前回の続き
バラシについて、
タコ釣りはバラシが多いと言われています。
実際によくバラす方はいらっしゃいます。
そんな状態なので、船宿さんによってはタコが掛かるたびに上乗りさんがたも網を持ってあっちへこっちへ移動して~という状況も割と見かける光景です。
お仕事とはいえ大変です。
よくバラす方々の動作を見ているとその理由が見えてきました。
主な理由は・・・
①そもそもアワセていない
初心者がやりがちなパターンです。ロッドが重くなってタコが浮いたときにそのままリールを巻いてくる。
この時タコはエギを抱いているだけです。飽きるか危険を感じたら離してします。
タコは一度抱いてしまえば底から浮き上がったぐらいでは簡単にエギを離しません。
違和感を感じて離すなんて言うのは人間側の勝手な言い分です。
底から浮いたときはむしろメリーゴーランドに乗っているかの如く楽しんでいるようにさえ思えます。
これまでタコ釣りをしていた中、小突いている最中にエギを離したケースが一度だけありました。
2本竿でエギ同士の距離が50cmほど離れていた時に最初に乗ったエギを離したと思ったらもう一本のほうに乗り換わってきました(笑)
基本的に刺激を与えて飽きさせなければタコは1分でも2分でもずっと抱いています。
ぎゅうぎゅうに客を乗せる船ではお隣との距離が近いので他の方のエギに目移りする可能性もあります。
その時は時間をかけずにサクッと合わせたほうがよいかもしれません。
船の急な移動などでタコが浮いてしまったとしてもリールを巻く前に竿先を下げてラインスラッグを取ってアワセを入れればこの状態でも問題なく掛かります。
②アワセ幅不足
これが最も多いです。9時半以下までしかアワセていない。もしくは力不足でそれ以上持ち上げられない。
アワセて重くなった時点でリールを巻き始めるパターンです。掛かりが浅いので巻き上げ最中の抵抗でエギが振れたときに外れてしまいます。
ティップやバットが柔らかい竿を使っていると尚更掛かりが浅くなるのでより一層バラしやすくなります。
力不足の方はアワセ時に両腕の力を上手にロッドへ伝達する、腕の大きい筋肉(上腕二頭筋)を使う、筋トレする等で11時までロッドを振りぬくスキルを身に着けると改善可能です。
バットの硬い先調子かつ短めの竿を使用すると誘い含めて腕にかかる負荷が軽減します。
③早アワセ
しっかり抱かせる前にアワセて針が刺さったのが腕の先1本だけ 等。
この状態だと巻き上げ時の抵抗で身切れしたり外れてしまったりとバラしやすくなります。
これは焦らず我慢して小突いてしっかり抱かせる以外に確実な方法がありません。潮の流れが速い場合や強風で船の移動速度が速い場合はリールのクラッチを切ってラインを出せばエギの移動を止められます。ただし、長くても5秒程度です。それ以上やるとオマツリの原因になりますのでそのときは諦めてください。
また、竿先を高め(MAX10時方向)に構えて小突けばロッドの高さ分いくらかステイの時間が稼げますので状況に応じて小突く際のロッドの高さを調整してみるのもよいと思います。
④ラインの緩み
タコが掛かってから竿を煽るというのが見ていて一番多いです。正直これは論外です。
そもそも煽らないと上がってこないようなパワーの無いリールを使っている時点でタコ釣りを舐めているとしか思えません。
1万円台で十分な軽さとパワーがあるリールが販売されています。
タコを確実に釣りたければそれらを購入して使用することを推奨します。
これとは別に、潮先側にキャストしてタコが乗った場合、船がタコ側に向かって流されていってラインテンションが緩む方向に向かいます。船下にラインが搔っ込んでいれば問題ありませんがキャストした場合は巻き上げ速度が遅いとバラす可能性が高くなります。
どんな条件下においても一定速度で巻くというのは愚の骨頂です。
船が上下した際は自分の立ち位置も天地方向へ上下します。天に向かうときは張る、地に向かう時は緩む。
すなわち、波で船が上下しているときに一定速度で巻くという行為は竿を煽りながら巻き上げてくることと同じ状態になります。
いかなる状況であってもタコを掛けた後は
ロッドの持ち手が常に一定の重さを感じるスピードで巻き上げると
ラインの緩みが出る可能性が低くなります。
私の場合、持ち手が軽くなったら早く、重くなったら遅く巻いて手に掛かる重さを一定に保つよう意識したら船の上下や急な移動時においても巻き上げ速度の微調整がし易くなりました。
是非お試しください。
⑤エギの針先の変形
根掛かりを外した後に針先が潰れていたり、捲れていたりするとしっかり抱かせてアワセても針先が刺さりにくくなってバラシが増えます。
私は根掛かり後の回収時に針先をチェックし、異常があれば即エギを交換します。
そして、ポイント移動の隙間時間でフックシャープナーで針先を研いでいます。
⑥船べりに張り付かれる
潮先側限定ですが、ラインが船下へ掻っ込んでいるときは水面近くまで上がって来た際にタコが船べりに張り付いてしまうことがあります。こうなるとタコの回収は絶望的です。おまけにエギと一緒にロックされるのでエギも回収できず大きなロスタイムとなります。
この時はラインを緩めてタコが自分から離れるのを待つしかありません。
待っている間、中途半端にラインテンションをかけるとまたしっかりと張り付きます。
このような状況にならないようにするためには張り付きを回避するロッドコントロールを覚える必要があります。
ちなみに私のバラシ率は5%以下です。
バラしたときの主要因は針先の変形と気のゆるみによるアワセ幅不足でした。
バラしは99%以上釣り手側の認知と行動によって発生します。
※残り1%は外部要因
・周囲を確認していないテロキャスト
・クラゲゾーン通過
・他の魚からのちょっかい
・大型船通過による引き波
他
これらは交通事故のようなものです。
完全に回避することは困難ですが、ロッドの向きと巻き上げ速度の調整で多少バラシリスクを下げることは可能です。
これらの要因を一つでも多く排除することでバラす確率は大幅に下がります。
秋冬に季節が移行し、水温が下がって来ると1日やってタコが乗って来る回数が1回2回という日もあります。
数少ないチャンスを確実にものにするため、よくバラすという方はなぜそうなるか原因をはっきりさせて対処していくことをお勧めします。
次にアワセ後の巻き上げについて、
アワセてタコを掛けた後、ラインの傾きが自分の前方向(払い出しor横)にある場合は11時の位置をキープしたまま水面まで巻き上げてきます。私はこの間絶対に竿先を下げないよう意識しています。
竿先を下げるとラインが緩んでバレるリスクが上がります。
ロッドを持ち上げた状態で水面まで浮かせてから取り込み作業に入ります。
一方、ラインが船下へ掻っ込んでいる時は状況が異なります。ロッドを高く構えた状態で巻き上げてくると船べりに張り付かれるリスクが大きく上昇します。そのため、タコを掛けた直後に竿先を下げつつロッドの持ち手で感じる重さが一定になる速度で巻き上げます。
ロッドとライン角度の目安は90°。
巻き上げの際、体を極力船べりの前に乗り出し、竿先と船べりの距離が1cmでも遠くなるような態勢で巻き上げます。
また、タコが掛かった状態で巻くのをやめるといわゆる凧揚げの凧のように水の抵抗を受けて徐々に浮いて来ます。そのため、巻き上げ速度が遅いとロッドとラインの角度が鋭角になって船下へ掻っ込みやすくなることから可能な限り高速でリールを巻いて来ます。
※このとき海へ落ちないよう注意してください。落ちたらシャレになりません。
タコが船べりを乗り越えたことを確認してから取り込み作業に入ります。
最後に巻き上げ速度は0.5~1m/秒の範囲になるよう意識しています。
腕にかかる抵抗(重さ)によってこの範囲内で巻き上げ速度を調整しています。
潮の流れ、🐙の外寸を同じとした場合、腕にかかる抵抗はおよそ巻き上げ速度の2乗に比例して大きくなります。抵抗が大きいとタコが左右にブレて針が外れやすくなります。
巻き上げ時にラインマーカーの移動速度を見ながら巻き上げると速度調整しやすいかと思います。
これらを意識することでバラシの頻度は格段に減ります。
せっかく自分のエギに抱き着いてきてくれた🐙ちゃんです。
感謝を込めて船上へ釣り上げたいですからね。
次回はタコの取り込み方法について書いていきます。