29. 今日のメニューは | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

お弁当屋へ到着し、店の奥へ声をかける。

「すみません。今日は何かありますか?」

すると奥からおくさんが出てきて、にこにこしながら、

「ああ、昨日はどうもねー。今日は肉団子あるよ。ソースとっても美味しく

出来たからね。」と言ってくれた。

パックの中を見ると、肉団子が思いの外たくさん入っている。

『二人で一パックでも足りるかな?』 一瞬迷ったが、食べられる時に

食べておこうと二パックお願いした。

値段は昨日と同じ。得した気分だ。

温かい肉団子を手に二人はご機嫌で車へ。

『昨日といい今日といい、自分達はなんてついているんだろう。』

この震災の最中、二日連続でこんな美味いものを食べているのは、

きっと自分達くらいじゃないだろうか。

昨日と同様、最後はソースを舐める勢いで口に流し込んだ。

今日の至福の時間も終わってしまった。

何故か急に近所のスーパーが気になり、「一応見にいってみよう。」

と言って、二人で歩きだす。

途中の焼き鳥屋には昨日と同じくらい行列が出来ていた。

その横を、美味い肉団子を食べて満足の自分達は素通りしていく。

スーパーの前から、焼き鳥屋のそれよりも長い行列が出来ていた。

とりあえず並んでみる。今は少しでも腹の足しになる食糧がほしい。

友人と交代で偵察に行く。

店の前には商品の入った買い物かごや段ボールが並んでいた。

ほとんどが飲料やお菓子で、野菜や雑貨の類も少し並んでいる。

パン等の主食的なものは見当たらなかった。

どうやら、ぐちゃぐちゃになってしまった店の中から、売り物に出来そう

な物だけを運び出して並べているのだ。

並んでいるものを見ていると、これから先の食糧事情が心配だ。