最低限の研修 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<宝島> 

今日の朝、事業所に預ける時の事である。

この時期は新人や臨時のヘルパーさんが入る事が多い。
宝島の迎えのスタッフも、その一人だった。

ショウを引き渡してからの動きがモタモタしている。
もう5分は経つというのに、まだ、車に乗せられないでいる。
それもそのはず、マニュアルを見ながらやっているのだ。

車椅子の見当違いの所へ、固定用フックを掛けたり、
スイッチを滅多矢鱈に押している。
介護自動車の装置の使い方を全く知らない様だ

私は実際に触れた事は殆ど無いが、
もう何年も事業所の車を見てきたので、
大凡の使い方は知っているつもりだ。


で、全然ロックが掛かっていないのに、
OKと言ってドアを閉めて、出発しようとし始めた。

「チョッと待った
流石に、これには驚いて、呼び止めた。

そして、ベルトを手で引っ張って見せて、
「これ全然ロックされていませんよね
「これで、走り出したら車椅子はどおなると思います

「はぁ、そうですね」 と、覇気の無い返事。
どんな重大なミスをしているのか分かっているのか
そして、もう一度マニュアルを見て、ゴソゴソ。


で、再びロックがアマアマなのに、
OKと言って出発しようとし始めた。

オイオイ、何を根拠にOKなんだよ
もう一度、ベルトを手で引っ張って見せて、
「どこがOKなんですか」と言い放った。
流石に2度も同じことを繰り返したので、キレかかった。

おやつを上手く与えられなかったとか、
小便を失敗して服が汚れたとか、そんなレベルで無く、
ショウの命を確保するという大事な作業だというのに、
どうして、そんないい加減な事ができるのか?


余りにも無責任、余りにも杜撰な仕事っぷりに腹がたって、
即、事業所へ連絡を入れた。

スタッフのレベルが酷過ぎるので、
使い方の研修を受けさせて、一定のレベルに達した人を
迎えによこして欲しいと要望を伝えた。


こんな晴れの日に、一日中預けていたのに、
何処にも出かけずに、事業所に居たらしい。
朝の車椅子の一件があったことで、
どんな扱いを受けていたのかが心配になった。