春・秋の慶應通信の入学時期が近づくと、何人かの方から慶應通信にご質問をいただきます。(私は2009年秋に学士入学し、2014年春に教職コースも含めて卒業しました。) 詳しいことは、現役の方に聞く方が正確かと思いますが、私なりにお伝えできることをお答えしています。

以下、ご質問にご回答している中で考えたことを少しまとめました。何か参考になれば、と思いますが、あくまで私の個人的見解で、慶應通信OB・OGが皆そう感じているわけではないと思います。もし、感覚が違うな~と思ったら、他の方のご意見も参考にされてみてくださいね。


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慶應義塾大の文学部には通学と通信があります。したがって、他大に通った経験のない人が、慶應義塾大文学部卒業という肩書きを得るには、

①入試のない通信(普通課程)に入って卒業する
②一般入試で受かるよう1~3年間 勉強して通学に4年間行く

の2通りの方法があるわけです。

それで、①と②のとでは、どっちが早く卒業にたどり着くかと言ったら多分、通学です。

(慶應通信の示している最短年数で卒業するのはほぼ無理で、10年くらいかかって卒業している人も多いのです。私も、教職コースを並行したこともありますが、学士入学(最短2年半)を4年半かけて出ました。それでも、周りには「はやかったね」と言われました。)

現段階で「MARCHならどこかには」という入試学力があれば、労力的にラクなのも、受験勉強1~2年間頑張って通学を目指すことだと思います。(後述するように、卒業するのが大変なので。)

ですので、慶應卒という点を求めて、慶應通信をお考えの方から相談があった場合、私はよく「通学目指せば?」と答えています。慶應通信はラクじゃないです。

慶應通信の何がラクじゃないか(私はそこもまた好きでしたが)を、思いつくままに挙げてみると……

・教科書には古いものも多く、内容や文体がカタく、読み通すのがツラいものが多い。

・レポート(基本的に4000字)や試験の出題に、抽象的でとっつきにくいものが多い。
 ※教育や国文学系統の科目には、東大で出されていたものと同じくらいか、それより難しいと感じる科目も多かったです。

・レポートが再提出になることが多い。

・試験(3ヶ月に1回)やスクーリングの場所・回数が少ない。インターネットスクーリングの数が少ない。

という感じです。

それ以外にも、学友からは「英語が大変」という話もよく聞きました。私は仕事がら大学受験レベルの英語に触れる機会が多かったので、それほど苦労せずに済みましたが、しばらく英語から離れていた方、英語がもともと苦手な方などで、高校レベルの英語がおぼつかないような場合は、最初の壁が必修英語になるようです。

私は、慶應通信に入る前に、東大に通い、卒業していました。そんなに真面目な学生ではなかったですが、レポートを書くということには、それなりに慣れていたつもりでした。……ですが、慶應通信では再提出の嵐で、ひどいものは5回書きました。

私が書き方の作法をわきまえていなかったり、論考が浅いものに留まっていたりしたのが悪いのですが、初めての大学が慶應通信という場合、レポート等に慣れていないので、もっと大変なのではないかと思うのです。ちなみに、レポートが再提出を食らうと、相当、心が折れます。

(だから、高校卒業したての方などに質問された場合には、浪人してでも通学を目指すことをオススメしています。)

実際、慶應通信の教職仲間には法政大や日大、佛大に移った人がたくさんいました。実際、資格ものは明らかに他大が取りやすいです。

そうでない学友にも、「もう卒業はいいの」とカルチャースクール的に通っている人が結構いました。テキスト科目は遅々として進まず、スクーリングにだけ来ているという学友も多かったように思います。「生涯学習が目的なら、こっちの方が科目がいま風だ」と放送大や美大の通信などに移った友もいましたね。

……と、このように書いてきますと、慶應通信を批判しているようですが、「本気で勉強をしたい」「学問に触れたい」という人にはオススメです。

科目や卒論指導教員にもよりますが、古き良きアカデミックな空気が残っている、稀有な場所が慶應通信だと思います。そういう空気を求めている方には、本当にオススメです。

大学で出会った方には、面白くて尊敬できる方が多かったですしね。

私は慶應通信を卒業したことが誇りであり、アイデンティティの大きな部分を慶應通信が占めています。



以下、私のブログでの慶應通信関係の記事をまとめておきます。ご質問をいただいても、仕事の繁忙期にはお答えできないことも多いので、こちらを読んでいただけたら助かります。(システムなどを詳しく述べた記事でなくて、すみません。)