迷惑が掛かるのならば
いっそうの事断ってしまった方が良いのではないかとも思った。
そんな渋っている俺にマスクドさんは言った。
マスクド「いやイノさん、そんな重く考えないで大丈夫ですよ~。
イノさんの仕事に支障が無い程度にホント適当に簡単なモノでいいんですよ~。」
俺は言った。
「・・・マスクドさんすいません。
ぼくには出来ません。
大切な友人からの依頼を適当にやるだなんて。
やるからには全力でやらせて貰います。」
そこから毎晩、マスクドココイチさんとアイデアを出して試作画を作っては修正し、
また試作画を作っては修正するなど日付が変わるまで電話で微調整を繰り返した。
だからこそ
出来上がったときの達成感は味わった事の無いものだった。
店舗に飾られた写真を見て、俺は本当に感動した。
しかし驚く事に
これでめでたしめでたしとはならなかった。
ある日、うちにとんでもない物が届いたのだ。
箱に入っていたのはココイチのレトルトカレー【ビーフ】と【野菜】が
各30個ずつ。
つまり計60個。
発注か?
これは確実に家庭用の量ではない。
毎日一食くっても2ヶ月。
食べた。
毎日食べた。
すげぇ旨かった。
やっぱりココイチのカレーは旨いなぁ。と思った。
しかしいくら毎日食ったり、
妹や友人たちに配っても一向に減らない60個。
とても贅沢な気分になり
まぁこれでマスクドさんの感謝の気持ちがよーく伝わった。
お礼の電話をする俺。
するとまたとんでもない展開に・・・
マスクド「いえいえ~、本当にありがとうございました!
で、実はですね
イノさんに今度はビックプロジェクトがあってですね・・・」
なんだなんだ?
これで終わりじゃねぇのか・・・?
話を聞いてみるとそのビックプロジェクトとは、
CoCo壱番屋のレトルトカレーの
【マスクドCoCo壱パッケージ】のデザインをすると言うものだった。
いや待て。
それまでのポスターも大変だったが、言ってみれば横須賀のココイチ3店舗限定で張るだけのもの。
しかしこれは商品。
デザイン次第で売れゆきを左右する。
これはCoCo壱番屋を背負う、まさにビックプロジェクト。
しかしこれを聞いた俺は嬉しかった。
マスクドさんが俺にこう言ってくれるという事は、
あのポスターが成功に終わった事の何よりの証。
もう断る理由なんて無かった。
そこから毎日パソコンに向かい試作画を作り続けた。
話によると
こればかりはマスクドさんの一存だけでは決められないらしい。
10種類程ある試作画の中から3つをチョイスし、CoCo壱番屋の本部に提出。
その中の一つが商品化されるという流れという事だった。
これもまた毎晩日付が変わるまで電話をし、LINEで画像を送りながら微調整を繰り返す日々。
そしてようやく本部のOKが出て、
ようやく商品化に辿り着いたのがこれだ。
これを見たときの嬉しさはポスターの比ではなかった。
そしてさらに俺にとって嬉しい情報が。
1000個限定で発売していたこのレトルトカレー。
これがなんと発売2日で通販分が完売したのだ。
あとは横須賀3店舗とその他のココイチ数店舗に5~10個あるのみらしい。
やって良かった。
大好きなCoCo壱番屋にこんな形でプロジェクトに参加させてもらえる日が来るなんて思っていなかった。
これでマスクドCoCo壱さんから怒涛の「イノさんにお願いが・・・」の数々はようやく終わりとなり、
俺に今まで通りの平穏な日常が戻ってきた
ハズも無く
今度はちょっと違った方向性の「イノさんにお願いが・・・」が来たのだった。
つづく。