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シンガポール駐妻図鑑③
3.5年暮らして見えてきた、愛すべき妻たちの生態
6. メーカーグレードアップ駐妻
日本にいた時より、駐在中の生活レベルが明らかに上がるタイプ。
会社の手当で高層コンド。
子どもは私立校やインター。
休みのたびに近隣諸国へ旅行。
普段の外食も、日本にいた時より少し大胆になる。
「海外赴任って大変だよね」
と言いつつ、生活水準はかなり上がっている。
日本ではなかなか住めないような広い部屋。
大きなプール。
24時間セキュリティ。
南国リゾートへのアクセス。
気づけば、家族全員が駐在生活に適応している。
問題は帰国後である。
日本に戻ると、現実が待っている。
狭い社宅。
満員電車。
寒い冬。
スーパーの袋詰め。
マンションにプールはない。
子どもが言う。
「シンガポールの家のほうがよかった」
母も心の中で思う。
「それはそう」
メーカーグレードアップ駐妻は、駐在中に夢を見る。
そして帰国後、日本の現実に静かに着地する。
7. 習い事マネージャー妻
このタイプのスケジュール帳はすごい。
子どもの習い事で、ほぼ埋まっている。
月曜、水泳。
火曜、英語。
水曜、ピアノ。
木曜、サッカー。
金曜、そろばん。
土曜、補習校。
日曜、プレイデート。
もはや子どもは小学生ではない。
多忙な若手タレントである。
母はそのマネージャー。
送迎、支払い、先生との連絡、振替調整、ユニフォーム管理、水筒補充、軽食準備。
Grabを駆使し、バスを乗り継ぎ、時には汗だくで歩く。
「今日は午後に少し時間があるかな」
と思った瞬間、学校からメールが来る。
「明日は色のついたTシャツを着てきてください」
「来週までに空き箱を持参してください」
「本日中にフォームを提出してください」
母の自由時間は、常に学校と習い事によって回収される。
それでも子どもが楽しそうなら、まあいいかと思ってしまう。
習い事マネージャー妻は、今日もシンガポールのどこかで、子どもの水筒を抱えて走っている。
(つづく)

