<帰宅>
手術が終わって、安堵したのも束の間、
私達夫婦に思わぬ事態が発生した。
麻酔が切れ始めると、目がとても沁みるのである。
シャンプーがもろに目に入った時のように、
涙が止め処無く溢れ、目を開ける事などできない。
勿論、目を擦るのは厳禁だ。
目は絶対に触っては駄目と言われていて、
防護用のメガネを渡されたぐらいだ。
待合室でソファーを移動するにも、
まるで盲目の患者が二名紛れ込んだように
お互いに手を取り合うようにして、
すり足で移動するしかない。 ヽ(;´`)八(´`;)ノ
我々の前後に手術を終えて出てきた方は、
付き添いの人と会話をして、何事も無かったように帰って行った。
もしかして、「夫婦そろって、失敗したのでは?」 (→o←)ゞ(><;)
受付のお姉さんに
「こんなものなのか?」「何時頃止むのか?」訪ねてみると、
「人によって差が有りますので・・・」
「お薬と目薬を点して安静になさってください」
と、いつもの可愛い笑顔で応対しているのが、
目蓋の隙間から見えた。
車を運転して帰るなんていうのは愚か、
電車で帰るのさえ不可能な状態だ。
ワイフの実家に、翔を病院に送り届けるだけでなく、
我々の自宅まで送ってもらうようにお願いする事にした。
二人とも、直ぐに鎮痛剤を飲み、
もらった目薬をしたが、全然効果は感じられなかった。
夕食をしている間も目が沁みて、食欲は半減した。
家に到着する頃、ようやく痛みが和らぎ、
目を開くことができるようになった。
そこには、何時もと変わらない“翔の笑顔”が有った。
( °д°) o(^▽^)o