久しぶりにシカ肉を入荷しました。
成獣の雄、それなりの大きさでしたので、出汁を取りました。
まずは、一頭買いつけたシカ肉を捌いて部位分けします。
一番柔らかいフィレ肉
食べ応えのあるロース肉
しっかりとした歯応えのあるモモ肉(一部)
この辺りのお肉は、数日熟成させて一人前ずつ真空パックに入れて保存します。
ディナーのメインディッシュとしてお選びいただけます。
前足、すね肉、バラ肉などの筋が多かったり、そのまま焼いても固い肉は、ミンチにしてパテ ソーセージ ハンバーグにして、ランチでお出ししています。
そして、捌き終わった後の骨を焼いて、香味野菜と水を加えて、8時間ほど煮込んで、出汁を取りました。
今回のシカは大きかったので、贅沢に筋や固そうな部位を全てミンチにして、コンソメにしました。
『コンソメ』…
ご存じでしょうか?
一般的に使っているのは、きっと顆粒やキューブになっている化学調味料である事が多いはず。
和食の出汁に置き換えたら分かりやすいでしょうか。
かつお節や昆布で作る一番出汁は大体の大人であれば、作り方は知ってはいるもの。
一般的にご家庭では、手間がかかる 原材料費がかさむ、などの理由から、化学調味料に頼っている事も多いはず。
我々プロも賄いなどはほぼお世話になっているのが、現状ですから。
未だ、そんな便利な「本だし」みたいな便利な調味料が無かった
幼い頃は、かつお節を削る刃先が着いた木の箱がどのお家にもあって、夕方になるとよく削っていた記憶があります。
今思えば贅沢な事だったんだと、思いますけれど、時代と共に食生活も変化していくという事なのでしょうね。
…で、話しを戻して、洋食のコンソメは、まず基本の出汁を取ります。一般的には子牛の骨や牛のスネ肉と鶏ガラを使う事が多いです。
今回はそれを100%シカ肉で作ったという感じです。
ミンチにしたシカ肉と香味野菜やトマトに卵白を良ーく混ぜ合わせて、最初に作った出汁を入れて作る訳です。
卵白が不純物を澄ませるんです。
何時間も煮込んで、丁寧に漉す。
フランス料理のエスプリが詰まった基本の出汁。
そして、あの琥珀色の出汁が出来る。
冷ますと、コラーゲンでプリップリのコンソメジュレが出来上がります。市販のコンソメもゼラチンで固めれば、見た目は同じですが、味わえばすぐに分かるはずです。
余談ですが、ワインも卵白で済ませたりしたりするんですよね。
(絶対にする訳ではないです。)
とっても贅沢なコンソメが完成しました。
おまかせコースの前菜やコンソメベースのソースにしたりして、お出ししていく予定です。