1年生になると幼稚園・保育園のときよりほめることが減る | 誰もが違うということを前提とした教育にしていこう!

誰もが違うということを前提とした教育にしていこう!

主に特別支援教育、インクルーシブ教育、ASD、ADHD、LD等について書いていましたが、社会全体が大きく変わってきており、特定した話だけでは答えのない答えを導き出せない時代がやってきたと感じています。そのため何でも思いつくままに書いています。

親野智可等先生が私達にすばらしい苦言を下さっています。以下、読んでみてください。

あるとき、1年生の親たちの懇談会でこういう話題が出ました。子どもが幼稚園・保育園のときはいろいろなことでたくさんほめていたのに、1年生になったころからほめられなくなったというのです。


みなさんはそうなっていませんか?


これは、1年生になると勉強でも運動や生活習慣でも、
親が「○○をやらせなくては・・・」「□□をできるようにさせなくては」と思うことが増えるからだと思います。


親の頭の中で、やらせたいことが次から次へと増殖して、子どもへの要求もどんどん増えます。
すると、子どものできないことばかりが目立つようになり、叱ることが増えます。


そして、自分の価値観という色眼鏡を通してしか子どもを見なくなるので、子ども自身が好きでよくやっていること・熱中していることには価値を見いだせなくなってきます。


●親たちは、子ども自身が好きでよくやっていることをほめられない


実際に、次のようなことに熱中している子どもがいたのですが、どの親もそれをほめることはありませんでした。中には、ほめられるどころか叱られた子もいます。


絵を描くのが好きで夢中で描いている。
ダンゴムシが大好きでたくさん飼っている。
イラスト入りの地図を作るのに熱中している。
紙に迷路を描くのが得意でいつも描いている。
ミミズを飼うのが大好きで、いつも土を掘っている。
ゴミを集めてテープや紐でくっつけ、オブジェ?を作るのに熱中している。
某アニメが大好きで、登場人物の特徴にも精通している。


こういう例はたくさんあります。というのも、だいたいにおいて子どもが熱中することは、親の色眼鏡を通せばくだらないことだからです。


でも、これはあまりにももったいないことです。
子どもがせっかくやる気になってがんばっていることをほめないのですから。


●子ども自身が好きでよくやっていることをほめると、いいことがいっぱい起きる


もし、ここで親がほめることができればいいことがいっぱい起きます。


子どもは1つのことでほめられると自信がつきます。すると、他のこともできそうな気がしてきてがんばるエネルギーがわいてきます。もちろん、勉強にもいい影響が出ます。


また、ほめられることで、子どもは親の愛情を実感することができます。お父さん・お母さんは自分のことを大切に思ってくれている、と感じることができるのです。すると、お父さん・お母さんの言うことを素直に聞けるようになります。


親の愛情を実感できると、心が満たされるので、きょうだいや友達にも優しく接することができるようになります。


●もっと深められるよう応援してあげよう


さらに、子どもが熱中していることをほめるだけでなく、それがもっと深められるように応援してあげてほしいと思います。


図鑑を買ってあげるとか、親も一緒に取り組むとか、それに関した体験ができるところに連れて行ってあげるなどです。


親が応援してあげると、子どもはそれが「誰よりも得意」と言える状態になることができます。これは、子どもにとって大きな自信になります。


親の応援がないと、他の子よりちょっと得意で終わってしまいます。
もったいないですね。


そして、楽しみながら夢中になって頭を使っているときに、思考力、理解力、記憶力、創造力、集中力などの“勉強”にとって大切な能力もぐんぐん身につきます。


つまり、地頭がよくなるということであり、コンピューターで言えばハードの性能が上がるということです。


もちろん、子どもですから途中で飽きて、興味が別のことに移ってしまうこともあります。そうなったら、今度はそれを応援してあげてください。それまでのことも無駄ではなく、全てその子の中で栄養になっていきます。


●自己実現力は子どものころから育てよう


このように本人がやりたいことを応援してあげていると、子どもは自分がやりたいことをどんどんやっていくことの楽しさを味わいます。そして、自分でやりたいことを見つけてやっていくマインドと能力が身につきます。


これは、つまり、夢・目標・課題を自分で見つけて実現していく能力です。ひと言で言うと自己実現力です。


これは、人間が自分の人生を生きていく上で必要不可欠な能力です。


いつも親のやらせたいことばかりをやらせていると、この自己実現力が身につかなくなります。
自己実現力がないと次のようなことになります。


自分で夢や目標を決めてがんばることができない。
自分は何をしたいのかわからない。
生きる意味が見つけられない。
言われたことはやるけど、自分からやりたいことが見つけられない。
言われたことしかできない。指示されないと動けない。


子どものころからさんざん親のやらせたいことばかりやらせておいて、大人になってから「さあ、あなたは何をやりたいの? 自分で見つけなさい」と言っても無理です。
親野智可等 連載コラム「ママも小学校1年生」