(元「放射線医学総合研究所」主任研究官&医学博士)
崎山比早子氏
「(最低でも)トリチウムの物理学的半減期(約 12 年)内は
貯蔵タンクに留めておくべき」

⇒更に言えば、(濾過残留の程度は別論として)

主要核種・ストロンチウム90とセシウム137
の物理学的半減期(約30年)との整合性から
(最低でも)約30年間は貯蔵タンクに留めておくべき。

 

 

東電・増田氏「5、6年でタンク満杯 」

~ 第一原発の汚染水処理計画に注目〕
(2018年3月5日 福島民報)
東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの

増田尚宏最高責任者は

福島民報社のインタビューに応じ、

汚染水が現状のまま増え続けた場合、

5、6年後に構内の貯蔵タンクが満杯になる

との見解を明らかにした。

原子力規制委員会は

東電に対し、

放射性トリチウムを含む処理水の処分方法を

年内に決めるよう求めており、

いかなる新たな保管・処理計画を打ち出すか注目される。


福島民報社はインタビューで、

福島第一原発で発生するトリチウム処理水の

保管容量と今後の見通しを尋ねた。

増田氏は

今後も構内でタンクを増設し、

2020年までに計137万トン分を確保する計画だと説明した。

ただ、構内の貯蔵量は100万トンを超えており、

現在の一日当たりの汚染水発生量(渇水期)である

150トンのペースで増えた場合、

残り5~6年で許容量を超えると語った。
その上で、

「容量がいっぱいになるなら、

その前に処理の仕方を決めなくてはならないと思う」

と述べ、

タンクのさらなる増設などの対応が必要との認識を示した。

ただ、タンクを計137万トン以上に増やすには、

既存の建物を撤去するなどして

構内に新たなタンク置き場を確保する必要が

生じる可能性もある。
トリチウム処理水の処分方法についても尋ねたところ、

「国の小委員会の議論がまだ継続している。

議論を見ながら、国の主導の下で決めていく必要がある」

と述べ、

処分方法を絞り込んでいる国の結論を待ち

判断する従来同様の見解を示した。

原子力規制委員会の更田豊志委員長は

トリチウム処理水を保管するタンクの原発構内での保管は

数年で限界を迎えるとし、

早急に処分方法を決めるよう東電に求めている。

手法については、

トリチウム処理水を希釈した上で

海洋に放出するのが実現可能な唯一の手段だとしている。
一方、

福島県はトリチウム処理水の処分は

方法により新たな風評を招く可能性もあるとし、

東電に慎重な対応を求めている。


増田氏は、

福島第一廃炉推進カンパニーが発足した

2014年4月に最高責任者に就任した。

2018年4月1日付で、

東電ホールディングス(HD)の執行役副社長に昇任する。

 
東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの
増田尚宏最高責任者は、
福島第1原発事故から丸7年となるのを前に
福島民友新聞社のインタビューに応じ、
廃炉作業の評価や課題について語った。
 
―1~4号機建屋の地中を凍らせる
汚染水対策「凍土遮水壁」を含め、
これまでの廃炉作業の評価は。
 
「野戦病院のような状況に比べると安定した現場になってきた。
(使用済み核燃料の取り出しに向け)
3号機の建屋上部で作業できるようになり、
7年でここまでいくとは思わなかった。
第1原発の安定性は大きく進歩した。
凍土壁は十分に機能している。
凍土壁とサブドレン(井戸)からのくみ上げで、
台風時に水があふれて海に出るのを防ぐ体制が整ってきた」
 
―廃炉作業では、
タンクで保管が続く放射性トリチウムを含む
処理水の処分方法が課題だ。
 
「137万トン程度まではタンクを造れるが、どこかで破綻する。
タンクを造り続けるのは、ずっと続くものではないと思っている。
最終的にどう扱うかは非常に大きな問題だ。
国の小委員会で
科学的、社会的な影響も含めて議論されており
国の指導の下に決めていく必要がある。
どの方式を選んでも影響を受ける方がいる。
その方と対話し、
処理の仕方を決めていくのは東電の責任だと思っている」
 
―溶融核燃料(デブリ)の取り出しに向けて、
どこまで進んだのか。
 
「1~3号機とも原子炉格納容器内の調査で
事前の解析と同じような結果を確認できた。
ただデブリの性状や詳しい位置が分からず、
もう一歩進めなければならない。
デブリを取り出す技術開発は、
精度を高められるので(取り出しは)十分できる。
取り出し方法を決めながらどうアクセスするか。
(廃炉工程表に基づき)2019年までにしっかり決めていく」
 
―福島第2原発の今後の方向性についての考えを。
 
「全基廃炉を求める声は、
福島第2原発の所長時代から重々承知している。
国のエネルギー政策に基づき、
しっかりと行く末を決めていくのが大事なやり方。
そこを見守っていく」
 
(広瀬隆)

【IWJ】
〔「黙っているとトリチウムを海に流される!
更田氏を規制委員長から外せという運動を!!」
~カオンタリオ湖はトリチウム汚染で

流産・死産増加、ダウン症候群1.8倍

―広瀬隆が訴え〕
(2018年1月20日)

 
〔原発ミニ講座 第2回「トリチウム」〕~講師:村上茂樹氏
(2014年12月6日)

 

~徹底的に、過小評価の方向性の更田原子力規制委員長~
 
 
〔第1原発・処理水放出...「決定の時期」 更田規制委員長が見解〕
(2018年1月12日  福島民友)
東京電力福島第1原発事故で
避難指示が出た市町村を訪れている
原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長が
2018年1月11日、
いわき市など4市町を訪問し、首長と意見交換した。
清水敏男いわき市長との会談で
第1原発から出る、汚染水を浄化した後の
放射性トリチウム(三重水素)を含む処理水について
更田氏は、
「今年の大きな議論だ。
意思決定をしなければならない時期にきている」と述べた。
処理水について
更田氏は
「貯蔵タンクに貯留し続けられるのは2、3年程度。
希釈して放出するにしてもその準備に2年以上かかる」
との見解を示し
「多くの人が受け入れ難い判断とは理解しているが、
福島第1の廃炉を前に進めるには
速やかに決断すべき時がきている」
と話し、
決断に向けては
東電が主体的な役割を果たすべきだと強調した。
風評被害については
「科学的、技術的に見れば
環境や海産物に影響が出ることはないが、
気持ちの問題もある」として、
漁業関係者らの合意を得ることが大切と指摘した
一方で
「いたずらな意思決定の先送りが許されるものとは思っていない」
とした。
更田氏は
これまで一貫して
「希釈して海洋放出するのが現実的で唯一の選択肢」と発言。
処分方法を巡っては、
経済産業省の小委員会が社会的影響を含めて議論している。
会談ではこのほか、
清水市長が福島第2原発の廃炉の早期決定や
浜通りの復興の先導役としての避難12市町村に入らない
同市の支援について要望した。
この日はいわき市と楢葉、広野、富岡の3町を訪問。
前委員長の田中俊一氏(福島市出身)も同行している。


〔処理水放出「反対出ず」

被災13市町村長と会談終え規制委員長〕
(2018年1月13日  福島民友)
福島県内の被災市町村を訪れている

原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は

2018年1月12日、

東京電力福島第1原発が立地する

大熊町や双葉町の町長と会談した。

終了後の記者団の取材に、

放射性トリチウムを含む処理水について

更田氏は

「(希釈して)海洋放出することに対し

(11、12日の)2日間で訪問した首長の中に

大きな反対はなかった」と述べた。
更田氏は

「科学的、技術的に影響が出ないことは

理解してもらえているようだが、

風評被害の問題は大きく捉えているようだった」と話し

「風評被害に向き合うことは東電に決意を求めているが、

規制委としても協力したい」と述べた。

具体的には、

放出する処理水の

濃度制限値や水量の管理目標値の科学的根拠などを

説明するとした。

更田氏は今年中に意思決定すべきだとの認識で

「(東電が)判断は自分たちでするという姿勢を

明確に見せることが必要だ」

と指摘した。

双葉町の伊沢史朗町長は記者団に

「(処理水は)大熊町側に貯蔵しているが、

対応できなくなった場合、

双葉では新たなタンクを設けるのは難しい」との認識を示した。

その上で「将来的に飽和状態になった場合、

責任ある人が放出について判断しなければならない。

東電や国が住民への理解を図り、

しっかり決断することが大事だ」

と語った。
処理水を巡り

規制委は、貯蔵タンクの設置場所が限られており、

法令基準より薄めて海洋放出するよう求めているが、

風評被害を懸念する漁業関係者らの反発が強い。

更田氏は昨年12月から、

原発事故で避難指示が出た市町村などへの訪問を始め、

この日までに計13市町村の首長と会談した。

 
内堀知事、国と東京電力の説明重要〕
(2018年1月16日  福島民友)
原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長が
放射性トリチウム(三重水素)を含む処理水を希釈して
海洋放出すべきだとの考えを示していることについて、
内堀雅雄知事は
2018年1月15日の定例記者会見で
「国と東京電力で環境や風評への影響などについて
丁寧に説明し、理解を得ること、
何より慎重に議論を進めてもらうことが重要」
と改めて注文した。
福島第1原発事故による風評被害は依然として厳しく、
内堀知事は
「風評の問題は県内だけでなく、
全国、世界からのさまざまな意見、考え方も強く影響していく」
との認識を示した。
トリチウムは人体への影響が少ない?とされており、
薄めるなどして濃度基準を下回れば
海に流すことが国際的に認められている?
運用中の原発では長年、海洋放出する方法が採用されている。
福島第1原発にたまり続ける処理水の取り扱いを巡っては、
社会に与える影響を含めて国の小委員会が議論を進めている。
~参考~
〔放射性トリチウム水保管「2020年までは大丈夫という試算結果」
(東電福島復興本社・大倉代表)〕 

 

〔トリチウム水「安心考慮」

~東電福島復興本社・大倉代表インタビュー〕
(2017年12月20日  福島民友)

東京電力福島復興本社の大倉誠代表は

福島民友新聞社の年末インタビューで、

福島第1原発で保管が続く放射性トリチウムを含む

処理水の処分について、

「科学的要素だけではなく、

(住民や地域の)安心に関わることも含め、

皆さんと相談しながら処理、処分を決めていかなくてはならない」と語った。

 

―放射性トリチウムを含む処理水の処分方法が決まっていない。

「国の動向を見ながら検討しており、

科学的な要素だけではなく、安心に関わることも含め、

相談しながら処理、処分を決めていかなくてはならない。

(処理水のタンクでの保管は)

2020年までは大丈夫という試算結果を伝えているが、

2020年で限界がくるかというとそうではない。

ただ、今の状態で永久に保管するというのは

物理的にあり得ないと思う。

そのため処理、処分方法について検討していく

以下略

~参考~
/福島第1原発・処理水の処分方法〕 

〔「海洋放出以外の選択肢はない」

福島第1原発・処理水の処分方法

(2017年12月15日  福島民友)
原子力規制委員会の更田豊志委員長は
2017年12月14日、
東京電力福島第1原発で避難指示が出された市町村を訪れ、
首長と意見交換する取り組みを始めた。
飯舘村の菅野典雄村長との会談では、
第1原発で増え続ける放射性トリチウムを含む

処理水の処分について
「希釈して海洋放出する以外の選択肢はない。
風評被害を恐れる人への理解や同意を得られるよう、

声を上げたい」と述べた。
更田氏は2017年10月の福島民友新聞社のインタビューでも
「希釈して海洋放出するのが現実的で唯一の選択肢」と発言。

地元合意を前提としているが、
風評被害を懸念する漁業者の反対は根強く、
実現へのハードルは高いのが現状だ。

処分方法を巡っては、
経済産業省の小委員会が

社会的影響を含めた方策を探っている。

~参考~

 

〔東電会長「海洋放出」発言に波紋~福島第1原発トリチウム水、増え続け処分に苦慮〕
(2017年7月16日 福島民友)

東京電力福島第1原発の地上タンクで保管が続く

放射性トリチウムを含む水は増え続け、廃炉作業のリスク要因となっている。

東電の川村隆会長が、

トリチウムを含んだ水を海に放出する判断を「もうしている」と発言し

波紋を広げたが、処分の在り方に苦慮する現実も改めて表面化。

汚染水処理への道は険しく、遠い。


◆◇◇タンク群
「これだけのタンクをメンテナンスするのは新たなリスクだ。

早く何とかしなければ」。

2017年7月15日に第1原発を視察した、

トリチウム水の処分方法を検討する経済産業省の

「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」。

委員長の山本一良名古屋学芸大副学長は、

敷地内に並ぶタンク群を見上げ、報道陣に語った。

 

2017年7月6日現在で

約77万トン、タンク約600基

約101万トン、タンク約1000基

の処理水が保管されている。

 

事故後建屋内に流入する地下水が汚染水と混じり、

それをALPS(多核種除去設備)で処理した水が増え続ける。

地下水の流入量は、

1~4号機建屋周囲の地盤を凍らせる「凍土遮水壁」などの効果もあり、

ピーク時の5分の2の1日約160トン(2017年6月暫定値)まで減った。

トリチウムは水と性質が近く、

62種類の放射性物質を除去できるALPSでも取り除くことが不可能。

東電は今後2年分のタンク置き場を確保したが、

水漏れのリスクは残ったままだ。

 

◇◆◇4~7年

国の作業部会は、

処分方法として

〈1〉地層への注入

〈2〉海洋放出

〈3〉蒸発

〈4〉水素に変化させて大気放出

〈5〉セメントなどで固めて地下に埋設

―の五つを挙げた。

政府は2016年6月、

水で薄めて海洋放出する方法が

最も短期間に低コストで処分できるとの報告書をまとめた。

それでも77万トンの水を流すには4~7年かかる試算だ。

 

トリチウムは稼働中の国内原発でも希釈するなどして海洋放出されている。

原子力規制委員会の田中俊一委員長(福島市出身)も海洋放出すべきとの考えだ。

ただ福島県内漁業者の風評への懸念は強く、実現へのハードルは高い。

 

トリチウム処理に関する小委は2016年9月に発足。

処分を巡る風評被害などの影響を検討、

関係者や消費者が納得できる対処方法を慎重に探っている。

委員には「安全だから放出するという理屈だけでは

風評被害を繰り返す」との思いもある。

 

◇◇◆反発招く

議論が道半ばの中、川村氏の発言は漁業者らの反発を招いた。

東電は「最終的な方針を述べたものではない」と火消しに回ったが、

県漁連や全国漁業協同組合連合会(全漁連)から抗議文が出される事態となった。

 

2017年7月15日の視察を終えた小委の山本委員長は

「どんな発言をしたか詳しく把握していない」と明言を避けた。

川村氏の発言は、自身が「福島が原点」と述べた東電の姿勢も問われている。

差し迫った課題をどう解決するか。県民へのしっかりとした説明抜きには通れない。

 

[トリチウム(三重水素)]

弱いベータ線を出す放射性物質で水素の放射性同位体。

自然界に存在し、核分裂などによって生成される。

半減期は12.3年で、人体への影響は小さいとされる。

薄めるなどして濃度基準を下回れば海洋放出が世界的に認められている。

国が定める放出基準は1リットル当たり6万ベクレル。