朝早いうちに目が覚めた。友人は眠っている。
思いの他床の固さが身体に伝わったらしく、腰や肩の骨が少々痛い。
ここ数日いつも着ている上着を今日もまた着る。友人はまだ寝ている。
『おーい。そろそろおきろー。』
昨日から常連となったヒップバッグを装着。
さっきまでくるまっていた布団の上にボスッと座り、友人を起こす。
友人が着替えている間、ボーっと座って待っていた。
着替え終わると、適当に布団を片付け、炊き出しへ出発。
避難所へ到着すると、炊き出しはまだ始まっていなかったが、人は
並んでいた。自分達もそろって並ぶ。
自分達の前に並んでいたご老人が話しかけてきた。
“ご老人”と言ってもまだしゃきっとした感じで、ここで “老人” という言葉
を使うのを迷うほどである。その方は80歳を過ぎているそうだが、とても
そんな感じには見えなかった。
そのご老人は、昔病院に勤めていた頃の事、その頃大きな地震にあった
時の事、この地域が昔はどんな感じだったのか等、いろいろな話をして
くれた。その目は昔を懐かしむようで。
途中、そのご老人の知り合いらしい男性が声をかけた。
その男性は、「大きな余震がくる可能性が高いから、まだまだ気をつけた
方がいいよ。」等といった話をしている。
自分達も一緒になって話を聞いていた。
話をしながら待っていると、炊き出しが始まった。
その日は、会釈をしてご老人とわかれた。
その日の炊き出しにも、豆腐が沢山入っていた。始めておにぎりももらう。
いつものように乾燥わかめを多めに入れて、少しでも腹を膨らませる。
全体的に量は少ないが、それでもないよりはずっと良い。
水飲み場で軽く器を洗い、まだ満たされない腹を抱えて、家へ戻る事に
する。