21. 我が家が遠い | 憂さ憂さうさぎ

憂さ憂さうさぎ

世の中は憂さだらけ!
はき出す場所のない憂さを、ここで晴らしてみましょうか。

水で満たされたバケツを両手に階段を上り始める。

友人が運んでいるポリタンクは20リットル以上入るそうで、さすがに辛そうだ。

二度目の踊り場を見た時点で既に息はあがっていた。

バケツの持ち手が指の付け根に食い込む。腕の筋がピキピキする。

肩が痛い、腰が痛い、指が痛い。我慢出来ずに一旦休憩。

先が思いやられる。我が家への道のりがいつもよりやけに遠い。


まだ息が整わないまま、再度登り始める。

もう少し、あと少し。

やっとのことで玄関前に到着。

自分の手にくっきりと、持ち手で圧迫した肉の形を残して、一旦バケツは

離れて行った。


当面の生活用水確保のために、「あと2往復しようか。」 と言う友人。

自分は考えるのをやめた。


この後二人は、普段より遥かに遠い道のりを、全身で味わった。