Lee "Scratch" Perry & Adrian Sherwood
「The Mighty Upsetter」On-U Sound 09
Exercising
International Broadcaster feat.Roots Manuva & L.S.K
Kilimanjaro
Rockhead
Lucy Charm
Political Confusion
Yellow Tongue feat. Samia Farah
Lees Garden
Everything Start From Scratch
God Smiled
Speak The Truth
Queen Elizabeths Pum Pum (Bonus Track for Japan)
世界に類を見ない異端パフォーマー/エンターテイナーとして
各ジャンルから熱烈な支持を得ているリー"スクラッチ”ペリー。
そして、ダブの可能性を常に広げ続けている
鬼才プロデューサー、エイドリアン・シャーウッド。
両者のコラボレーション作品としては87年の『Time Boom X De Devil Dead』、
90年の『From The Secret Laboratory』の2作品があるわけだが
(ペリーがゲスト参加したエイドリアン作品は除く)、
2008年にリリースされた『The Mighty Upsetter』は、
競演3作目にして最高の成果を上げた作品だった。
Lee "Scratch" Perry & Adrian Sherwood
「Dubsetter」On-U Sound 09
His Master's Voice
Wake Up Call
Lucky Tarzan
Pick 'n' Mix
Elixir Of Life
Yellow Fever
Taboo
Flush It
All Will Be Well In The Garden
Kingston Tower Japan Bonus Track
Brazilian Jungle
今作で最大のインパクトを持っていたのが、
ペリーがかつてプロデューサーとして作り上げた数々の名トラックを
現代のものとしてリメイクしていたこと。
過去のトラックのリメイクはジャマイカのダンスホール含めて
レゲエ・カルチャーのなかで常に行われてきたものだが、
エイドリアンはそれをイギリスに生きる白人プロデューサー
としての視点からアップデートしてみせた。
つまり、ダブ・ステップなどを含む現代のベース・ミュージックのひとつとして
ペリーの仕事を評価し直し、その現代性を浮き上がらせてみせたのである。
そして、そこに乗るペリーの呟き。
日本盤にはその日本語訳も掲載されているが、
イマジネーションに溢れたペリーの言葉は
時に大人げない悪ふざけに思えることもあるし、
バビロンに舌を出している風でもある。
デタラメのようでいて、難解な宇宙観が反映されてもいる
これらの言葉を聴き(読み)ながら、
「ここ20数年で最高のリー・ペリーのアルバム」
というエイドリアン自身の発言に僕は共感せざるを得なかったのである。
その『The Mighty Upsetter』のダブ・アルバム。
ただし、オリジナルの音源を解体・再構築していく
通常の「ダブ・アルバム」とは違うスタイルによって今作は制作されている。
例えば、この『Dubsetter』には『The Mighty Upsetter』で
クレジットされていないプレイヤーが数多く名を連ねている。
ブラジルのサンパウロとサルバドールで録音されたと思わしき
一部のパーカッション演奏は今回改めて追加収録されたものだし、
ダグ・ウィンビッシュ(タックヘッド~リヴィング・カラー)や
ベテラン・サックス・プレイヤーのデッドリー・ヘッドリーも
今回新たにクレジットされた。
いくつかの楽曲は原曲のリミックス・ヴァージョンと言える程度の
原型を留めているものの、数曲では大幅にパートを追加され、
ほぼ別ヴァージョンとも言うべき楽曲となっているのである。
そういった意味で今作は、
『The Mighty Upsetter』のなかにあったペリーとエイドリアンのバランスが
グッとエイドリアン寄りにしたアルバムとは言える。
だが、込められたエイドリアンの気迫、
そして、ふと現れるペリーの言葉。これらが生み出す緊迫感は、
『The Mighty Upsetter』とは異なるスリルを僕らに与えてくれるのである。
パンキッシュで時にメタリックな質感を持つ
ON-Uサウンドを毛嫌いするストリクトリーなレゲエ・ファンは決して少なくないが
その一部は『The Mighty Upsetter』を聴いてその思いを改めざるを得なかった。
この『Dubsetter』はそうしたリスナーをさらに虜にする力を秘めてもいるし、
より広範囲に届けられるべき創造力(想像力)、
アイデア、密度がここには詰まっている。
『Dubsetter』をただのダブ・アルバムと言うべきではない。
これは「もうひとつの『The Mighty Upsetter』」だ。
まだ手にしていないけど、
この2作品は買って損は無いと思います。
そんな話
LEE 'SCRATCH' PERRY AND DUB SYNDICATE
「TIME BOOM X DE DEVIL DEAD」 On-U Sound 1987
S.D.I.
Blinkers
Jungle
De Devil Dead
Music And Science Lovers
Kiss The Champion
Allergic To Lies
Time Conquer
*Jungle (Original 7" version)
*Jungle (Wall Of China)
*Jungle (Big Hot Plate)
*12. Jungle (Disco Plate)
*Music And Science (Lovers Rock)
*印 CDボーナス・トラック
ジャマイカとイギリスの二大鬼才のコラボレイトによって生まれた作品。
Adrian Sherwoodが主宰するOn-U Soundの中でも重要なポジションを占めていたのが、
このDub Syndicate。
Roots Radicsで名を馳せたドラマーStyle Scott率いるバンドのサウンドが最高。
オルタナティヴ・パンクの影もちらほら窺える異色作。