こちらも長文になったので分けます。
まずはアワセについて
タコ釣りのアワセのセオリー
しっかり抱かせてアワセる。
基本かつ非常に大切な動作です。
でも・・・
しっかりってどれぐらい?
しっかりを数値化するのは難しいので私が一番確実だと思っている動作で表現すると
ロッドを聞き上げた際に重さを感じつつ浮きあがる状態。
と認識しています。
ストラクチャーまわりやガリガリ場でこれを確認しようとしてもタコが石に張り付いて動かないこともありますので毎回やるのは難しい。。。
なのでレクチャーではタコの乗りを察知して∔5秒~10秒程度小突いてからアワセる。
というような内容が多いと思います。
そこまでは良いのですが、アワセた後はどの位置からどの位置まで竿を持ち上げればよいのか?またその速度は?
これについては人によってマチマチで、乗船した際の他のお客さんの動作やタコ釣り動画を見ていてもかなり個人差があります。
私の場合、初めにバットの傾き基準で8時方向に向け、あと一巻きで🐙が浮きあがるという状態(ロッドが最大限曲がり込む状態)までラインを巻き取ります。
船は波で上下に揺れていますので、船が最も沈み込んだ状態でこの状態になるようタイミングを計ります。
ここまでが準備段階
そしてアワセ開始
アワセ開始は9時過ぎ方向まで鋭く、この辺からタコの重量を感じられるのでその後11時方向まで振りぬくという動作を基本としています。
黄色のエリアで掛けて緑のエリアで深く差すというイメージです。
11時方向までロッドを振りぬく理由は以下の2点です。
・🐙を確実に底から引き離す
・🐙の身により深く針掛かりさせる
11時方向までロッドを降りぬいてからリールを巻きます。
アワセた際、🐙がエギの頭方向を向いて覆いかぶさるよう抱いていれば針が口まわりに掛かります。また、針が刺さる本数も増え、深く刺さることによりバラしのリスクが大幅に減少します。口まわりに複数本の針が刺さっていれば途中で緩めない限り、巻き取りを止めても早々バレません。
※二本竿で対処している時に実証済みです
アワセる際のロッドの振り抜き方向については基本的に上記図の赤色線(垂直方向)。
これは合わせた際にエギを垂直方向に移動させることで針先を天方向へ向けて針掛かりさせるためです。
しっかり抱かせていればタコの口まわりに深く針が刺さります。
理想は持ち位置基準でボトムとラインの角度が90°、ラインが左右方向へ振れている時も持ち手とボトムとラインの角度は60°以上~90°未満です。この範囲であれば上記図の許容範囲内に振り抜くことでタコをしっかり掛けられます。
乗りを察知した際にラインが黄色線もしくは青色線と横方向にラインが傾いている場合はまず自分の立ち位置を回転させて竿先位置とロッドが極力赤色線に近づくように調整してください。
赤色線に近づくほどアワセた際にロッドへ力を伝達しやすくなって腕への負荷が軽くなります。
ただし、竿先が隣の方のテリトリーに入らないことが絶対条件です。
隣の方の邪魔にならない範囲で調整してください。
調整しても自分の正面方向にライン角度を変えることが困難な場合は斜め方向へのアワセを視野にいれる必要があります。
アワセ時に横方向(NG範囲)にアワセをいれるとエギが横方向へ移動します。
そうなると針も斜めから横方向へ刺さるため身と針先の距離が短くなってしまい、外れやすいかつ身切れしやすくなります。
キャスト時などはどうしてもライン角度60°未満になることが多く、持ち上げ幅を確保することが難しくなります。
その時は持ち上げ時に巻きアワセを加えることで深く針掛かりさせやすくなります。
アワセるときはロッドで天高く持ち上げるイメージでアワセるとコツをつかみやすいかと思います。
数あるyoutube動画の中で理想的なフォームのアワセを体現されている方がいらっしゃいました。
それは・・・
シマノのフィールドテスター 吉田昇平さんです。
アワセだけでなく、誘いから取り込みまで一切の無駄がありません。間違いなく船タコ釣り最高峰の技術を持った方だと思っています。
ご自身のyoutubeチャンネルでタコの水中動画も公開されていますので吉田さんの動画は全部見ておくことをお勧めします。
あと、2022年秋ごろに同乗された方の釣りを見ていて気になったことがあったので空アワセについて私見を書いていきます。
その方はテンヤスミイカ釣りのシャクリの要領で乗っていようがいまいが時間でアワセて掛けにいく動作
いわゆる「空アワセ」を一生懸命やり続けていました。
その日はタコの活性が高い訳でもなく、魅せる誘いの効果もそこまで高くなかったためそれでタコが掛かることもなく、最終的に2,3杯の釣果で終了していました。
※2023年にも同様の釣り方をしている方を二人見かけましたがいずれも爆死されていました。
マダコに近い生物で空アワセが有効な釣りはスミイカ、イイダコ釣りです。
その理由はスミイカ、イイダコともにビビりだということ。
両者の水中動画を見てもわかる通り、マダコ同様に好奇心はあっても警戒心も同様に高いのでスッテなりテンヤに抱き着いたとしてもおかしな動作をするとすぐに離してしまいます。
そのため、乗りを察知するために聞き上げたことでスッテなりテンヤを離してしまうこともあります。
そんな状況のときに空アワセすることで掛けられる数が増える。
ということからスミイカ、イイダコ釣りにおいては「空アワセは有効」と考えることが出来ます。
一方マダコの場合は水中動画、飼育動画を見ていると、抱きついて離れてまた抱きついてという行動を取るケースは少なく、
即座に抱きつく、腕で触りながら近づいて抱きつく、とご機嫌によって時間差はあっても、
一度抱き着いてしまえば飽きるまでエギを離さない。
ただ、飽きてしまえばすぐにエギを離してその後は見向きもしない、ガン無視!と言う感じです。
実際に釣りをしていても抱きついた後に離されたのは過去に1度だけです。
足先に掛かれば身切れのリスクが上がる、掛かった針の本数が少なければ猶更です。
従って、乗りを察知せずに抱きが浅いまま空アワセで掛かったとしてもバラすリスクが格段に上がります。
魅せる誘いが有効かつ活性も高くて抱き込むのが早ければ空アワセを連発して何とかなることがあるかもしれませんが、通年で通用する釣り方ではありません。
ブログなり動画なりで「空アワセが有効」と謳われている方もいるようです。
しかし、「空アワセ」の定義を明確にせず、どのようなシーンで有効なのかということを謡っていない以上、読み手によって解釈の仕方に違いが出てしまいます。
①手に重さを感じた。タコかどうかわからないけど思い切りアワセる。
②仕掛けを落として10秒経った。重く無いけど思い切りアワセる。
どちらも一言で言うと空アワセなんですよね。
どちらが正解なんでしょう?
①については乗りも何もわからない初心者にとりあえず🐙を釣らせるための苦肉の策でそうレクチャーしているという話を聞いたことがあります。
そういった意図であれば致し方ないと思える部分もあります。
②は前述したとおり論外です。
更に選択肢が増えると間違いに気付けない、何が正解だったか分からないまま一日が終わってしまいそうです。
私が書いた「魅せる誘い」は「空アワセ」とは異なります。
エギを跳ね上げてそのまま掛けに行くという動作は一切行っていません。
あくまでエギを跳ね上げるだけです。
では魅せる誘いを行った際にタイミングよくタコが乗ってきたらどうするか。
過去に幾度もそのような事例がありました。
その時の対処法は以下の通りです。
エギを跳ね上げるだけの力でロッドを跳ね上げた場合、タコが持ち上がる程の力はありません。
従って、跳ね上げた瞬間に竿先がガツンと止まります。
チビダコだと若干浮いてしまうこともありますが大抵止まります。
竿先が止まった後、小突いてタコどうかを判別し、タコと判断してから8時→11時までアワセきる。
不意の出来事に焦る必要はありません。
これでガッツリ掛けることが出来ます。
魅せる誘い?
それって空アワセと一緒でしょ?
と解釈されると極めて不本意なので少々くどく書きました。
アワセの成否は減点法です。アワセをミスればバラシに繋がり、バラシた数に比例して持ち帰れる🐙も減っていきます。
一杯でも多く釣りたい方はぜひ頭の片隅に入れておいて頂ければ幸いです。
次回はバラシ対策と巻き上げについて書いていきます。