生きる希望持たせたい
新聞記事より
生きる希望持たせたい
ある始業式
教室は問借り/家流され私服/授業再開いつ
被災地の学校が再開されつつあります。
6日、東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市立女子商業高校の始業式が、同市立女子高校のアリーナ2階を借りて開かれました。
女子商業高校は津波をかぶり校舎が使用できません。女子高校のアリーナの1階は避難所になっています。廊下や階段には支援物資などが置かれています。
歓声上げて
新2年生のクラス分けの紙をみて、歓声を上げる生徒たち。友だちと手をつないだり、ケータイを手に話をしたり…。
この日、集まったのは2・3年生210人中、187人。制服姿のなかに私服の生徒がいます。「4月21日の登校日のときよりは私服の子が減りました。どうにかして、そろえたんでしょうね」と同校の教師がいいます。
「うち、全部、流されたから」と私服の生徒の1人が話します。
始業式に先立ち行われた着任式では、生徒代表のあいさつに、「在校生4人の尊い命も失いました。大きな悲しみのなかでのスタートですが、女子商生は女子商生らしく、明るく元気に、がんばりたい」という言葉がありました。
授業は1年生が県立石巻西高校で、2年生が市立女子高校で、3年生が県立石巻商業高校で行われる予定ですが、本格的な授業再開の見通しは5月中旬としか決まっていません。「具体的に何日といえる状況ではありません」と教師の説明が続きます。次の登校日は13日。今度は市立女子高校の体育館で、入学したばかりの1年生も含め全学年がそろう予定です。
新3年生のクラス発表はありませんでした。間借りをさせてもらえる教室が三つしかなく、今までの4クラスが3クラスになることだけが決まっています。
通学バスの運行についての説明もありました。通学路を記入して出すように求められた生徒のなかには「どうやって通っていいかわからない」と書いた3年生がいます。家は全壊し、避難した先は学校から遠く、通学バスの路線からは20㌔以上離れた地域で、車がないと通えません。
感情の起伏
教師たちは、どうやったら日常に近づけるのかに心をくだいています。「ケラケラとしている子もいます。なんといったらいいのか、一見、普通なんだろうけれど、前と違う。感情の起伏が大きくなった感じがします」
就職が決まっていた同校の卒業生の多くが内定取り消しや自宅待機になってしまいました。新3年生には進路の不安が大きくのしかかります。
「学校がどうなるのか、仮設校舎をいつごろ建てて、そこでの授業がいつごろからできるのか、そういう見通しがほしい」
亀井嘉昭教頭はいいます。「生徒一人ひとりの心の様子を考えると、苦しい思いをしただろうと思います。生徒たちに生きる希望をもたせること、今一番私が考えていることです」
◇
芽吹きの淡い緑と山桜に彩られた里山の手前にがれきの町。魚の腐った臭いが鼻をつくなかを学校に通う子どもたち。シリーズで被災地の学校、教職員、子どもたちのあのとき、そして今を追いました。 (荻野悦子)
生きる希望持たせたい
ある始業式
教室は問借り/家流され私服/授業再開いつ
被災地の学校が再開されつつあります。
6日、東日本大震災で被害を受けた宮城県石巻市立女子商業高校の始業式が、同市立女子高校のアリーナ2階を借りて開かれました。
女子商業高校は津波をかぶり校舎が使用できません。女子高校のアリーナの1階は避難所になっています。廊下や階段には支援物資などが置かれています。
歓声上げて
新2年生のクラス分けの紙をみて、歓声を上げる生徒たち。友だちと手をつないだり、ケータイを手に話をしたり…。
この日、集まったのは2・3年生210人中、187人。制服姿のなかに私服の生徒がいます。「4月21日の登校日のときよりは私服の子が減りました。どうにかして、そろえたんでしょうね」と同校の教師がいいます。
「うち、全部、流されたから」と私服の生徒の1人が話します。
始業式に先立ち行われた着任式では、生徒代表のあいさつに、「在校生4人の尊い命も失いました。大きな悲しみのなかでのスタートですが、女子商生は女子商生らしく、明るく元気に、がんばりたい」という言葉がありました。
授業は1年生が県立石巻西高校で、2年生が市立女子高校で、3年生が県立石巻商業高校で行われる予定ですが、本格的な授業再開の見通しは5月中旬としか決まっていません。「具体的に何日といえる状況ではありません」と教師の説明が続きます。次の登校日は13日。今度は市立女子高校の体育館で、入学したばかりの1年生も含め全学年がそろう予定です。
新3年生のクラス発表はありませんでした。間借りをさせてもらえる教室が三つしかなく、今までの4クラスが3クラスになることだけが決まっています。
通学バスの運行についての説明もありました。通学路を記入して出すように求められた生徒のなかには「どうやって通っていいかわからない」と書いた3年生がいます。家は全壊し、避難した先は学校から遠く、通学バスの路線からは20㌔以上離れた地域で、車がないと通えません。
感情の起伏
教師たちは、どうやったら日常に近づけるのかに心をくだいています。「ケラケラとしている子もいます。なんといったらいいのか、一見、普通なんだろうけれど、前と違う。感情の起伏が大きくなった感じがします」
就職が決まっていた同校の卒業生の多くが内定取り消しや自宅待機になってしまいました。新3年生には進路の不安が大きくのしかかります。
「学校がどうなるのか、仮設校舎をいつごろ建てて、そこでの授業がいつごろからできるのか、そういう見通しがほしい」
亀井嘉昭教頭はいいます。「生徒一人ひとりの心の様子を考えると、苦しい思いをしただろうと思います。生徒たちに生きる希望をもたせること、今一番私が考えていることです」
◇
芽吹きの淡い緑と山桜に彩られた里山の手前にがれきの町。魚の腐った臭いが鼻をつくなかを学校に通う子どもたち。シリーズで被災地の学校、教職員、子どもたちのあのとき、そして今を追いました。 (荻野悦子)
