台湾ツアーVol.05 白い津波の襲来! | 見えない翼

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私達は誰もが夢に向って翔る“見えない翼”を持っています。しかし、多くの人々が夢を追う事を諦め、翔る事をいつしか忘れて・・・。
そんな世の中にあって、パラグライダーの世界一へ挑戦し続ける父と重度の障害を持ちながらも懸命に生きようとする息子の奮闘日記です。

<ツアー 五日目> 晴れ のち はてなマーク 所により くもり

今日も雲はあるものの、晴れるだろう。

昨日20kmを越えられなかった方々を

何とか30km付近まで連れて行きたい。



最初は、なかなか上がる兆しが無かった。というよりは、

全てのパイロットは、いつものセオリー通り、

出て右に行った北西方向の尾根先にいくから上がるわけが無い。


西風成分が強かった昨日と違い、今日は南から南西風の成分が強い。

だから、テイクオフ(離陸)場正面よりは、

左に出て山を回りこんだ南斜面で上がるのだ。


今回のような例は、何もこのえりあに限った事ではない。

私が訪れた殆どのエリアで見受けられる光景だ。

風向きなど関係なく、まずはいつものポイントへ直行する。

そして、上がらない。それを見ていたパイロット達は、

「 まだコンディションが整っていない・・・ 」 と、飛ぶのを見合わせる。


その反対側で良好なサーマルが発生しているにも関わらずだ!?


もっと状況を観察し、把握して、想像力を働かせて欲しい。

それだけで一皮剥けた飛びが出来るはずである。



女性陣は、スピードこそ遅いが渋いコンディションに強いので

先にテイクオフさせて左側を攻めさせた。

一人が上げながら少しずつ南に移動して、

川地が思い描いたポイントでサーマルをヒットして

トップアウト一番乗りを果たした。


それを見た大勢のパイロットが慌てて出て行く。

それでも、半数はいつものポイントへ直行し、ぶっ飛んで行った??

困ったものだ。 (^_^;)



他の受講生もそのポイントに近付くことを躊躇している。

どうやら、まだ、西風と思っているようで、

南西面は風が吹き抜けていると思っているようだ。

無線ではなかなかいう事を聞いてくれないので、

川地自身がテイクオフして案内することにした。


出て直ぐ左に、リッジで二三回振り高度を稼いだ後、

南側の上がるポイントへ一気に移動して、

サーマルをヒットしてトップアウト。

標高1000mまで上がるのに、5分足らずだった。



これを見て付いて来た受講生と更に南側に移動。実はこの時、

南西方向から 『 白いカーテン 』 が近付いてきていたのだ。


この正体は定かではないが、推測では、

海岸沿いの水蒸気と高雄市付近の排気ガスを

非常に多く含んだ汚れた空気であると思われる。

いずれにせよ、空気が見えるのはチョッと不気味だ。 (゜д゜;)


質の違う空気、今回のような 『 白いカーテン 』 の移動は、

時として大きな波動を生む。丁度、静かな湖面に波立つ波紋の様に!


津波が来る前触れに海水が引くかの様に、

先程まで、テイクオフの上で調子良く上がっていた機体が、

急速に高度を落とし始めた。


実は川地が余りにも調子良く上がったので、

直感的に何か変だと思っていたのだ。

だから奥の高い所に逃げていたのだ。

川地に付いて来た受講生は生き延びることが出来た。



次は、強い上昇帯が来るだろう。

その後高く上がらなくなるはずだ。

すかさずXCに出る事を全員に告げた。



『 白いカーテン 』 と共に北に移動した。

高くなった人から先に行かせたが、その先は上がらないので、

結局、 『 白いカーテン 』 と共に追いつくことになった。


昨日とは違い、標高で1000m強しか上がらないが、

それ程高度も落ちないので、34kmまで距離を延ばす事が出来た。



夜は、初日に食べた小龍包を食べに行った。

良く考えたら、あの時は先行して着いた組だけで食べたので、

大半のメンバーは食べた事が無かったのだ。

今日も全員笑顔の夕食会となった。