ソウリューションSoulution、テクニクスTechnics、アヴァロンAvalon の導入 | オーディオの楽しみ

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私はオーディオ製品は導入すると15年くらいは使う。しかしそのくらいになると、ちょうど故障も多くなる。直して使うことも出来るが、そろそろ買い替え時だろうかと思うようになり、この3~4年の間に3機種を買い替えた。音は格段に良くなり、非常に本格的になった。

 

<パワー・アンプ>

[Viola Forteから買い替え]

3機種のうち、もっとも最近に買い替えたたのは、アンプだ。

それまでのヴィオラのForteはずっと使おうと思っていたのだが、3回目の故障で諦めた。それで候補としては、AccuphaseとLuxmanだが、やはり私は海外製に未練があった。マークレビンソンも100万円程度で出していたが、内部がバランス接続である確証が持てない。この価格では完全バランスではないのではないかとの疑念があった。

それで、McIntoshやPASSなども考えたが、スイスのメーカーであるソウリューション Soulution 311という手があったことに気が付いた。Soulutionはかつてインターナショナルオーディオショウで初めて聴いて、非常に感激した覚えがある。しかしなんせ高いことで有名なメーカーであったし、とても自分が使うなどということは考えたことがなかった。だが最近比較的手に入りやすい3シリーズが出たということで、予想もしなかったことが現実的になってきた。まず初めに200万円弱でプリメインアンプが発売になり、そののち、パワーアンプも同程度の価格帯で発売になった。しかし円安で直に値上げになり、200万円台の前半くらいの価格になっていた。先のオーディオショウで聴いてから決めようと思っていたら、また値上げになるというニュースが聞こえてきた。200万円台後半になるらしい。いろいろ考えてもこれ以上の製品はないだろうということで、値上げ前、ショウの前に販売店で聴いて決めることにした。

販売店ではプリアンプは純正325との組み合わせで聴いた。ケーブル類の問題もあってか今一つの感もあったが、プリをオクターブに替えると一段と良くなって、決めることが出来た。(純正の組み合わせはオーディオショウでも確かめたのだが、本来非常にいい音がする。ちなみに私のプリアンプはマーク・レヴィンソンNo.320だ。このアンプは買って以来故障知らずで、この後もかなりの間使えるのではないかと思っている)

アンプ類は100万円台というのが目途だったが、Forteの買い替えということで、ずいぶん迷った。なんせForteは買った時点で120万円だったが、ForteIIになってからあれよあれよといううちに値上げして、現在では定価370万円になっている。並みの製品だと、どうしても買い替えと言えるのかどうか、値段からすればダウングレードじゃないかと思ってしまう。しかしForteIIはもともとそんなに高い製品ではなかったし、Soulutionは自分的には立派なアップグレードだ。なんせ200万円台前半でも、私がこれまで買ったオーディオ製品の中で最高価格となる。これはかつてオーディオショウで感激した経験があったことが決め手になった。

それで購入後の満足度だが、これは非常に高い。音はたまらない。ヴィオラのForteと比べても、美音ではないがダンチで本格的な音がする。私は我が家のオーディオからこんな音が聴けるとは思わなかったというほどの音だ。

まず左右、前後の音空間が格段に広がる。このあたりは真空管アンプを思わせ。基本性能が非常にいいことを窺わせる。そして低音は非常にどっしりとして、スイッチング電源に余裕があるらしく、スイス製らしい根を張ったような安定感がある。音色も、高音から低音まで混濁することがなく、女性ヴォーカルを聴いても思わず聴き入ってしまうほどだ。音の生々しさもなかなかだが、発音帯を拡大しているようなものではなく、奏者全体の音像を感じることが出来、バンドの場合は演奏の場がそのまま再現されるようなやり取りの空気感が伝わってくる。あたかもオーディオ・ルームにバンドを招き入れたような気分だ。音のキレがいいためか、出て来る音に生き生きとした感じがあり、コンサートの席で聴いているような錯覚を持つ(なぜそういうふうに聴こえるのかは十分には分からない)。高音の柔らかさと自然さは、これまで聴いたことのないものだ。人の声などあまりにも自然で、そこにいるのではないかと思うほど柔らかい。なるほど、よく「スタジオ品質」というのも頷ける。トランセンダントはけっこう大きいが、このアンプと釣り合うシステムはもっと大きなスピーカーで、スピーカーが格負け?というような気さえする。最初は「100万円はスイス税」としてあきらめようと思っていたが、今は全くそうは思わない。中身はびっしりと詰まっている。うっとりするような美音ではないし、びっくりするような生々しい音でもないから、一聴すると普通のアンプのように聴こえるかもしれないが、じっくり聴くと人を幸せにするような音で、クセになる。

Soulutionは、私が買った3シリーズのほかに5シリーズ(日本未輸入)が出されているが、フラッグシップの7シリーズのプリアンプが海外誌で最優秀賞を取っている。それで社長兼チーフエンジニアのCyrill Hammer氏のインタビューが出ていたが、5シリーズとの違いは徹底したノイズ対策であることを強調している。Hammer氏はいかにもはったりのない技術者という印象の人だが、7シリーズのアンプは日本円換算で1千万を優に超える価格であり、世界最高であることを最初から運命づけられたアンプだ。ひたすら真面目一筋に世界最高のアンプを作るのにふさわしい雰囲気の人だ。

スピーカーというのは、いわばオーディオ・システムの頭脳のない筋肉のようなもので、運動的な感覚はあっても、細かい感情表現までは伝えない。それに対してアンプは神経系統であり、結局システム全体の音楽魂をつかさどるのはアンプだと思う。レヴィンソンとヴィオラの組み合わせの時はヴィオラの押し出しがやや弱かった。レヴィンソンとソウリューションの組み合わせになって、まさに私のシステムの中核に位置する感が強くなった。ソウリューションにしてから不思議とレヴィンソンの音も浮き出るようになった。

スピーカーから出る音に魂を吹き込んでいるのはアンプだ(それより上流のプレーヤーを含めて)。オーディオ・ファンで単にいい音で聞きたいということだけを思う人はいないだろう。どんなに高くてもどんなに安くても、それだけなら何の価値があるだろう。ファンが求めているのは「感動」だ。

スピーカーは夢はあるが、名を伏せられると最も分からないのがスピーカーだったりする。私はそういうイベントに参加したことがあるが、名無しだと(ステージ上でどのスピーカーが鳴っているなど分からないから別に幕を張る必要もない)、誰もブックシェルフ型とフロアー型の区別さえつかない。

買い替えには、スピーカー用として300万を覚悟していたが200万で済んだ。CDプレーヤー用としては100万用意したが、37万で済んだ。その余った分を全部アンプに注ぎ込んだようなもんだ。しかしこのアンプは大正解だったと思う。

 

<CDプレーヤー>

[Metronome CD3 Signatureから買い替え]

CDプレーヤーは、メトロノーム MetronomeのCD3 Signatureを使っていた。これも相当に頑張ってもらったのが、88分収録の超長時間CDを読み渋ったこと(一度だけ読み込んだことがあったが)、国産と比べてCD盤面の汚れに弱かったことから(拭けばいいだけだが)、最新のプレーヤーに買い替えることにした。候補は、Accuphase DP450とLuxmanのD07X、それにTechnicsのSL-G700IIだった。MetronomeのCDプレーヤーは非常に有力だったが、デジタル出力端子がないので諦めた(旧モデルはデジタル出力で使っていた)。

Accuphaseは音は、奥行き感の表現では上級機種より良さそうだったことから候補に挙がった。Luxmanは国の内外で評判がいいので興味を持った。販売店で聴かせてもらった森麻季の声は忘れられない。Technicsは、デジタル技術を使ってDAコンバーターの後段で音波形(位相)を補正し、定位を良くする技術が魅力的だった。そうでなくともこの機器は前モデルからして全体に評判が良かった。音展で歯切れのよい音に魅力を感じたこともある。ただ一生ものということを考えるとLuxmanはぴったりくるような気もした。最終的には、私は定位を非常に重視するのでTechnicsにすることにした。

問題は一生ものにしては価格が安過ぎたことで、Metronomeの半分から3分の1以下だ。この製品の定価は37万円だが、37万円の割引なしで買った。なんせこの頃はモノ不足で、どのプレーヤーでも数カ月は待たされると言われた。割引率に敏感な私でも、内容を考えると37万をさらに値切ろうという気は不思議と起こらなかった。(あとで知ったが、Technicsは販売方針が変わったことで、どこでも定価販売になっているらしい)

買って感じたのは、定位の良さは際立っている。やや音が引っ込むだけで、音は格段に高級感を増す。音の重厚感ではフィリップス製メカニズムのMetronomeに敵わないが、解像度では明らかに上で、格下の感じはない。S/Nは非常にいい。振動対策は非常によく出来ているようで、回転機器の存在を感じない。電源ケーブルも良く吟味されているようで、高いものに替えても音は良くならない。筐体の剛性もいいようで、非常にしっかりしたきれいな音がすると思う。

 

<スピーカー>

[Avalon Avatorから買い替え]

最初に買い替えたのがスピーカーだ。

アヴァロンAvalonのアヴァターAvatarからトランセンダントTranscendentへと替えた。音の基調は同じメーカーだから変わらない。それは分かっていたから、相当に悩んだ。大金を払って買い替えるのだから、どうせならかなり変わった方がいいだろうかとも思った。

有力な対抗馬は、YGアコースティックス YG Acousticsだった。YGアコースティックスは私の憧れのブランドだが、主力のヘイリーHaileyはとても買えないので、カーメル2 carmel 2になる(carmel3は当時未発売)。トランセンダントは販売店で展示品をすぐ聴けたが、カーメル2は取り寄せてもらった。すぐに気が付くのは、改めて知ったのがその大きさの違いだ。カーメル2はトランセンダントに比べてこんなに小さいんだという実感。それでいて、価格は200万のトランセンダントと比べて100万以上高い。

有力なのはこの2機種だったが、更に聴かせてもらったのはたまたま展示していたマジコ A3で、低域の弾みに魅力は感じたが、音楽のニュアンスはトランセンダントの方が細かく伝えるように思った。

発売はかなり前だったから、Stereo Soundでの評価はもう分からない。それでネットで調べたら、10年くらい前の英文記事がアップされていて、非常にいい評価だったが最後の点が決定的だった。オーディオ評論家の評者が自宅のスピーカーとして導入したというのだ。それで、トランセンダントにすることにした。

それで購入後だ。なかなかいい音では鳴らなかった。Avatarは、ユニットがフランスのフォーカルで、音に甘さがあって気になっていた。しかしTranscendentは音に潤いがないように感じ、これならAvatarの方が良かったと真剣に後悔した。しかし結局エージングが原因だった。Transcendentのエージングは、1年半かかった。この後は、非常にいい音で鳴って、立体感の表現など鳴らしやすい。最終的にはどこにもこれという欠点がないスピーカーに仕上がって非常に満足している。

 

思えば、アヴァロンに興味を持ったのは初めて聴いたAscentに感銘を受けたからだ。Soulutionに初めて接した時も感動した。こういう感銘・感動体験はインターナショナルショウでいろんな製品を聴いていてもめったにできない。モデル名は違っていても、そういうメーカーの製品を買うことが出来たことは本当にラッキーだったと思う。

ということで、私のシステムの買い替えは大体が揃った。あとはネットオーディオ用のネットワーク・プレーヤーだ。Qobusがいよいよ上陸すれば、そのあたりの情報も増えてくるだろう。

オーディオというのは、あくまで音楽を聴くための前提に過ぎないものとすれば、当面は音楽に専念できる環境が揃った。