タコがエギに乗る(アタる)と竿先、持ち手に変化が現れます。
よく言われているのが
違和感
非常に抽象的な言葉です。
実際にタコが乗った時の感触を一言で片づけてしまうと確かに違和感です。
東京湾内でタコ釣りをしているとポイント、時期によってタコ以外にも様々なものが引っかかります。タコ釣り中に私がこれまで釣り上げた外道?は以下の通りです。
①石、岩
②貝殻
③海藻類(ウミサボテン、ウミエラ、アマモ、ワカメ、刺身のツマみたいなやつ、イボイボした硬いやつ 他)
④ビニール袋
⑤軍手、タオル、靴下
⑥高切れしたPEライン、エギ
⑦魚(フグ、マゴチ、カサゴ、メバル、アカエイ、マコガレイ 他)
⑧ナマコ【レア】
⑨捨て網、ロープ、チェーン、タイヤ【レア】
⑩誰かが奉納したロッド&リール【スーパーレア】
⑪布団【ウルトラレア】
一方、釣り上げられなかった外道???には以下のものがあります。
⑫コンクリートブロック(テトラポット)
⑬海底配管
⑭固定金網
⑮千葉県、東京都、神奈川県の一部
これらが引っかかった時も一言で言えば違和感です(笑)
しかし、タコと明確に感触が違うもの、紛らわしいものがあります。これらとタコの感触の違いを出来る限り言語化して書いていきます。
①石、岩
(判別レベル EASY)
オモリが引っかかるかエギのアイもしくは針が引っかかるかによって感触が異なります。
基本的に海水、タコより比重が重いので上げようとしても海底方向に負荷がかかります。
・オモリが引っかかった
エギがシャカシャカ動く感覚があるけど動かない。
・エギのアイもしくは針が引っかかった
オモリがコツコツ当たる感覚があるけど動かない。
これらを察知した場合すぐに回避操作へ移行します。
大小の石、岩が密集しているポイントでは隙間の穴にエギが落ちてしまうとまず取れません。このときにエギもオモリもガッチリロックされてしまうと判別が非常に困難となります。この時は仕掛けを切るつもりでロッドとラインを直線にして引っ張るしかありません。
②貝殻
(判別レベル EASY)
平場のガラ場でよく引っかかります。貝殻のどこに針が刺さるかによって若干変わりますが少し重くなる程度でタコが乗った時程の抵抗はありません。
2,3回シャクッて取れなければ一度回収して取り外してから再投入します。
③海藻類
・ウミサボテン、ウミエラ
(判別レベル NORMAL)
若干タコの乗りに似ています。まわりの引っ掛かり状況を見ながらとりあえずアワせます。これらはしゃくっても中々取れないので一度仕掛けを回収して取り外してから再投入します。
・アマモ、ワカメ、刺身のツマみたいなやつ
(判別レベル NORMAL)
初期段階は若干重くなる程度、大量に引っかかるとタコの乗りに似てきます。しかし、初期段階であれば底を切って2,3回しゃくればあらかた取れます。
・イボイボした硬いやつ
(判別レベル NORMAL)
夏~秋に岩の表面に群生し、冬になると消えます。石や岩の感触と同様かつ石よりも針が刺さりやすいため厄介ですが、ロッドとラインを直線にして強引に引っ張ると取れてくることが多いです。
※細いラインだと切れる確率が上がります。
④ビニール袋
(判別レベル INFERNO)
タコが乗った感覚に最も近く、判別が非常に困難です。
引っかかる頻度は多くなく、根掛かりの原因にはなりませんのでまあよしとしています。
⑤軍手、タオル、靴下
(判別レベル HARD)
港湾内でたまに引っかかります。ビニール袋の次にタコが乗った感覚に似ています。
これも根掛かりの原因にはなりませんのでまあよしとしています。
⑥高切れしたPEライン、エギ
(判別レベル NORMAL)
PEラインに引っかかると最初は軽く、途中でガツンと上がらなくなります。ラインを張った状態で左右に振るとエギも左右へ動きます。高切れしたラインの太さにも寄りますが、強度が勝っていればロッドとラインを直線にして引っ張るとプチプチと切れる感触が伝わってきます。
エギについては貝殻と同様に重くなるだけのことが多いですが、石に挟まっていたりすると石に引っかかった時と同様の感触となります。
⑦魚(フグ、マゴチ、カサゴ、メバル、アカエイ、マコガレイ 他)
(判別レベル EASY)
竿先がプルプルがつがつするのですぐわかります。おいしいお魚だと嬉しいですね(笑)
特大座布団クラスのアカエイが掛かるとラインをブチ切られる可能性がありますので気を付けて下さい。
⑧ナマコ【レア】
(判別レベル NORMAL)
ウミサボテン、ウミエラと同様です。
神奈川県側でたまに引っ掛かってきます。釣れたナマコを持ち帰ると密漁となる可能性が高いです。
無用なトラブルを避けるため釣れたらリリースしましょう。
⑨捨て網、ロープ、チェーン、タイヤ【レア】
(判別レベル EASY)
引っかかったら取れません。運が良ければ釣り上げる事が出来ますがかなり重いです。持ち上がった瞬間は巨タコだと思って期待してしまいます。しかし、石と同様に海水より比重が重いためリールを巻くのを止めるとどんどん沈んでいきます。従って巻き上げている最中に沈む感触があると高確率で巨大な石かこれらです。
⑩誰かが奉納したロッド&リール【スーパーレア】
(判別レベル NORMAL)
ウミサボテン、ウミエラと同様です。
タコ釣りを始めてからで通算7本釣りました。
⑪布団【ウルトラレア】
(判別レベル HARD)
軍手、タオル、靴下の大親分です。上がってくるまで超巨タコだと思っていました。これまで1回しか釣ったことが無い幻の外道です(笑)
⑫コンクリートブロック(テトラポット)
(判別レベル EASY)
石、岩と同様ですが重量的に釣り上げるのは極めて困難です。また、引っ掛かりを外そうとした際にラインが擦れてボロボロになることがあります。
コンクリートブロックが目視できる場所は注意してください。
⑬海底配管
(判別レベル EASY)
石、岩、コンクリートブロックと同様です。石よりも針は刺さりにくいのですがキャスト時などライン角度が広くなるほど外しにくくなります。また、引っ掛かりを外そうとした際にラインが擦れてボロボロになることがあります。
陸上から海中へ配管が伸びている場所は注意してください。
⑭固定金網
(判別レベル EASY)
石、岩、コンクリートブロックと同様です。針が網に引っかかるとまず取れません。際寄りを攻める場合は注意してい下さい。
⑮千葉県、東京都、神奈川県の一部
(判別レベル ???)
正体不明です。
上記で否定した感触以外がタコの乗りである可能性が高くなります。
これだけではよくわかりませんね(笑)
タコが乗ったときの特徴として挙げられるのは
・柔らかい感触
小突いたときの石や砂なんかの硬い感触とは異なり、擬音化すると「たゆん、たゆん」というのが個人的に一番しっくり来ます。
・オモリ、エギが動いている感触が消える。
コツコツと底を叩いていた感触、エギがシャカシャカ揺れる感覚が無くなります。
タコが石なり大きな貝を抱いていたり岩に張り付いていたりと複合的な要因もあるので一概には言えませんが、概ねこの2点を手で感じ取ったときにタコの乗りと判断しています。
何かに掛かったときにどのような感触になるかは経験を積まないとわからない部分も多いのですが、数をこなして判別精度が上がって来ると根掛かり時の誤爆頻度が減ります。
誤爆すると外せるレベルの根掛かりも外せなくなってしまいますからね。
番外編として泥交じりの底だとオモリが埋もれてタコの乗りのような感触になることがあります。これがわからないと期待感とがっかり感を繰り返すことになって精神衛生上よくありません。
泥の場合、垂直方向にエギを跳ね上げるとピンと取れますので一度エギを跳ね上げてからタコかどうか結論付けると心の平静を保てます。
泥交じりのポイントを攻める場合はオモリを軽くすることで埋もれ偽アタリが減りますので試してみてください。
私の場合、最初の違和感からタコかそれ以外かどうかの判別にかかる時間はおよそ以下の通りです。
2秒以内 70%
5秒以内 20%
10秒以内 5%
10秒以上or判別不能 5%
私も全部が全部わかっているわけではありません。
10秒以上or判別不能の場合は12,3秒で躊躇なく合わせます。それが仮に根掛かりであったとしてもしょうがないと考えています。
ここまで書いた内容
これらは全て手感度から得られる情報です。
よく見かける謳い文句、竿の目感度(竿の曲がり)に頼った釣りは全くと言っていいほどしていません。
目感度の釣りはロッドにかかる重さの違いをティップの曲がりに表現し、それを察知して掛けに行くというものです。
重くなればタコ!というシンプルな環境であればそれでも通用するかもしれません。しかし、いろいろなものに引っ掛かる環境においては目感度だけでそれが何かまでは判別出来ません。
なにかしらの抵抗が加わればそれらは全て目感度として出てきます。
もし小突きながらティップの曲がり具合を1,2回見ただけで何が引っかかったかまで判別できる方がいらっしゃるのであればそれはとても凄いことです。
私には無理です。
イイダコ釣りの場合、テトラ竿などのティップが柔らかいロッドが良いとされています。これは目感度重視、数g~数10gのロッドにかかる負荷の差を察知することでイイダコが乗ったかどうか判断しやすくなるためです。
イイダコの生息地は主に砂地です。
時期とポイントによって貝殻、アマモ、ウミサボテン、ウミエラに悩まされることはあってもその頻度はマダコ釣り時と比較して圧倒的に少ないため目感度を優先した方が釣果は伸びていくと考えられます。
一方、マダコ釣りの場合はどうでしょうか
マダコは砂地、岩礁帯ともに生息しています。
従って、マダコ釣りではポイントごとに引っ掛かって来るものが千差万別です。
そしてマダコはイイダコより重量があります。
イイダコが数10g程度~シーズン終盤のピンポン玉サイズで大きくても100gあるかないか、これに対してエギに乗って来るマダコは100g前後からkg以上。
元の仕掛けとの重量比においてもイイダコは約10.5号(オモリ8号+スッテ2.5号1本)として約40g+数10g、最低10gとして重量比は1.25以上
↑最大級のイイダコちゃん
これに対してマダコは約170g(エギ2本+オモリ25号)+数100g~数kg
最低100gとして空時:乗り時の重量比は1.59以上、キープサイズの300gとした場合は2.76以上とイイダコの2倍以上となります。
それだけタコが乗ったときに手元に感じる重量変化がわかりやすいんですよね。
※100gを号数に直すと26.67号になります。(1号=3.75g)
これらのことからロッドに求められる最低限のティップの曲がりはオモリの号数+エギの重量(3.5号のエギ1本で約10号相当)に25号のオモリを追加してティップの曲がりに差があればタコの乗りは十分察知できます。
これはオモリを持ち上げて降ろしてという小突きをやっていれば浅場であっても深場であっても同様に重さの違いを察知することが可能です。
ティップが柔らかい竿は外海等で波が1m~2mある状況において底べったりで釣りたい場合には竿先がクッションになり、縦方向の移動距離を制限出来るとも考えられますのでそれがメリットになるかもしれません。
しかしそれだけです。
東京湾内でやる場合は時化で波が1m以上ある環境で釣りすることは極めて稀です。
波が1m以上ある場合は出船中止になるか風影ポイントに限定してやる船宿が大半なのでそのメリットを生かす場所がありません。
それもロッドの構え位置と竿先の上げ下げで対応可能であり、底を叩いたときに衝撃を吸収して手元に伝わる情報量が減るという最悪のデメリットを考慮すると使う必要性は皆無です。
手感度で乗りを察知していればどのような状況にも対応できますが、目感度に依存した釣りを覚えてしまうと手感度が必要な状況に対応するのは非常に困難です。
エギが底から離れたら釣れないという前提条件が崩れてしまっている以上、いかなる状況においてもロッドコントロールを優先したティップの硬い竿で釣った方が得られる情報も増えて技術力の向上、ひいては釣果も伸びていくと考えています。
タコ釣りにおいて
わずかなモタレなど察知する意味がありません。
乗ってくるスピードによって時間差があっても手に伝わってくるノイズが徐々に無くなってくればそれすなわちタコですから。
手感度で重さの違いと底を叩いたときに伝わってくる情報を感じ取れれば環境に依存することなくタコの乗りを察知出来るようになります。
タコが乗ったと判断した後はアワセの動作に入ります。
次回はアワセとバラシについて書いていきます。