診療報酬改定にまつわる仕事をいただき、調べたりしているがどうにも調剤の「訪問薬剤管理5回まで」に関する資料が見当たらない。
1回訪問あたりの滞在時間や、1薬剤師あたりの平均訪問件数を調べたという形跡が無さそうだ。
医師の在宅訪問については、昨年10月23日に開催された中医協総会(第252回)資料「在宅医療について(その4)」
にて、医師1名あたりの訪問件数、訪問時間などのデータが示されているが、薬剤師のそれはない。
そもそも医療保険での算定は全体の1割程度で、ここ(医療保険=調剤報酬)でしばりをかけても医療費には何ら影響がないのではないか。
かなり恣意的なところで飛び出してきた数字のように思えてならない。
ただし回数が一度物差しになるとやっかいだ。単価と数量(回数)、または行為1回あたりの時間と数量(回数)がトレードオフの関係となって、医療費のコントロールに利用されるのが常だからだ。
今後、数量(回数)の緩和というのは非常に厳しい交渉になるだろう。
もう数量(回数)を抑制したから、質が担保できるという時代ではない。
逆に手術の症例数などは多い方が成績が良いということも言われているではないか。
外科医に「腹腔鏡手術は1日2回まで」などという基準を設けている国はあるだろうか?
パイロットもそうだ。操縦技倆の維持には離着陸回数を維持していかなければならない。
(注:1日あたりの乗務時間や離着陸回数には各航空会社が基準を設けている)
空母に着艦する艦載機のパイロットは、それが特に求められているという。
豊富な経験が、患者にとってよりよい薬学的管理の実施に資するケースも多いはずだ。
特に今後さらに在宅ニーズが高まり、在宅での薬学的管理を行う薬剤師が新規に参入してくることを考えると、回数が制限されていては経験が増えない、または増えるのにこれまで以上に時間を要することにもなりかねない。より多くの症例に接することにより、患者から学ぶことも多いはずだ。
先達もみなそういう道を歩んできているはずだ。
今後、ますます「質の評価」が診療報酬でも拡大することは明白であり、その中でいかに「回数」のような説明もつかない基準は排除し、患者にとっても、医療費(介護費用)の面でも優れた指標を見いだしていくかという転換点に来ているのではないかと改めて思った次第である。
少なくとも「5回」に何の根拠もないのであれば、介護報酬への準用を行うべきではないだろう。