41. 興奮の電気復旧 | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

夕方近くになって、玄関の電気がついた。

「おお~!!」 二人の声がはもる。

今日は平日月曜で、管理人も来ているだろうから、うまくいけば今日辺り

電気が復旧するかもしれないと思っていた。

それで、電気が復旧したらすぐわかるようにと、玄関の電気のスイッチを

ON” にしておいたのだ。

嬉しい!興奮する。

電気がついただけの事が、こんなにもエキサイティングだなんて。

部屋の電気をつけると、めちゃくちゃになった台所の全容が浮き彫りに

なった。でも・・・、それでも、明るい室内が嬉しくて、めちゃくちゃになって

いることなど、今は問題ではない。

テレビをつけてみた。ついた!

パソコンもつけてみた。ついた!!

地震の時、パソコンは起動させたままだった。その状態で停電になって

しまったため、少々心配していたのだ。

前進していた冷蔵庫も、元気そうでなによりだ。

家には、2ドアの一人暮らし用冷蔵庫があって、他に1台フリーザー

を物置に置いている。安い時の買いだめに最適なのだ。

そのフリーザーは地震以来開けていない。

凍ったものがある程度入っていれば、それが互いに冷やしあって

長くもつため、冷気を逃さないようにと開けないでおいたのだ。

今こそその扉を開ける時だ。

中は融けた霜のせいで、少々水びたしな感じだが、その霜は融けきって

いない。肉類も、ほとんど融けている感じだが、触るとしっかり冷たかった。

『うん、大丈夫。煮込んでしまえば問題ない・・・事にしておく。』

一応友人にも意見を求めたが、判断は任せると言われた。

『ならば、再び “問題ない・・・事にしておく。” 』

そうだ、今は食材などなかなか手に入らない。肉は特に貴重品だ。

そんな貴重品を、そう易々と捨てる訳にはいかないのだ。

今朝近所のスーパーで野菜を売っていた。

その野菜を買っている人もいた。

きっとその人達の家では、昨日の時点で電気がついていたのだろう。

自分も、今日電気が復旧するとわかっていたなら、野菜を買っていただろう。

しかし今更嘆いても仕方が無い。

冷蔵庫の中には避難所に提供を断られた白菜と長ネギがある。

実家から、いろいろ送ってもらった干物もある。

5年以上も前に、鍋でもやろう!と買ってはみたものの、ほとんど使った事

のないホットプレート(深型)もある。

いい感じだ。

電気様々だ。

久しぶりに 『炊飯器、出動!』

その日の夜は、家にあった食材をホットプレートにぶっ込んで適当に

煮た “鍋” と炊きたての “ごはん” を二人で食べたのだった。

久しぶりの満腹感は二人にささやかな幸福をもたらした。

そして幸福がもう一つ、今日からは水でいっぱいのバケツを両手に

階段を上らなくてもいいのだ。エレベーターが動くのだから。

電気、ありがとう。本当にありがとう。