東京大学 2021年 吉田解答例

 

他の模範解答と合わせてご参考に!

第一問 現代文 『ケアと共同性--個人主義を超えて』(松嶋健)
(一)一方的に治療を施す関係でも、元々身近な家族関係でもない、見知らぬ間柄だった感染者同士が相互にケアし合う中で信頼関係を醸成すること。
(二)社会全体の安寧を重視するが故に、精神障害者を権利保障外として隔離する論理から、苦しむ個人の生に寄り添い、支えるという発想への転換。
(三)個人が欲望に従って主体的で自由に選ぶことを是とする論理は、当人が己の意志を自覚的に持ち、選択に責任を負うのを前提とすること。
(四)医療者から患者に一方的に施される管理・統治の治療ではなく、様々な存在が働きかけ合う共同・協働のケアは、当人の自己責任での選択を超え、何が必要とされているかを身体的視点から探るもので、周囲の人や物といった環境全てに役割が期待されるということ。(120字)
(五)診察 諦(め) 羅針

第二問 古文 『落窪物語』
(一)ア 手持ち無沙汰で物足りないので、女房達に見物させよう
  イ 誰が横取りするだろうか、いや誰も取るまいとお思いになって
  ウ 「一緒に見物しよう」と申し上げなさったので
(二)向かいの車の主が、今の場所から立ち退くことを強情に拒絶した。※文系のみ
(三)衛門督は一条大路までも皆支配しているのか、いやそんな訳はあるまいということ。
(四)自分たちの主人である衛門督を源中納言と同じ地位扱いしないで欲しいということ。※文系のみ
(五)衛門督を、その従者の牛飼いにみだりに触れるのも憚られる程の権勢だと評価した。

第三問 漢文 『霞城講義』
(一)a 上の立場の人に信頼され
  d これが一番好都合だと
  e その弊害を改めようとすると
(二)凡庸で冴えない君主は、そもそも速やかに物事を行えないから。※文系のみ
(三)自身の成果は、すぐに見るより、むしろ子孫の代で見るようにせよ。
(四)君主を信頼しない民に、短期に成果の上がらない政策を実施しても、民は服従しないということ。
   別解:短期に成果の上がらない政策は、君主を既に信頼している民にこそ受け入れられること。

第四問 現代文 『子規の画』(夏目漱石)
(一)自分でもいまいちだと思うが、全力で描いた絵だと思われるのは不本意で、病気の事情を明かしつつ、力を尽くした贈り物だと訴える気持ち。
(二)簡素な題材で花や葉の数も少なく、がらんと空間が空き、使われた色もわずか三色、表装の色も冷ややかな藍なので、寒々しい印象を受けるから。
(三)文学や社交においては才能を軽やかに発揮する器用な子規が、絵に関しては、単純な絵に馬鹿律儀に時間をかけたのが拙くも好ましいから。
(四)画業でのみ見られる子規の拙さを愛し、病床でやっと描き得たこの淋しい絵のみでなく、長生きしてもっとその魅力を見せてほしかった気持ち。

 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。