ガンジス河で潜水 -2ページ目

第13話~いざアーグラへ!さらばデリー!後編

俺達は例のごとく何人ものインド人の「フレンドリーの押し売り」を掻い潜りメインバザールを抜けニューデリー駅に向かった。

駅は人でごった返していた。

インドでは「石を投げればインド人に当たる」と言われてるくらいインド人が多いという当たり前の出来事が今日も目の前で起こっているのだ。

もし試しに石でも投げてみれば、この光景からしてその石はきっと地面にたどり着くことはないだろう(泣)


俺達は「2等寝台」という若干VIPなチケットをゲットしていたが、これが「2等自由席」になると乗車率は400%と言われている。

途中知り合った旅人は2等自由席でイスなど空いてるわけもなく、さらに立つスペースすらなく、結局知らないインド人のおじさんの上に座ったと言っていた・・・


どうすんだ!


さっきまでなかった感触をお尻に感じたら!!


「あのぉ・・・携帯当たってますよ?」とでも言えばいいのだろうか!





話が脱線したが、脱線するのは話だけにして欲しい、そう思いながら俺達は鉄道に乗り込むことに成功した。

2等寝台は向かい合う形で4人座れるようになっていてその上にベッドらしきものがついていると言うなんとも画期的なものだった。

そして車内の汚さもそれはそれは画期的なものだった。

まずドアが手動で開きっぱなし。

言っておくが窓ではないドアだ。

そして何よりトイレがすごい。

むしろトイレと呼ぶのすら恐れ多い。

もしあれをトイレと呼んだなら今すぐ俺はTOTOに訴えられてしまうんじゃないかと思うとあれはトイレではなく、トイレ風「穴」と呼ばせてもらおう。


4人席には俺達二人と韓国から来た親子が座った。

お母さんと息子で来ていたが、息子は一言も口を聞いてくれなかった。

お母さんの話によると彼は引きこもりでどうしようもないからインドに連れて来たということだったが、もし俺が彼だったらこれを機に就職を考えるだろう。


お母さん!どうしてインドなんだよ!

今すぐ働くから帰ろうよ!!



・・・子供はいつもお母さんの思う壺である。



隣の席に座っていたインド人の女の子はお父さんと乗っていて、駅を出るときにお母さんに見送られ泣いていた。

きっとどこか遠い太平洋の裕福な島国に売り飛ばされてしまうんだろうと想像した俺は頭の中で「ドナドナ」を歌いながら涙を堪えていた。

すると彼女はおもむろにポケットから携帯電話を出し笑顔で話し始めた。



なんだよ!



売る側かよ!!



じゃなくて・・・金持ちかよ!!と心の中で突っ込んだ。

インドの貧富の差を改めて実感し、この国に真の平和が訪れるのはいつなんだろうと携帯で話す彼女を見ていたが、彼女のあまりの可愛さでインドの平和のことはどうでもよくなった。

そしてやはり外人である俺は目立つのだろうか、彼女はこっちを見て笑っている。

その笑顔は女の子が恋をした時の笑顔ではなく、人を馬鹿にしたときの笑顔だったのは言うまでもないが(泣)


横からお父さんの物凄い熱く、警戒の眼差しをものともせず英語の話せる彼女に俺は思い切って話しかけたのだ。


「さっきまで泣いてたのに~」

と好きな子に話しかける言葉の選択を間違えた小学生の様に茶化してやった。


なんなく打ち解けて気づけばお父さんも笑っていた。

実は俺ミュージシャンなんだよって話をしたら彼女が目をハートの形にして「歌って!」って言うではないか。

俺はインドの鉄道でインド人数十人に見守られて大声で歌った。

感動したのは歌い終わると同時にみんなが大きな拍手で迎えてくれたのだ。


まさか「チューリップの花」で拍手が起きるとは思いもしなかったが笑



ニューデリーからアーグラまでは2駅、途中の駅で停車するとホームには物乞いの子供達がいた。

彼らは旅行者を見つけると世界の車窓から手を出してお金をねだる。

俺はさっきからインド人と溶け込んでいるため気づかれないだろうと思っていたが、あっけなく見つかった(泣)

一生懸命な彼らの姿を見るとなんだか泣けてくる気持ちもあり、かといってみんなにお金をあげてたら、帰る頃には俺がそっち側にいることになる(泣)

だから俺は残っていたキャラメルをポーチから出してその汚れた小さな手の上に乗せた。

その子はすぐに袋を開けてキャラメルを小さな口いっぱいに頬張る。

さっきまでの顔が嘘だったかのように(たぶん嘘だが)急に笑顔になる。



そしてまた手を出す(号泣)




運転手さん早く出発して~(泣)




アーグラまでの3時間、俺は少しだけ深くインドを知れたような気がした。







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第12話~いざアーグラへ!さらばデリー!前編

朝8時に起きて俺達はラブホテル風ホテルを出てリクシャーを拾った。


「おはよう!メインバザールまで行ってちょうだい!」


「はいよ~任せときっ!!」


インドに来てからあちこちふらついたため、いつの間にかこの辺の地理に詳しくなった俺達を乗せたリクシャーは潔く駅と反対方向に進みだした。


「こらこら!そっちじゃねぇだろ!!」


「ノープロブレム!」


「いやいや、朝からコントやってる暇はないんだよ!駅に行ってってば!」


「ノープロブレム!」



相変わらず物凄いスピードでクラクションを鳴らしながらリクシャーを走らせ、突然小道に入るおじさん。


清水君・・・やばくない?絶対方向違うって・・・

だ、だよな・・・


「なぁ!おじさん!止め・・・



キキーッ!!



「よし、ちょっと待っててくれよ!」


恐怖におびえる日本男児二人を愛車に残したままおじさんは友達と世間話を始めた。



「お待たせ~さぁ行こうか!」








なんでや!!

なんでお前の用事につき合わされなきゃいけないんや!!




そしてまたリクシャーを飛ばすこと5分・・・。


「着いたぜ!」


清水君・・・ここ駅じゃないよね。絶対違うよね!!

うん、来たことないし見たことない・・・


「違う!メインバザールに行きたいんだ!」

安藤が鼻の穴を広げて一生懸命説明しているのを聞きながら俺は一生懸命英語の勉強をしていた。

「だから着いたってば!」

「違う!ここじゃないの!!メインバザールに行きたいの!」

「しつこいな!そこだってば!」


「安藤!もういいよめんどくさい。おじさんじゃあね!ありがと!」




「清水君、ここやっぱ違うよ!」


安藤はどうも腑に落ちないらしい。

近くにいたインド人に尋ねるとすぐ近くに見える線路の向こう側を指差した。



逆口かいっ!!



川口駅で例えるとここは東口かいっ!!



なるほど、どおりでさびれてるわけだ。


いや、納得してる場合じゃない。

なぜインド人は頼んだ場所に連れて行ってくれないんだ!

日本で「すいませんセンター街までお願いします」って言って渋谷の南口の松屋の前かなんかで降ろされたら怒るでほんま。


結局逆口まで歩いたら5分以上かかったじゃないか!


いちいち怒っていたら埒が明かないことは2日目くらいで気づいてはいたが、ことあるごとにお国柄の違いに腹が立ってしまうものである。


「清水君!アーグラ行く前にあそこのチャイ飲もうよ!」

「お、いいねぇ~」

「あのおじさん好きなんだよね~」

「確かに、あの人だけなんかまともだもんな(笑)」


駅からメインバザールに入り行き着けのチャイ屋へ向かった。

もちろんチャイ屋に着く頃には知らないインド人も加わって3人で歩いていた。


「ナマステ~」

「ナマステ~」

さすがに常連(3回目)だけあっておじさんも俺達のことを覚えていてくれたみたいだ。

「チャイふたつちょうだい!」

「はいよ~」

確か一個5ルピーだったよな・・・

「はい10ルピー!」

「ありがとうね~じゃあおつりの2ルピーね!」



一個4ルピーだったんかい!!


「おじさんこないだ5ルピーって言ってたじゃん!!」

「ははは・・・」

笑ってごまかすな!!

「まぁその、あれだ。時々値段が変わるんだよ」


「そっか~なるほどね!株価と一緒だねってバカ!!」


インド人はどうしてこうも適当なんだろう。

日本ではよく適当だなぁ!と言われる俺ですらこの適当さにびっくりさせられるのである。

実は世界的に見れば俺は適当な男じゃないんだなと実感した。

適当なのは女の子の扱いだけである(泣)


だいたいインドに来てからレストラン以外の店で値札を見たことがない。

全て時価ですかそうですか。


この際俺もインドにいるうちくらいはいつもの10割り増しくらい適当に生きてやろうと決めたのだった。






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第11話~天国と地獄

インドで初めて触れ合った日本語(安藤以外の)に感動したのもつかの間彼女達はそそくさとどこかへ消えていった・・・。

安藤が書類を書き終え、俺達はチケットを獲得したのだ。

明日俺達はニューデリーを出てアーグラへ行く予定。


腹が減ったので駅を出てメインバザールに戻り、レストランチックなものを探した。

ここで見つけた屋上のカフェは最高だった。

あくまでも今の俺たちにとってはである。

町のやかましいクラクション、人込み、野良犬、ノラ牛・・・














$ガンジス川で潜水
























静かな屋上から見下ろすインドは俺の凍てついた心を一瞬にして溶かしてくれたのだ。

インドに来る前には「途上国に行って肌で感じたいんだよ!先進国にいたってわからないんだよ!」などと冒険家のようなことを言っていた俺だが、やはり途上国はコタツに入ってみかんを食べながらテレビで見るのが一番いいということに気づいた。


きっと神様がいるのならこんな風に下界を見下ろしているんだろうか。


周りを見渡すとやはりそこには「欧米か!!」と、思わず突っ込みを入れたくなるような人たちがたくさんいた。

実際一人一人頭を叩きながら「欧米かっ!」と突っ込んで回ったら、出国前に書いて机の中に閉まっておいた遺書が役に立ってしまうのでやめておいた。

おそらく彼らもバックパッカーだと思うが、何故かかっこよく見えてしまうのだ。

そんな空気の中俺は思いっきりフィットしてた!

よね?安藤。


飯はそこそこ高くて、そこそこまずかった

俺達は泣く泣く店を後にしてまたバザールに戻った。



うるせぇ!!

しかしうるせぇ!!

どこから湧き出てくるんだお前らは。



「はぁい!どこから来た?」


「見りゃわかんだろ!フランスだよ!!」


「ほっほっほ~!」


「どっか行けって・・・」


「俺、いいお土産屋さん知ってる!着いて来い!」


「いいってば・・・」


「これからどこ行く!?」


「明日アーグラ行くよ・・・」


「そっか!まぁとりあえず付いてきなよ!」

少しづつ覚え始めた英語が楽しいがためになんだかんだこいつといろいろ話しながら歩いていたら見たことある場所にたどり着いた・・・


「ここ俺の友達の旅行会社だから安心して!」

「・・・あのなぁ。昨日来たわ!!ボケ!死ね!」

気付けばいつもの旅行代理店の前に立っていた。

立ち止まってあーでもないこーでもないと話しているとインド人が集まってきてあっという間に囲まれた

なんだお前ら!?
また俺を騙す気か!?
あっちいけ!
しっしっ!!


するとその中の一人がおもむろに自分の股間を指差してこう言った。

「オイ日本人!俺のチ〇コはでかいぜ!」

なぜかインド人たちのチ〇コ自慢大会が始まった。


羽賀なんとかさんには負けるが、俺にだって詐欺師としてのプライドがある!!




ほぉ・・・




見せてみんかい!!こらぁ!!」




インド人を無理やり脱がそうとする俺。

さっきまで自慢していたチ〇コを必死で守ろうとするインド人。


へっ!

口ほどにもない!

どうだ!

俺のを見せてやろうか!!



やめろ!!

出すな!!



結局インド人5,6人に押さえつけられ日本から持ってきた自慢の土産は見せてやることができなかった。

変わりに日本から持ってきた飴玉をやったらさっきまで5、6人だったインド人が10人くらいに増えた。

今時、働き蟻でもそんなに増えないぞ。


そんなこんなでインド人のチ〇コ自慢に嫌気が差して、歩き出した俺たち。
(と、いうか俺が飽きてしまったため)


また新しく一人のインド人がついて来る。

相変わらず馴れ馴れしく話しかけてくる。

もういちいち書かなくても分かるだろう・・・

どこ行く?
俺は日本人の彼女がいる。
来年日本に行く。

だなんだとしつこく話しかけてくる。

「いい所に連れてってやる」

って言うから着いてきたら、なんだか豪華な土産物屋ではないか。

ちなみに言っておくが俺は学習能力がない(泣)

とりあえず中に入って物色したが・・・


たけぇ!!


めちゃくちゃたけぇ!!


日本で買えるわ。

ざけんな。

店を出てみるとそいつが待っていた。

そしてなにやら店員らしき人と仲良く話していた。



俺は思い立って、早速彼に聞いてみた。

「お前いくらもらえんだ?」

「・・・ははは。・・・10Rsです」

正直な奴だ・・・。



「お前正直でいいやつだなぁ!」

「デショ!?次の店案内するよ!」

「ふざけんな!!ばか!」

インドでは土産物屋、ホテル、旅行会社、案内すれば騙された観光客が買おうが買うまいが、連れて行ったやつが店から金がもらえるシステムになってるらしい。
これはある意味画期的なシステムだ。

誰もがその会社の営業マンになれる仕組み、給料は完全歩合制だがどこかの国の派遣村でやいのやいの騒いでるよりはよっぽどマシだろう。

彼らが日本人や観光客を見つけては馴れ馴れしく話しかけ、どこかへ連れて行き金をもらうという、素晴らしいシステムのおかげで旅行者達はいちいち腹の立つ毎日を過ごさなくてはならないのだ。


まったくよ~・・・


あれ!?

安藤先生!?


なんか顔色悪くない!?



「清水君・・・俺、疲れた。帰ろうよ・・・」


そういやそうだな!



そうしているうちにも横にいるインド人は一生懸命俺たちに話している。



「ねぇねぇ!マリファナもあるからさ!」






うるさーーーーーーい!!!

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第10話~インドの不思議

ところでみなさんお気づきでしょうか?

この画像を見て気になるところはないでしょうか?





$ガンジス川で潜水






牛の角を見てもらいたい。

左の牛君は短くてなんだか可哀相な所謂「短小包茎君」であります。
(おそらく童貞)


問題は右の牛だ!

よく見ると角が自分の頬に向かって生えてるではないか!!

牛の角がどのくらいのペースで生えるのかは俺にはよくわからないので、田中義剛にでも聞いてくれれば言いと思うが、このままの勢いで行くと、多分来年辺りには自分の角が自分の頬を突き破っているのではないだろうか。

謎は深まるばかりである。

これもインドの7不思議のひとつに伝道入りしておこう。

そんな彼「自爆君」は自分の角で死ぬなんて夢にも思っていないだろう。


まぁ結局のとこ「短小包茎君」と「自爆君」はこれからも仲良くやっていけばいいと思う!

勝手にしてくれ!



洒落たティータイムを終え(薄汚い道端で)俺達は一通りメインバザールを歩き回ることにした。

約2kmほどのバザールにはいろんな店が立ち並んでいた。

洋服屋、シルク屋、お香屋、レストラン、宝石屋・・・etc

もちろんお客さんのほとんどは・・・
















$ガンジス川で潜水



















牛だ・・・。



肌の色、服装、どこから見ても日本人、もしくは韓国人、もしくは中国人、もしくはイタリア人の俺たち。

10m置きにうさんくさいインド人に声をかけられるのである。

夕方の新宿歌舞伎町を歩く綺麗なお姉さんの気持ちがなんとなく分かる。

安藤は基本的に話しかけてくる彼らを無視する。

さすがである。



俺はと言うと・・・とにかく話したがりである。

英語で会話なんて、まるで自分がインテリになった気分でなんとも言えない鼻高々な気分を味わえるのだ。

まぁインドへ来てから学んだ英語で会話が成り立つわけもないんだが。


とにかく話せない英語で、明らかに俺たちを騙そうとしてるインド人と会話する俺。

「へい!どこから来た?」

「日本だよ」

「どこ行くんだ?」

「ただブラブラしてるだけだって」

「なんで!?」

「いや・・・なんでって言われても・・・」

「僕いいお店知ってるから行こうよ!」

「いいってば。ただブラブラしてんだから」

「なんで!?」




「だからなんでって聞くな!!答えられないだろうが!!」



「なんで!?」

「・・・ばいばい!」


最終的には俺が英語を話せないため、お詫びといっちゃなんだが逆ギレをプレゼントしてお別れをするのである。


今思えば全く英語の話せない俺がインドで少し話せるようになったのは、インド人のなれなれしさのおかげかもしれない。

感謝はしないが。


何人ものインド人を掻い潜り俺達は明日向かう「アーグラ」行きの鉄道のチケットを買うために駅へ向かった。

事前に調べた「インドの鉄道」とは、こういったものだ。

1:チケットを買おうと、2階にある「外国人専用窓口」に向かうと、どこからともなく現れるインド人に「今日は休みだ」と言われ足止めをくらい、いつもの旅行会社へ連れて行かれる。

2:インドの鉄道は時間通りに来ないことのほうが多い、12時間待ったあげくキャンセルになったりする場合もある。2時間3時間待つのは日常茶飯事。

3:寝台列車は寝ている間に物を盗まれる。ひどい時は着けている指輪を盗まれることもある。

4:2等自由席は乗車率400%


などなど・・・。

いい噂など全くない!!



かと言ってインドに来た以上俺達はいつまでもデリーにいるわけにはいかないのだ。

メインバザールを逆戻り、出るとすぐそこには「ニューデリー駅」がある。

駅の2階にある噂の「外国人専用窓口」に向かった。

(さぁ、どっからでも来やがれ!俺は騙されないぞ!!)

気合い十分俺達は駅に突入。

(よく考えたら鉄道のチケットを買うだけなのに気合いが必要なのかはインドの7不思議のひとつである・・・)

物凄い人ごみをすり抜けるように歩く。

インド人と目が合う。

(よし来い!!お前か!!お前が俺を騙そうとしてるのか!!?)


・・・違ったようだ。


看板どおりに階段を上る。


上から降りてくるインド人と目が合う。


(来たな!!「今日は窓口休みだ!」とか言いながら俺たちをいつもの旅行会社に連れて行くつもりだな!!?)





・・・違ったようだ。




「外国人専用窓口」に入る。



あれ??

着いちゃったよ!

すんなり着いちゃったよ!

さっきまでの気合を返せバカタレ!!



広いロビーに長いソファーがあり、そこに明らかインド人ではないだろう素敵なオーラを放つ外国人がたくさん座っていた。

彼らはどう見ても騙す側ではなく騙される側の人間だろう。


俺達はまず電車の時間を調べ申請書らしき書類に必要事項を書く。

もちろん全部英語だ・・・。


「安藤!!頼んだ!!わからない単語一個一個辞書引いてたら俺ここで干からびて死んでしまうわ!」

「OK!マカセトイテ!」

(え!?なんでカタコト!?)


そう言いながら一生懸命辞書を引く安藤先生には頭が上がりません。

実際書類関係の英語は専門用語が多いから聞いたことない英語がいっぱいでしたね。

「FUCK」もなければ「BITCH」もない。 

周りを見ると日本人なんだか韓国人なんだか分からない奴が多すぎて下手に話しかけられない空気をかもしだしているではないか・・・。


そんな中突然聞き覚えのあるなんとも懐かしい言葉が!!


俺はインドに来て人生初の逆ナンをされたのだった。



「あの~、鉄道のタイムテーブルってどこに売ってるか知ってますか?」



うわぁぁ~!!

久々に聞いた日本語!!(しかも女性バージョンというおまけ付)


これは逆ナン以外のなにものでもない!!

きっとこの人もインドのやかましさに疲れ俺に癒しを求めてきたんだろう。

日本では癒し系ならぬイヤラシイ系で有名な俺に声をかけるとはお目が高い!!

いやぁモテる男は辛い!!


「あ、1階の窓口に売ってましたよ!」

「あ、そうですか、ありがとうございます!」

「どっから来たんですか?」

「大阪と名古屋です!女二人寂しく・・・はい笑」

「へぇ~すごいっすね!女二人じゃ寂しいですね~!じゃあ立ち話もなんな・・・

「じゃあまた!!」

「ちょ・・・ちょっ!!」



・・・・・・。






「安藤!!てめぇいつまで辞書引いてんだこらぁぁぁぁ!!」



「え?」












$ガンジス川で潜水


















むかつく。

第9話~たらい回し

朝8時ごろ目が覚めた。

・・・暗い!!

なんでこんなに暗いのよ!?

そう。

窓がない。

このホテル窓がない。


わかりやすく言うとラブホである。


もしかしたら知らないうちに俺らラブホに泊まってたのかも知れない。

なるほど!

だからみんななかなか連れてきてくれなかったんだ!

んなわけねーだろ


なんだか朝なのに朝じゃない、インドなのにインドじゃない・・・好きだけど言えない!!

そんな複雑な気持ちで迎えた朝は清々しいものだった。


俺たち二人はさっそく町へ繰り出すことにした。


この間いろんな奴に「危ないから行くな」と言われたバザールへ行くことにした。

その名も「パハールガンジー」メインバザールだ。

なぜ行くなと言われたところに行こうと思ったかって?

だってどうせ嘘だもん!!

全部嘘だろどうせ!!




ふむふむ。


確かに人がわんさか賑わっているではないか。


うさんくさいインド人、ターバンインド人、サリーを着た美人インド人、観光客らしき欧米人、野良犬、物乞い、牛・・・





牛!?




まさか~。


牛が町中に、ましてや一番賑やかな日本で言ったら原宿渋谷みたいなところに牛がいるわけ・・・













$ガンジス川で潜水















あぶねぇって!!


つーか、近いって!!


なんちゅうとこに来ちまったんだと後悔する暇もなく、次から次へとうさんくさいインド人に絡まれる。


「コンニチハ~アニョハセヨ~」


日本人か韓国人かわからねぇなら話しかけんなボケ!!


「ホテル?レストラン?マリファナ?」


いや・・・マリファナ関係ねぇだろ・・・。


とにかくどいつもこいつもインディアン。

でもこの人たちの場合インディアン(嘘つき)


この町を何かに例えるなら「ちゃんこ鍋」だ。

元相撲取りが結局強くなれずに引退後、生活のために必死でもがいた挙句、なんとなく開いたちゃんこ屋の「ちゃんこ鍋」だ。


とにかく何もかもがゴッチャゴチャ・・・

ひとつの世界にたくさんの世界が共存しているように思えた。


まず「歩き方」で調べたインターネットCAFEらしき所に行ってみた。

今流行のネカフェである。

きっとネカフェ難民達がネットに明け暮れているに違いない!

メインの通りを一本横に入る。

軽自動車一台が山瀬まみの顔真似をしたらやっと通れるような細い道だ。


「お!あったぞ安藤!」


うん。


間違いなく「CAFE」ではない!!

なぜならウナギの寝床にパソコンを並べただけの店だからだ。


横一列に10人くらいが座ってパソコンをいじってる姿は世界一を誇る「IT大国インド」とは思えない、俺と木村拓哉くらいかけ離れていた。


店主は「店主」と言うよりも「パソコンいっぱい持ってる近所の兄ちゃん」でしかない。

よくよく考えてみたらネカフェ難民なんているわけがない。

ここに入れる時点でインドでは難民ではなく金持ちだ。

とりあえず自分のホームページを更新したりして過ごした。


店の横にはおっさんが「チャイ」を売っていた。













$ガンジス川で潜水


















「チャイ」とは甘ったるいミルクティーのことで、インド人はこの「チャイ」を朝昼晩としょっちゅう飲んでいる。

いろんなところでチャイを売っているが店によって味も作り方も全然違うらしい。

一杯5Rsだと言う。

俺達は10RS払い二人で洒落たティータイムを取ることにした。


うまい!!

これはうまい!!


二人で喜んだ。


ドンっ!!


いてッ!!
(誰だよ全く・・・)

後ろから右腕に重たい感触と痛みと怒りと部屋とワイシャツと私がこみ上げてきた。

ったくもう!!

俺は振り返った。















$ガンジス川で潜水





























お前かよ!!

どうりで痛いわけだよ!!



いや・・・そんなことより安藤さん。

さっきからずーっと俺の前で悲しそうな目で何かを訴えてる子供がいるんですけど・・・



少女はやはり泣きそうな顔をしてる(絶対演技!)

俺もやはり泣きそうな顔をしてる(素で)

でも、この子すんげぇ可愛い・・・


付き合いたい!


たぶん5歳くらいだろうから付き合うとかまだ早いかもしれないけど、手とか繋いでパキスタンとの紛争地帯を駆け抜けたい!!

と、野蛮な妄想を膨らましながら持っていたキャラメルを上げたら、さっきまでの顔はなんだったんだっつーの!くらいの笑顔で走り去って行った。


・・・。



でたー!!

増えてる!!

安藤!!

さっきより増えてる!!

つーか走り去って行ったのかと思ったら友達呼びに行っただけかよ!!


もう一人のチビにもキャラメルをあげ、インド旅行費用5万円の私はキャラメルで許してもらいましたとさ。


それにしてもインドの子供可愛い・・・




付き合いたい。