医療制度改革試案(以下「試案」)の概要について、一斉に新聞各紙で報道された。
試案の中でポイントになるのは、「保険免責制度の導入」であると思われる。
保険免責とは、例えば1日1,000円までは全額自費になるという制度である。
医療費が5,000円だった場合、3割負担の人は1,500円支払う。1,000円まで免責となると、
(5,000-1,000)×0.3+1,000=2,200円
の自己負担となるということだ。
例えば、整形外科の診療所で消炎鎮痛等処置(マッサージ手技)を受けた場合、
再診料73点+処置35点=108点
であるので、3割負担だと320円の負担だ。これが1,000円免責だと1,020円となり、実に自己負担は現行の3倍以上になる。
極端な話だが、月に20回受診している人は、現在の6,400円から20,400円の負担へと激増することになる。
もうひとつの問題点は、薬剤費である。
保険免責額が「1日の1人あたり総額」なのか、「1医療機関、1日、1人」かにもよるが、保険調剤薬局の負担の問題も生じてくる可能性がある。
つまり院外処方の場合、医療機関と保険薬局個々に保険免責額が設定されると、慢性疾患で再診料(73点)、特定疾患療養指導料(225点)、外来管理加算(52点)、継続管理加算(5点)、処方箋料(69点)を算定し、院外処方で30日分の薬(仮に薬剤費3,000円、調剤技術料1,000円)が出た場合、3割負担で比較すると、
医療機関:合計454点(1,360円→2,060円)
薬局:計4,000円(1,200円→1,900円)
合計:2,560円→3,960円(1,400円のup)
となる。院内処方の場合だと、院内の処方料(42点)、調剤技術料を仮に11点(7+4点)とすると、合計で7,380円なので、負担(3割)は2,210円→2,910円(700円up)となる。
あくまで概算だが、院内だと700円の負担増に対し、院外だと1,400円の負担増となる。
さらに、多科受診の扱いも問題だ。例えば内科、眼科、皮膚科、泌尿器科を受診している人がいるとして、それぞれのクリニックを受診した場合と、上記4科を持つ病院を一度に受診した場合、どうなるのか。
「1医療機関、1日、1人」で免責額が設定されると、多くの診療科を持つ病院を受診した方が、はるかに自己負担は安いことになる。
今まで国が推進してきた、医薬分業、病院の外来抑制にまったく逆の作用をしてしまうことになりかねないのが、この保険免責制度である。
患者の受診動向への影響も考慮し、「木を見て、森を見ず」と言われることのない制度となることを願うばかりだ。