<ツアー 五日目> のち
所により
今日も雲はあるものの、晴れるだろう。
昨日20kmを越えられなかった方々を
何とか30km付近まで連れて行きたい。
最初は、なかなか上がる兆しが無かった。というよりは、
全てのパイロットは、いつものセオリー通り、
出て右に行った北西方向の尾根先にいくから上がるわけが無い。
西風成分が強かった昨日と違い、今日は南から南西風の成分が強い。
だから、テイクオフ(離陸)場正面よりは、
左に出て山を回りこんだ南斜面で上がるのだ。
今回のような例は、何もこのえりあに限った事ではない。
私が訪れた殆どのエリアで見受けられる光景だ。
風向きなど関係なく、まずはいつものポイントへ直行する。
そして、上がらない。それを見ていたパイロット達は、
「 まだコンディションが整っていない・・・ 」 と、飛ぶのを見合わせる。
その反対側で良好なサーマルが発生しているにも関わらずだ!?
もっと状況を観察し、把握して、想像力を働かせて欲しい。
それだけで一皮剥けた飛びが出来るはずである。
女性陣は、スピードこそ遅いが渋いコンディションに強いので
先にテイクオフさせて左側を攻めさせた。
一人が上げながら少しずつ南に移動して、
川地が思い描いたポイントでサーマルをヒットして
トップアウト一番乗りを果たした。
それを見た大勢のパイロットが慌てて出て行く。
それでも、半数はいつものポイントへ直行し、ぶっ飛んで行った??
困ったものだ。 (^_^;)
他の受講生もそのポイントに近付くことを躊躇している。
どうやら、まだ、西風と思っているようで、
南西面は風が吹き抜けていると思っているようだ。
無線ではなかなかいう事を聞いてくれないので、
川地自身がテイクオフして案内することにした。
出て直ぐ左に、リッジで二三回振り高度を稼いだ後、
南側の上がるポイントへ一気に移動して、
サーマルをヒットしてトップアウト。
標高1000mまで上がるのに、5分足らずだった。
これを見て付いて来た受講生と更に南側に移動。実はこの時、
南西方向から 『 白いカーテン 』 が近付いてきていたのだ。
この正体は定かではないが、推測では、
海岸沿いの水蒸気と高雄市付近の排気ガスを
非常に多く含んだ汚れた空気であると思われる。
いずれにせよ、空気が見えるのはチョッと不気味だ。 (゜д゜;)
質の違う空気、今回のような 『 白いカーテン 』 の移動は、
時として大きな波動を生む。丁度、静かな湖面に波立つ波紋の様に!
津波が来る前触れに海水が引くかの様に、
先程まで、テイクオフの上で調子良く上がっていた機体が、
急速に高度を落とし始めた。
実は川地が余りにも調子良く上がったので、
直感的に何か変だと思っていたのだ。
だから奥の高い所に逃げていたのだ。
川地に付いて来た受講生は生き延びることが出来た。
次は、強い上昇帯が来るだろう。
その後高く上がらなくなるはずだ。
すかさずXCに出る事を全員に告げた。
『 白いカーテン 』 と共に北に移動した。
高くなった人から先に行かせたが、その先は上がらないので、
結局、 『 白いカーテン 』 と共に追いつくことになった。
昨日とは違い、標高で1000m強しか上がらないが、
それ程高度も落ちないので、34kmまで距離を延ばす事が出来た。
夜は、初日に食べた小龍包を食べに行った。
良く考えたら、あの時は先行して着いた組だけで食べたので、
大半のメンバーは食べた事が無かったのだ。
今日も全員笑顔の夕食会となった。