東京大学 国語 二〇一四年(東大入試解答例)です。

文理共通第一問 現代文 解答例(藤山直樹『落語の国の精神分析』いざ仕事をしている…)


(一)失敗すれば確実に自分の人生に悪い影響がある状況下、目の前の人間の大きな期待に応えるという重圧に一人きりで向き合う心細い孤独。
(二)会話だけの落語は、各人物が互いの内面を知らないよう演じてこそリアルで魅力的になるので、落語家の内面は複数の登場人物に分裂すること。
(三)人間は生来、それぞれが自律的に動く複数の人格に分裂しているが、人格同士に接点があるために、統合された一人格だと勘違いすること。
(四)患者を理解するために、患者の中の複数の自己それぞれに一体化するので、精神分析家も落語家同様、仕事の過程で自己が分裂すること。
※自己に立ち返るところまで含む解答例もあるが、傍線部としては分裂に彩られる過程だけを述べればいいと考える。
(五)複数の人物を演じることで分裂しつつも、それを一人の落語家として統御する落語家と同じく、分析家も、患者の複数の自己に同化して分裂しつつも一人の分析家として治療に当たるので、分裂に悩む患者は自身も分裂を統御し、一人格たりうる可能性を感じるから。
(六)稼 慰 脅 情緒 契機



文理共通第二問 古文 解答例(井原西鶴『世間胸算用』分限になりける者は…)
 

(一)ア 機転がきき過ぎる子が、最終的に裕福に生きている例はない。
  エ 無駄なものにはなるまい
  カ 自分の役目である字の練習はそっちのけにして ※「なし、」の形からサ四連用形と気付くこと!
(二)手習の場でできる金儲けの方法を編み出し、器用に稼ぐ子供。
(三)筆の軸で簾をこしらえて儲けた我が子を生来の商才があると褒める考え。
(四)親の指示通り手習に励んだ子は、成功しやすい家業を継ぎ、専念するから。
(五)少年の内は金儲けなど考えず無邪気に遊び、適齢期に学ぶのがよいこと。
 

 

文理共通第三問 漢文 解答例(『資治通鑑』長楽公主…)

(一)降嫁する我が娘に先帝の娘の倍の財を与えるのは、我が子の領地を先帝の子の半分にした明帝の先帝崇敬とは異なっていると言えます。
(二)今、魏徴が人の道たる礼義を引用して、あなたの私情を抑えたと聞いて、彼が実に真の忠臣であることが分かりました。
(三)ましてや妻よりも皇帝から遠い臣下の立場で、なんと、魏徴はこのように皇帝に直言することができたのです。
(四)朝の会議のたびに、魏徴が自分に指摘をして恥をかかせるから。
(五)「主君が聡明であれば、部下は直言する」と聞くので、魏徴の直言は太宗が名君たる証であるから。

 

 

文系第四問 現代文 解答例(藤山直樹蜂飼耳「馬の歯」仕事の打ち合わせで…)

(一)初対面の人と話すと、その人が自分では考えもしない物事に関心があるのに触れることがあり、既知の日常に突然、未知の衝撃が訪れること。
(二)よく知った植物園においても非日常的な嵐の後であれば、本の未読のページで新しい情報と出会うように、新鮮な発見をし得るということ。
(三)日常の中の曖昧なことに問いを立てて考えると、その正体や実態が分かってくるが、結局完全には知り得ないで曖昧なままに日常に紛れていくこと。
(四)生活の中で出会う未知のものに対し、疑問を持ち、その意味に関して、豊かな詩的想像力を自由にはばたかせる人もいるということ。


 

※これは国語講師・吉田裕子が個人的に作成したもので、出講先の組織的な見解ではありません。

 

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