<保育園>
新しいクラスになって、二週目に入った。
相変わらず翔は慣れていないようだ。
本人の意思に反して、クラスでは人気者のようだ。
子供達は椅子がうらやましいようだ。
座位保持椅子という特別な椅子は、
体を支えるパッドが着いていて、背もたれも高く、肘掛やテーブルも付いている。
骨組みも太く、木製でガッチリと作られているので、
まるで王様の椅子のように見えるのだろう。
また、翔はとても大人しく、勿論、嫌がらせなど絶対にしない
いつもニコニコしていて愛嬌がる上に、身体が不自由だから不器用だ。
その愛くるしさが母性本能?(お姉さん本能?)をくすぐるのか、
女の子が絶えず周りを取り囲んで、いろいろとお世話をしてくれるようだ。
そういえば、前の年下のクラスの時も女の子に人気で、
今でもそのクラスに顔を出すと、「ショウくん、ショウくん」と駆け寄ってくる。
ウ~ン、摩訶不思議だ。
そんな恵まれた環境も、翔にとっては煩わしいだけのようだ。
耳栓が必要なぐらいうるさい部屋と入れ替わり立ち代り
近寄ってくるクラスメイト達に心休まる暇がないようだ。
今日は、目の前でご飯を作って用意している最中に
電池が切れてガクッと寝てしまった。
仕方なくそのまま一時間ほど寝せたら起きたので、ご飯を食べさせた。
いつもは翔にご飯を食べさせているので、一緒に食べる事はないが、
久しぶりに夫婦でゆっくりとご飯を食べる事ができた。