お弁当屋へ到着し、店の奥へ声をかける。
「すみません。今日は何かありますか?」
すると奥からおくさんが出てきて、にこにこしながら、
「ああ、昨日はどうもねー。今日は肉団子あるよ。ソースとっても美味しく
出来たからね。」と言ってくれた。
パックの中を見ると、肉団子が思いの外たくさん入っている。
『二人で一パックでも足りるかな?』 一瞬迷ったが、食べられる時に
食べておこうと二パックお願いした。
値段は昨日と同じ。得した気分だ。
温かい肉団子を手に二人はご機嫌で車へ。
『昨日といい今日といい、自分達はなんてついているんだろう。』
この震災の最中、二日連続でこんな美味いものを食べているのは、
きっと自分達くらいじゃないだろうか。
昨日と同様、最後はソースを舐める勢いで口に流し込んだ。
今日の至福の時間も終わってしまった。
何故か急に近所のスーパーが気になり、「一応見にいってみよう。」
と言って、二人で歩きだす。
途中の焼き鳥屋には昨日と同じくらい行列が出来ていた。
その横を、美味い肉団子を食べて満足の自分達は素通りしていく。
スーパーの前から、焼き鳥屋のそれよりも長い行列が出来ていた。
とりあえず並んでみる。今は少しでも腹の足しになる食糧がほしい。
友人と交代で偵察に行く。
店の前には商品の入った買い物かごや段ボールが並んでいた。
ほとんどが飲料やお菓子で、野菜や雑貨の類も少し並んでいる。
パン等の主食的なものは見当たらなかった。
どうやら、ぐちゃぐちゃになってしまった店の中から、売り物に出来そう
な物だけを運び出して並べているのだ。
並んでいるものを見ていると、これから先の食糧事情が心配だ。