正一位狐国稲荷神社 9話 狐の月光と人間の貴族の間に生まれた「かぐや姫」・新竹取物語 伏見稲荷大社の物語 98話

 向日神社建立の責任者で従三位動物愛護大臣藤原信照は正一位狐国稲荷神社の女王で祈祷師の卑弥呼の妹の月光を愛妾(6話)にして京の都の三条に屋敷を建てて囲っていたが、その月光が信照の子を宿っていた。それを聞いた信照は多いに喜んではいたが、その生まれてくる子供の姿は果たして月光似、つまり狐か?それとも信照似、つまり人間かは誰も予想は出来なかった。そもそも、人間と女狐との間に恋愛感情が生まれたとしても狐が人間の子供を宿るというのは前列がなかった。

 そこで信照はやはり月光のお産は月光の実家の正一位狐国稲荷神社が良いだろうと月光の姉でもある卑弥呼にお願いしていた。この実家といってもこの狐の棲家は地下の真っ暗な穴になるが、月光の産んだ子供が狐ならこの地下で他の狐のように育てられるが、もし、人間を産んだならこの地下では育てられない。それは人間の赤ん坊は成長が早くて大きくなるので穴からは出られなくなる心配があった。

 取り敢えずはお産は向日神社の地下にある稲荷神社ですることとなった。やがて月光はまるまる太った人間の女の子を産んだが、狐の産婆はどこかに狐の印、つまり尻尾がないか?耳はと探した。これはどこにも狐の印はなくすべて人間だったが一つだけ気になることがあった。

 それはこの月光の父母はギンギツネだが、この血を受け継いたのか?産まれた赤ちゃんの背中にはピカピカ光る銀色のうぶ毛がびっしり生えていてそれが薄暗い部屋の中でも光輝いていた。

 これを見た月光は思わず、
「まあ~綺麗で可愛い~この信照さまの姫の名前は銀色に光輝く「かぐや姫」と命名いたします」
 このかぐや姫誕生はすぐさま信照の耳に入りすぐに朝廷へ姫誕生の届けを提出していた。これは高級貴族の藤原氏、橘氏(嵯峨天皇皇后)などの特権で正妻には夫の官位の一つ下の官位、その子供が18歳になれば正妻、愛妾の子の区別はなく二つ下の官位が与えられていた。
 つまり、この月光の産んだかぐや姫は藤原氏で信照が従三位だから従四位の高級貴族になり年に現在の価値で約8000万~1億円程度の官位米が支給される。(この金で格式ある高級貴族の教養、衣装費用、また屋敷の維持費や主を世話する侍女、下女、下男の給金。さらに屋敷を守る私兵まで雇わなくてはならないので金には苦労はしていたが、ここに貴族の特権で朝廷に出入りしている商人との癒着で賄賂政治が横行していた)

 このかぐや姫は人間の為にすぐに穴から出して人間の手で育てなくてはならないが、月光の屋敷は月光を世話する侍女もすべて狐のためにかぐや姫を月光の屋敷で育てることは不可能になる。そこで信照は卑弥呼にどうすれば良いのかを祈祷で占ってもらうことになった。

 卑弥呼は早速我が姪のかぐや姫が育つ場所を卑弥呼得意の亀卜占いをしていた。亀卜占いは護摩木で亀の腹の甲羅を焼いてその甲羅が割れるボクボクという音と割れた模様で吉兆を占うが、卑弥呼の占いの結果は、
「この向日丘陵の北の西ノ岡に桓武天皇皇后の高畠陵があるが、その御陵を守る墓守にかぐや姫の育児を託せと出ました」

 卑弥呼が占いで選んだ墓守は竹取の老夫婦でもう70代で妻と二人で朝廷から委託を受けて墓守をしている。この皇后の墓は直径約65メートル、高さ約7メートルの円形で竹の垣根で周囲とは遮断されているが、この御陵は真竹に囲まれているために竹の地下茎が御陵に侵入して放って置けば約3年でこの御陵を竹林が占有してしまうために地下から出てきた竹の子とその地下茎が皇后の墓所に侵入しないように茎を取るのが仕事なので竹取と呼ばれていた。

 このかぐや姫が生まれたということと卑弥呼のお告げてかぐや姫は竹取に育てられるという事まですべて信照に知らされていた。そして信照は貴族の女性の官女、侍女の中からかぐや姫に乳を与える乳母を探していた。さらにかぐや姫の産着から寝具までと乳母と侍女3人を御所車に詰め込んで深夜であったが皇后の墓守の小屋まで運んでいた。

 この墓守の小屋は小屋であって部屋も二部屋しかなく従四位藤原かぐや姫の住まいとしては耐え難いと信照は思い御陵の西側の竹藪を伐採してかぐや姫に相応しい西ノ岡屋敷を一ヶ月以内に作れと宮大工の棟梁に頭を下げるが、この棟梁は向日神社の建立した棟梁でこの信照とは親しく信照の願いを二つ返事で引き受けていた。

 この乙訓地域では生まれた赤ちゃんを河川敷や竹藪に一度捨てて赤ちゃんが腹を空かして泣くのを聞いた人が持ち帰り育てれば元気な子供に育つという風習があった。そこで月光が生まれたてのかぐや姫を抱いて竹取の小屋の近くの竹藪にかぐや姫を捨てていた。そしてその泣き声を聞いた竹取夫婦が見つけてこの夫婦が育てるという儀式は無事に終わっていた。

 そして一ヶ月後には檜の香りの豪華な西ノ岡屋敷が出来ていた。この屋敷の主人は建前上は竹取でこの夫婦の着る着物も屋敷に相応しい絹の着物ばかりか毎日3食の食事もかぐや姫の侍女10人が作るのでかなり太り貫禄も付いてきたので爺のことを竹取翁(たけとりのおきな)と呼ばれれるようになっていた。
 そのかぐや姫は狐の血をひいているのか成長が人間の5倍ほどのスピードで生まれて3ヶ月で歩いていた。そして3歳ではもう生理が始まり人間で言えば15歳ぐらいの姫に成長したが、その姿は生まれたときと同じように光輝き色白で人間とは思えない可愛さと愛くるしい笑顔は毎日世話をしている侍女でさえ胸が締め付けられるほど魅力のある姫に成長していた。

 そのかぐや姫の噂は朝廷の高級貴族にまで知れ渡りこのかぐや姫を一目見ようと連日西ノ岡屋敷の前には貴族の行列が出来ていた、その貴族の対応にはこの屋敷の主人である竹取翁が対応していた。
 つまり、貴族たちがかぐや姫を一目見ようとすればこの竹取翁を買収しなければならない。最初はこの買収額は銀1枚程度だったが、この銀を貰った竹取翁はかぐや姫が高級貴族の教養として読み書きや和歌、琴や龍笛などの勉強をその道の学者や専門家に指導されていた。その部屋の前の中庭へ案内してほんの数秒間だけ貴族にかぐや姫の姿を見せていた。その買収額も一目銀10枚と跳ね上がっていた。

 その光輝くかぐや姫を見た貴族はどの貴族も胸が締め付けられる程一目惚れをしていた。だが、かぐや姫の父親は従三位の超高級貴族でこれより官位が下の貴族にはかぐや姫を嫁にくれという話も出来ない階級社会だった、そうなると可能性があるのは従三位の同等かそれより上の官位の超高級貴族になるが、かぐや姫はその父の信照からの超高級貴族からの見合いの話をことごとく断っていた。

 かぐや姫の母の月光は月に一度は西ノ岡屋敷まで御所車に揺られて可愛い娘に会いに来ていたが、かぐや姫の母としてかぐや姫の出世の秘密を話す機会を探っていたが、かぐや姫の方から話を持ち出して来た、かぐや姫は、
「私はまだ生まれて3年ほどだが、他の人とは成長が5倍ほど早いのは?と聞いてきた」
 月光は今がチャンスだと実は私は狐で信照さまの前や人間の前では人間に化けている。そしてかぐや姫も狐の血をひいているので1年で人間の4~5倍の年をとります。だから3歳のかぐや姫はもう人間の15歳ほどに成長しているのです。

 これを聞いたかぐや姫はさほど驚かず、これは私も薄々知っていましたというので月光は少しは安心していた。さらに月光は私も狐年の3歳で信照さまの愛妾になりもう5年です。つまり、狐の平均年齢は約10年ですから私は狐年ではもう老婆になりますが、なんとか信照さまの前では若く化けてはいますがもう限界で私は信照さまとお別れして実家の正一位狐国稲荷神社へ戻ります。

 この話を母親から聞いたかぐや姫は、
私も母のように人間の5倍年を取るのなら人間とは結婚出来ないと嫁にほしいという超貴族との婚礼の話をすべて断っていた理由がここにあった。
 それから半年ぼど経ったある日、従二位攘夷大将軍坂上田村麻呂が嵯峨天皇が母親の陵墓にお参りに来るというので警備の下調べで高畠陵を視察しに来た。その田村麻呂がふと馬の上から墳墓の上部を見るとそこには竹の子が数本生えていた。これにびっくりした田村麻呂は皇后が眠る陵墓の石棺を見るとその石棺には竹の茎が絡まっていた。

 これに激怒した田村麻呂は墓守で竹取夫婦を手打ちすると二人を並ばしたが、部下の武将がここは聖地ですからと諌めた。すると田村麻呂はこの夫婦を佐渡島に島流しの刑に処すると命令した。夫婦は仕方なく旅支度をして西ノ岡屋敷を出ようとしたが、田村麻呂に呼び止められて背中の竹の籠を見せろと言われて見せるが、そこには高級貴族からかぐや姫を見せるための賄賂の銀が約300枚入っていたが、当然ながら全額没収されて田村麻呂の臨時収入になっていた。

 田村麻呂は嵯峨天皇の休憩場所に西ノ岡屋敷を借りたいと申し入れ屋敷の中に入ったが、そこにいたのはかぐや姫で田村麻呂も一目見ただけで胸がキュンとなるほど光輝く美女が田村麻呂に丁寧に頭を下げて挨拶している。そして田村麻呂は、
「姫が宮廷の若い貴族が噂しているかぐや姫か?」
「はい、私は従三位動物大臣藤原信照の娘でかぐや姫と申します」
「そかそか、なんていうか…嵯峨天皇の好みの姫になるのであの天皇はかぐや姫を見てすぐに持ち帰ると言いますのでそこは心してお待ち下さい」

 この田村麻呂のいう意味は嵯峨天皇の愛妾に選ばれるということでこの時代の女性ではシンデレラ以上に名誉なことでかぐや姫お付きの侍女たちもおめでとうございますと姫を祝福していた。
 これを聞いたかぐや姫はすぐに母の月光を訪ねて正一位狐国稲荷神社へと向かった。月光と叔母の卑弥呼は人間に化けて向日神社の部屋を借りて相談していた。かぐや姫は、
「私が狐の血をひいて成長が人間の5倍なんていうのは誰も信じませんし、私はそんな人間の天皇だとしても抱かれるのは嫌です」
「てもね~この国で天皇に逆らうことは処刑されると同じ意味になります」
「それでも嫌です」
 そこで卑弥呼が、
「それならかぐや姫は元々月からの使者で任務が終わったので月に帰ったというのも少々嘘っぽいからダメよね?」
 そこで月光が、
「それなら私が信照さまからお暇をもらったようにかぐや姫は狐なのである日突然満月の夜に狐に先祖返りして狐の姿に戻って今は狐国稲荷神社にいますといえばいくら天皇でも狐の穴を掘ってかぐや姫を探すことはないと思うが…」

 これに一同賛同して月光がこのことを手紙に書いて信照に送ると信照はこのことを知っているので田村麻呂に丁寧に説明してなんとか了解を得ていた。
                         (おわり)

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