オーストラリアツアー 6日目 冠水 | 見えない翼

見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<オーストラリア 6日目>
小鳥のさえずりで、気持ち良く目が覚めた。
もう天気を心配しながら起きる事はない。
朝から雲底も高く、所々に雲が散らばっている。
風も順風で、東風。今の所、風も弱そうだ!!

昨日の反省から、今日は1時間早くテイクオフに上がる予定だ。

何も心配は要らない。


目標地点を、北西方向、80km先の

TOOWOOMBA ( トゥワンバ ) に設定した。



「行けるかどうか分かりませんが、

 どちらに飛んで行って良いのか分からないといけないので、

 GPSに設定しましょう!!」


「済みません・・・、設定の仕方が分かりません!!」

「80kmも飛べないよ!!」

「北西ってどっち?」


飛べない時に、XCの話や、GPSのリハーサルもしたのに・・・、

風より、人の方が心配だ。 (^_^;)ゞ



ダミーで出た、エディーはもう100m程上げている。

テイクオフ(離陸)場で、30分程スッタモンダしていた。

そうこうしているうちに、雲行きが怪しくなってきた。

(川地はいち早く気付いた)


いや雨が降りそうになったのではなく、

山の上に出来た雲がどんどん発達して、

広範囲に影を落とし始めたのだ。


お客様たちは、まだ、トゥワンバはどっち?キラニーは?

GPSの矢印が変な方向を指しているよ・・・?などと言っている。

それは、前に何回も説明したのに・・・、

それより早くでないと・・・。 (ーー;)



そんな地上のやり取りをあざ笑うかのように、

雲の影が3km四方の景色を瞬時にしてダークに塗り替え、

我々が空中に留まれない事を明示していた。


後発組は、オーストラリアに到着してから、まだ飛んでいないので、

ぶっ飛びでも構わないからと、飛んでもらう事にした。

そして、見事にぶっ飛んだ。

(相当緊張していることが、見ている我々にも翼から伝わってきた)



川地を含む先発隊は慣らしを終えているので、

コンディションが好転し、再び日射が戻って来るのを待った。


待つこと30分、再び日射が訪れた。

もう、タンデムの準備は終えていたので、直ぐに出た。

サーマルは弱々しく、まるで日本の梅雨時のそれと似ていた。


Wさんだけが、サーマルをゲッツ!

雲底に付けた!XCに行けますよ!! ヽ(^o^)丿

しかし、何を思ったのか? Wさんは皆の期待を他所に、

ランディング(着陸場)に降りてきてしまった? (?_?)



「 うしろ(風下)は、雲が一杯で怖いよ! 」

「 えっ、それは “ クラウドストリート ” と言うのですが・・・ 」


「 町の方は晴れていたから安全かと思って! 」

「 うっ、そちらはアゲンスト(向かい風)なのでXC出来ませんよ・・・ 」



その後リフライトを試みるが、山の上に出来た雲は微動だにせず、

一日中、テイクオフのある山だけを影で包み込んでいた。


川地は一瞬の晴れ間が来たので、見逃さずにテイクオフして、

瞬く間に200mを上げて、上空で待機しようとしたが、

あざ笑うかのように、再び雲が覆い、

空中に留まる事を許してはくれなかった。


川地、無念のランディング(着陸)。

しかも、メインLD!!

なぜ、駄目なのか?って。



メインLDへ続く道は、川を何度も横断していて、

降り続いた雨で川が増水していて、

大型4WDでないと行けないからだ。つまり、

歩いて川を横断して、サブLDまで出て来なければならないのだ。



しかし、川地はラッキーだった。

一日に何台通るか分からない車がたまたま通りかかったのだ。

谷の奥の村に用事のあったようだが、

30分程で済ませて、帰って来てくれた。


したがって、徒歩で川を横断する事は無かった。

というより、川を見て車で良かったと思った。


冠水
カメラ 2008/02/08 水陸両用車?


水陸両用
カメラ 2008/02/08 冠水


午前にぶっ飛んだ人達は、何度もこういった所を渡ったらしいが・・・。