91. 終わりじゃない | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

4月21日。今日は約2週間ぶりの外出。

地震の後、太白区の大型ショッピングセンターばかりうろついていたが、

今日は久しぶりに、いつも行っていた激安スーパーを目指す事にする。

地震後その地域へ行くのは初めてだ。

その地域とは南仙台方面。

さあ、車で出発。

長町駅前を通過し、あすと長町方面へ。

そこでは広い範囲で工事が行われていた。

良く見ると、同じ形の白いプレハブが並んでいる。

『そういえば、ここも仮設住宅の建設地だったな。』

仮設住宅を見た友人が一言いう。

「今まで静かな所で生活していた人達が、急にこんな大通りの真横で

生活するようになったら、きっとうるさくて眠れないし大変だろうな。」

少し走ると、崩れた壁や塀の残骸、屋根をブルーシートで覆った家が見える。

それも1,2軒ではない。

普段行っていた激安スーパーに到着。

スーパーはやっていなかった。

ガラス越しの店内は真っ暗で、中の状態はわからない。

店の外側はところどころ壊れているようだ。

仕方なく、そのスーパーに近い 『ドン・キホーテ』 へ。

そこの店は開いていた。友人と共に店内へ。

店の入り口付近では、被災した商品が激安で売られている。

一通り物色してみた。

自分が購入したいと思うようなものは、被災した商品の中には見当たらな

かったが、ミニサイズのホッカイロが10個入りで50円だったので、購入

する。寒い時期にまた何かあれば役に立つだろう。

店内に入っていくと、滑り止めのマットが目についた。

震度6以上で毎回テレビ台から落下し、畳の上で突っ伏している自宅の

ブラウン管テレビを思い出し、購入する。

これで、多少は違うだろう。

更に店の奥へ進み、食品コーナーへ到着。

そこには、大量にレトルトカレーが積まれていた。

良く見ると、被災商品で、どれも箱が多少つぶれている。

中身は問題ない。

賞味期限を見ると一年近く大丈夫。

値段は一つ50円。買いだ。

自分の横にいた年配の女性が

「○○さんにも配るから。」 等と、横で見ている彼女の御主人らしき男性

に言い訳しながら、大量に買い物かごへ投入しつづける。

『すんません・・・もうちょっと寄ってもらえません?』

ど真ん中に陣取り、激安レトルトカレーをかごに投入し続ける御婦人に

苦戦しながら、自分もレトルトカレーをかごへ投入。

ふと見ると、そのエリアの横に、ワンランク高級なレトルトカレーが

80円弱で売られていた。

それも含めて、自分は全部で10個のレトルトカレーを購入する。

『地震対策、着々と進行中。』

会計を済ませて店を出る。

次はマックスバリュー郡山店へ行こう。

仙台バイパスを走る車の窓から、海の方向を眺めた。

自分の視界には、テレビで見るような酷い状況は入ってこない。

しかし、ここから数キロの地域には、まだまだ酷い光景が広がって

いるに違いない。

そう考えると、今はまだ海へ向かって車を走らせる勇気は出てこない。

あとどれくらい時間が流れたら、自分はその地域へ足を運ぶ勇気を

振り絞る事が出来るのだろうか。

自分が普段行き来する地域では既に、一見地震前とさほど変わらない

と思える情景が広がっている。

しかしそのすぐ隣では、まだまだ沢山の人達が苦しい状況に置かれ、

瓦礫の撤去もままならない状況におかれているのだ。

震災の復旧・復興は終わっていない。

もしかしたら、まだスタートラインにも立てていないかもしれない。

復旧・復興の本番は、まだまだこれからなのだ。

【補足】

先日友人がある方から言われた言葉を教えてくれました。

「津波の被災地の状況は、ちゃんと自分の目でみておいた方がいい。

テレビの画面を通して見るのとは、やはり違うから。今はまだ、ほとんど

復旧が進んでいない状況で、仙台東部道路を越えた途端、海が見える

状態 (遮る構造物が何もない) だから。」

確かに、このような大災害に見舞われた状況を、自分の目で見て、

しっかりと心にとどめておく事は必要だと感じています。

もう少し、自分に勇気があったなら・・・。

でも今はまだ、その地域に足を運ぶという気持ちにはなれません。

その気になれば、車でなら10分や20分程度で行ける距離なのに。

いつになるのか今はわかりませんが、津波に襲われた地域の状況を

その現実を、自分の目でしっかりと見ておくために、いつの日か行かな

ければと思っています。