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見えない翼

私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<吉野川カップ 三日目> くもり 時々 晴れ

朝から高層雲が空を覆っているので、選手のテンションが下がり気味だ。

ただ、気象予報データを見ると見た目よりも悪くない。

今日は、全員が一発で上がれたし、タスクコミッティーが同じバスに乗り、

山に上がる途中でタスクを決めた。


しかし、ここでもスタッフ不足が露呈した。



このエリアでタスクを組む時の重要なポイントになるのが、

吉野川河口から吹き込んで来る 『 海風 』 である。

これが入って来てしまうと、東に行こうとしても行けなくなってしまうからだ。


いつ頃?、どの辺を通過?、どれぐらいの強さか?

これは、気象予報データからでは、

とてもアバウト(曖昧)な予想しか出来ない。



では、どうするのか?

簡単なことである。徳島市方向にスタッフを一人走らせて、

随所で風を測定し、リアルタイムの気象情報を入手するのである。


そもそも、競技で徳島市方向にゴールを設定するのであれば、

最低でも一人のスタッフがゴールに向かう必要があり、

その人に風速計を持たせて、少し早く本部を出発させれば言いだけである。

がしかし、その一人すら居ない??


多分、山への送迎が終わった後ゴールに向かったと思われるが、

それでは、時既に遅しである。

タスクが決定され、競技が始まった頃に

「海風が入って居ます」と連絡を受けても、タスクは変えられないし、

その時点で、ゴールには誰も到達できない事を宣言したようなものである。


選手の中には、タスクコミッティーが悪いという方も居たが、

与えられた気象予報では、海風に関するものは何もなかった。

目隠しをされた状態で天候にマッチしたタスクを組めと言うほうが

土台無理な話である。


川地が予想した通り、結果からも見れば分かるように、

東へ向かった選手は殆ど同じ所に下りている。

そこが海風が入ってきた所だ。