48. 無駄なあがき | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

実家へ電話をかけた。

自分の実家は原発から300kmは離れている。

福島原発で起きた事の影響は、そこまで及ぶ可能性は少ないと考える。

電話には母が出た。

懸命に自分の波立つ心を鎮めながら話す。

「福島の原発が、もし本格的にまずい状態になるようなら、友人も含め

数人でそちらへ行く事を考えている。道路もまだどうなっているかわから

ないし、ガソリンもないから、辿り着くのは難しいかもしれないが、とにかく

そこを目指すから。」 と。

それを聞いた母は、言った。

「そんな深刻にならなくても大丈夫だから、とにかくあまり心配し過ぎると

かえって具合悪くなるからね。あまり心配しなくて大丈夫だよ。こっちに

来るなら来るで、何も心配ないからね。米もいっぱいあるから。」

涙声になりかけ、つまりそうになるのをぐっとこらえた。

勤めて平静を装う努力をしながら

「うん、わかった。とにかく、行く事になったらよろしく。」 と伝える。

母の声は明るく感じる。

本当に楽観視しているのか、それとも自分に心配させまいとしているのか。

自分の母の事だから、あながち前者も否定出来ない。

さて、今ある少ないガソリンでどうやって実家を目指せばいいのか。

途中でガソリンの補給は絶対必要になるだろう。

では、補給出来る場所があるのか?

思考はネガティブな方向へ、脇目もふらず全力疾走中。

とにかく、車内で何日も過ごすはめになる可能性も考えて、食糧の事を

考える。最悪、何かを腹に入れる事最優先で、味は二の次になるだろう。

やはり最後の切り札は砂糖かな。

今は、福島原発の動向を見守るしかない。