沖縄戦を乗り越えて3 | 色即是空。虚構による化身でしかないのなら、せめて今を楽しくEnjoy your life

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たとえ明日が見えて来なくても歩いて行きます。どこまでも。

「結局、それはお前なんか防空壕に入れて助けてやるものか。助かるのは自分だけでいいんだ。という気持ちが、その先生にはあったということですか?」

 

Y「そうです。戦争というものは人を変えるんです。先生も何もあったものじゃない。人間そのものを変えてしまうんです。人が人でなくなる。

 

ただ私が今まで見てきた中でこれだけは言えることです。

 

母親だけはどんな時であろうがどんな事が起ころうが自分の子供を守るということです。」

 

「と言いますと?」

 

Y「ある時、空襲警報が鳴っていたので、私は急いで防空壕の中に身を寄せようとしたんです。

 

その時、あまり遠くない距離に女性が横たわっていました。

 

よく見ると、もがき苦しんでいるではありませんか。

 

最初見た時は死んでいる。手遅れかもしれないと思いました。でも違ったんです。

 

まだ遅くない。助かるかもしれない。私はその女性を防空壕に入れようとしたんです。

 

私はその女性の手を引いて一緒に防空壕の中へと入ろうとしました。

 

そしたら、その女性の体の下に2人の子供が横たわっているではありませんか。

 

私はびっくりして子供達も助けなければと思い、子供達も一緒に助けようとすると

 

母親が渾身の力を込めて私の袖を強くグイッと掴むと私へ向けて呟いたんです。{子供達を頼みます。}と・・・

 

よく見るとその女性の背中は弾にあたり、もうすでに虫の息になっていました。

 

あれが女性の最後の言葉となりました。

 

女性はその場で言葉を発した後、力尽きて2度と目覚めることはありませんでした。

 

女性は自分の子供2人を必死に守るため自分が壁になっていたんです。

 

あの光景は今でも鮮明に覚えていますし忘れることはありません。

 

自分が盾になり子供を助けた母親の姿を戦場の真っただ中で見たときに

 

あれが本当の母親の姿なんだと・・・

 

今は子供が憎くて虐待に走る親がいますが、それはこのあらゆるものが簡単に手に入ってしまう飽食の時代に生きている事が

 

原因の一つにあるのではないかと私は思っています。

 

欲を無くし、自分が無となった時に本当に大切なものは何であるか?が見えてくるのではないでしょうか。

 

あの出来事は私にとってとても忘れられないものとなりました。」

つづく

 

 

 

 

岡崎 接骨院