2022年1月15日(土)実施、大学入学共通テスト本試験の国語第4問、漢文(阮元『揅経室集』)の現代語訳・書き下し文・解答・解説を掲載するページです。問題は一定期間、大学入試センターのWEBサイトで見られます。

 

古文の現代語訳等はこちら。

現代文の解答解説はこちら。

序文 書き出し:余旧蔵董思翁…

現代語訳
 

私は元々董思翁が自ら詩を書いた扇を持っていた、(それには)「名園」「蝶夢」という句が書いてあった。

 

辛未(ここでは1811年)の秋、珍しい蝶で(私の)庭園の中に飛んできた蝶がいた。有識者はその蝶を知っていて、太常仙蝶と見なし、これを呼ぶと、(蝶は)扇に落ちた。

 

続いて、再び、この蝶を瓜爾佳氏の庭園の中で見かけた。客で、この蝶に呼び掛け、箱に入れ、私の庭園に戻そうと考える者がいた。(ところが)私の庭園に到着して箱を開いてみると、箱は空っぽになっていた。

 

壬申(ここでは1812年)の春、蝶は再び、私の庭園の台の上に現れた。画家が祈って言ったことには、「もし私に近付いてくれたら、私は必ずお前を絵に描いてやろう」と。蝶は画家の袖に落ち、画家は詳しく観察するのに時間をかけ、蝶の形や色を把握して、そこで、(蝶は)ゆったりと羽ばたいて去っていった。

 

庭園は元々名前が無かった。ここで初めて、董思翁の詩および蝶の意を踏まえ、庭園に名を付けた。

 

秋の半ばになり、私は使者の役目を務めて都を離れ、この庭園もまた他の人に託されることになった。(その庭園の)かぐわしい草むらを思い出すと、本当に夢のような感じがする。

 

書き下し文

余旧(もと)董思翁の自ら詩を書せし扇を蔵するに、「名園」「蝶夢」の句有り。

 

辛未の秋、異蝶の園中に来たる有り。識者知りて太常仙蝶と為し、之を呼べば、扇に落つ。

 

継いで復た之を瓜爾佳氏の園中に見る。客に之を呼びて匣に入れ奉じて余の園に帰さんとする者有り、園に至りて之を啓くに及べば、則ち空匣なり。

 

壬申の春、蝶復た余の園の台上に見(あらは)る。画者祝りて曰はく、「苟(いやしく)も我に近付かば、我当に之を図くべし」と。蝶 其の袖に落ち、審(つまび)らかに視ること良(やや)久しくして、其の形色を得、乃ち従容として翅を鼓ちて去る。

 

園故(もと)名無しなり。是に於いて始めて思翁の詩及び蝶の意を以て之に名づく。

 

秋半して余使ひを奉じて都を出で、是の園も又他人に属す。芳叢を回憶すれば、真に夢の如し。

 

漢詩 書き出し:春城花事小園多…

現代語訳

春城の花を愛でる小庭園は多く、度々花を見て、度々歌う。

花は私のために咲いて、私を庭園にとどめ、人は春が過ぎゆくに従って去り、(去っていく)春をどうしようか(いや、どうしようもない)。

思翁の夢は素晴らしく、詩の書かれた扇を遺し、仙蝶の絵は形になって、袖や羅を彩っている。

いつか、どの家がまた竹を植え、その竹を好む王子猷が輿に乗って通り過ぎるようにできるだろうか。

書き下し文

春城春城の花事小園多く 幾度か花を看て幾度か歌ふ。
花は我が為に開きて我を留め佳(とど)め 人は春に随ひて去り春を奈何せん
思翁夢は好くして書扇を遺し 仙蝶図成りて袖羅(らしう)を染む
他日誰(た)が家か還た竹を種ゑ 輿に坐して子猷の過(よ)ぎるを許すべき

 

設問解答・解説

漢詩の押韻を利用するなどして15分以内に終わらせたい。高3は1ミス、高1・2は2ミス以内におさえたい。

問1 ア④ イ② ウ④
アは漢文の基礎単語、イは「審(つまび)らか=詳らか」という現代文の訓読みの知識、ウは「画者」であることと、「其の形色を得」であることから判断する。
 

問2 ④ 後ろ(園に着いて開けると、箱が空)をヒントに、蝶を箱に誘い入れようとしたことを読む。
 

問3 ⑤ 「苟(いやしく)も」の仮定から選択肢を絞る。「当(まさに~べし)=must」が少々意訳になっているが、主語が画者であることから正解を選びたい。
 

問4 ③ 8句なので「律詩」というところから解決したい。また、「多」「何」「羅」「過」と韻を踏んでいることもヒント。「花を看て」の続きなので、人が主語になることが予想され、⑤は外れる。
 

問5 ⑤ 目的語が1字のとき、「奈何」が分かれてしまう、という現象が起きている。①なら「春何奈」になっている確率が高い。
 

問6 ⑤ 全てを順番に並べているのではなく、3つだけ抜粋しているという問題趣旨を見落とすと混乱しそう。順序が明らかに崩れているものを消していく。
 

問7 ⑤ 序文の最後で園を回顧する際「芳叢」と表現していることから、ポジティブな想いで振り返っていることを見抜きたい。また、筆者と序文中の「画者」を混線させないようにする。