電気が復旧したおかげで、いろいろな情報が入るようになった。
テレビも見られるしパソコンでインターネットも見られる。
そこに映し出される映像は、どれも酷いもので。
東北地方を中心に太平洋沿岸はみな壊滅である。
自分は、今までの人生の約半分を仙台で過ごしてきた。
だから、それなりにいろいろな所にも行った。
いろいろな思い出も出来た。
友人と電車で松島へ行き、何処を見たら良いのかもわからずに、長い階段
を上って神社へ辿り着いた。そのまま階段の最上段に腰かけて松島の
景色をただボーっと眺めて帰った。
職場でいろいろあって自分が打ちのめされていた時、友人が松島の海岸
へ自分を連れて行った。堤防の上で、「大声で叫べ!」 って言われた。
躊躇している自分を見て、先に友人が大声で叫んでみせた。
何とさけんでいたかは忘れたけど。
その後自分も大声出した。濁点つきまくりの 「あーーーーーーー!」
あまりの声の大きさに、友人もちょっと驚いていたな。
季節はずれに七ヶ浜の海岸で、こっそり花火をしたことも。
勿論近所に迷惑がかからないように、手持ち花火だ。会話をするのも
こそこそと小さい声で。
夜友人とドライブで、仙台港へも行ったな。
ただボーっと真っ暗な海を眺めて帰った。落ちたら怖いなとか言いながら。
七ヶ浜では、波打ちぎわでお約束の遊びをした。
これが意外と楽しかったっけ。
他にも結構、海に行ってるんだな。
仙台空港のすぐ横で、飛行機の離着陸を日が暮れるまで眺めた。
車の中で、ケンタッキーのフライドチキンを食べながら。
三井アウトレットパーク仙台港にも数回行った。
一度来仙した母を連れて行った事も思い出される。
それらの場所はみな津波に襲われ、今は瓦礫で覆われているだろう。
この思い出のつまった場所に、自分は二度と行けない気がする。
本心から、行きたいと思える時は来るのだろうか。