2021年インターナショナル・オーディオショウ | オーディオの楽しみ

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一音楽ファンの目から見たオーディオのページです。いい音で音楽を聴けるのは至上の喜びです。

 

昨年は中止されたので2年ぶりとなったインターナショナルオーディオ・ショウ。事前予約制で入場者を制限したのに加え、いくつかのブースでは講演をも事前予約制としたため、いつものようなぎゅうぎゅうの会場とは違った雰囲気があった。私は講演の予約まではしなかったので、いくつかのブースは聴きそこねたが、この方がむしろゆったりしていいのかも知れない。

私は最近、スピーカーをようやく買い替えたので(AvalonのAvatarからTranscendentへ)、スピーカーへの関心は低下した。それで次の買い物(たぶん最後の大物)は、ネットワーク・プレーヤー(DAC)関連となった。ただ、ネット関連はこのショウの目玉ではないし、アメリカなどではかなり有力な存在であるLuminが出展していないなど今一つ個人的には盛り上がらない点もある。

 

それでも、会場内をいくつか興味深く回った。やはりスピーカーはショウの華だ。

ステラのブースでは、生き生きとした素晴らしくいい音がしていたので、「やっぱりお金を出せばいい音が出るんだ」と思ってしばし聴き入った。TechDASのアナログ・システムで、スピーカーはWilson Audioだった。あとで知ったが、驚いたのはその価格で、TechDASのプレーヤーは数百万と知っていはいたが、Wilson Audioのスピーカーはなんと8,000万円(800万円ではない)、さらにこれは二番目に高いもので、本国のカタログにはこの上の商品もあるとのことだった。この実演のエネルギーを秘めた音がどういう仕組みで鳴るのか分からない。しかし、毎日この音を聴いていたら、世界観まで変わるだろうと思った。

太陽インターナショナルは、新しいAvalonのシリーズを聴かせていて、緻密・精密な鳴り方がする。Avalonにも4,500万円の製品がある。ここまできたら、まさに音に対する執念のようなものを感じる。まさに夢のような世界だ。

 

ネットワークがらみの製品の選択は悩ましい。

TIDALが上陸するとの噂があり、MQAによるその音質は間違いなく良くなるが、これが高級オーディオの救世主と捉える人々だけではない。もうネット・オーディオは無線が当たり前になっているが、ハイエンドでは有線に拘る人が多いだろう。MQAは実は不可逆圧縮で(という悪口がある。私は少しピントがずれているように思うが)、高級オーディオに取り入れるには抵抗を持つ人たちがいる。私自身は可聴域が非圧縮であれば全く気にならないし、音を聴けばそういう心配は吹っ飛ぶだろう。しかし、パッケージへのこだわりは無視できない。オーディオ・ファンのためだけにでもCDには残ってもらいたいし、それでもCDがだめならアナログという流れはある。

私は、現在OPPO DigitalのSonicaというDAC兼ネットワーク・プレーヤーを持っている。よくできた製品で、デジタル関連はたいていはこれで済む。しかしMQAには対応していないし、もう少し上のランクの製品が欲しいという気もする。

私は、TIDAL、MQA、roonを必須の御三家として製品選びをするつもりだ。すると選択肢としては、Brooklyn Bridge、Lumin、Esotericなどに限られてくる。ネットワーク・トランスポートを分けるという考え方もあるが、魅力のあるDAコンバーターではかなり高価であってもMQAに対応していなかったりする。

アメリカで一定の存在感を持つLuminは有力な選択肢で、X1がもう少し安くならないのだろうかと思っていたら、ネットワーク・プレーヤーとプリメインが一体となったオールインワン製品M1がなんと16万円ほどで出た。これでも音は結構いいらしい。

コンピューターというのは、そもそもが価格破壊と相性がいい。その影響を受けやすいネットワークをプリアンプと合体して、DAC付き、ネットワーク付きのプリアンプというのは、今後の有望株ではある。プリ合体製品はパワーアンプとスピーカーで、ネット上の楽曲は聴き放題だ。

未来のオーディオショウは、スピーカー、パワーアンプ、ネット複合型のプリアンプ、CDプレーヤーそれにアナログあたりが中心だろうか。