設問1の要約の解答例です。

 

ハーバーマスは近代革命前夜のコーヒーハウスという公共的議論の場を理想視したが、今日の資本主義社会では、己の仕事に忙しい人々が熟議に関わるのは難しく、共感する意見・候補者を消費する形での社会関与が中心だ。この実情を批判するハーバーマスの意見は正しく思われるが、実際、熟議は合意に至るとは限らないし、理性的存在者としての議論参加を全員に押し付ける点に構造的課題がある。また、ロールズは原初状態に置かれた人の自然な考えを想定し、誰もが望みそうな「他者の自由を侵害しない限りの自由」「最も恵まれない人の利益を考える平等」の社会を普遍的正義と打ち出した。しかし、これも、このリベラル派の正義観に全員がコミットしていることが前提であるため、現実的な綻びが生じている。自明視されてきた「自由」「平等」「権利」を問い直す時期に来ている。(360字)

 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。