38. ボランティアに感動? | 憂さ憂さうさぎ

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世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

ふと見ると、狭い道路の反対側に、避難所にいたボランティアの人達が

見える。

スーパーの行列の方を向いたまま3,4人で談笑していた。

少しして、その中の一人の男性がこちらにカメラを向けているのに気づく。

あの距離からだと、人物の特定も出来るような画像が撮れるだろう。

ずっと、カメラを向け続けているところをみると、ビデオなのか。

ボランティアが何のためにこの列に並ぶ人々を撮っているのか?

今はボランティアの最中じゃないから、関係ないとでも?

後に誰かに見せるのか?そして自慢でもするのか?

撮った映像を個人で楽しむのか?イイ趣味してるな?

映像をどこかに提供したり売ったりするのか?

自分の前に並んでいた男性も、

「何のために、こっちにカメラを向けているんだ。」

と、不快感を露にしている。

ボランティアの男性はカメラをかまえたまま、ゆっくりと列に向かってくる。

道路の中央をすぎ、かなり近くまで列によると、先頭からゆっくりと

後ろの方までカメラを向け、それを下ろした。満足したのだろう。

自分はカメラに気付いてすぐに、出来るだけ陰の方へ隠れた。

自分達は並びたくてここに並んでいる訳ではない。

ましてや、見世物になった覚えもないし、見世物扱いもごめんだ。

急に自分がとても惨めになった気がする。悲しい。腹立たしい。

この列に並んでいる人々はみな、生き抜くのに一生懸命なだけなのだ。

この時期に、避難所となっている小学校の体育館でボランティアをして

いるという事は、その小学校の教員か或いはこの地域の人なのだろう。

ならば、その男性も多少は被害にあったはずだ。

それなのに、列に並ぶ人達の了解も得ず勝手に撮影し、相手の心を

土足で踏みつけるような事をして平気でいるのだ。

その男性がもし教員だったなら、彼の教えを受ける生徒に同情する。

彼がボランティアをする理由はなんだ?

本当に誰かの力になりたいのなら、何故そんな事をする?

この地域の人間ならば、ここにいる人達の状況が理解出来るはずだ。

それとも彼は教員で、上から言われて仕方なくボランティアをしていたの

だろうか?

あまりに無神経な彼の行動に、別の意味で感動だ。